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動けない人の話 台湾の思い出

毎時00分、それまで立っていた台座を銃床で打ち鳴らし、着色された石像がやっと生身の兵士に戻ることが許される。

台北の3ヶ所(忠烈祠・中正紀念堂・国父紀念館)を守る2名の衛兵は一旦所定の位置についたら動けないんです、1ミリたりとも。静止したあと裾の乱れや小銃のストラップの位置調整なんかは上司や先輩らしき人が直してあげるようです。暑い国ですから汗拭きまでやってもらってましたね。

次の交代2名とそれを引き連れる1名、そして石像ポジションだった2名の合計5名の兵士が異常に高いシンクロ率の交代セレモニーを見せてくれるんですが台北を訪れたなら一見の価値ありです。忠烈祠はタクシーかバスを使わないと行きづらいですが中正紀念堂・国父紀念館なら地下鉄の駅をおりてすぐです。

任務に当たる衛兵、儀仗兵は兵士の中から身長体重や容姿までも選考基準として選ばれキツい訓練を受けるのですがあのシンクロパフォーマンスと位置についた後の二人だけ身動きが取れない事から生まれる連帯感、きっとテレパシーとかが出来るようになってんじゃないですかね。

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声を出さずに会話できるのだ(想像)

”…おい、王よ。俺の横でふざけて自撮りしてるやつの顔覚えといてくれ。非番のとき出会ったらぶっとばす。”

”…陳、それよりもお前の額の汗もうすぐ右目に落ちてきそうだから気をつけろよ。”

”…マジか。汗拭いてくんねえかな。痒いのはまだ我慢できるが目が痛いは勘弁だわ。”

”…あと5分で交代が来るから頑張れ。”

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まばたきも我慢…

”ちょうどええ!”以外に形容が出来ない西門金鋒の魯肉飯をかきこみながらこんなどうでもいいやり取りを想像していました。

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中正紀念堂そばの金峰魯肉飯は並ぶから最近は西門金鋒魯肉飯で食べてます

西門金鋒魯肉飯 西門総店

あ、交代セレモニーはカメラの場所取り合戦になるので早めにスタンバイしたほうが良いですよ。しくじったらまた1時間ほど後に来なきゃいけない。

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