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児童養護施設でヘアカット~第8回~

ども、イシちゃんです。
なんだかんだで養護施設でのヘアカットの記事も8回目となりましたが、記事にしていないだけで、実は訪問カットは2桁を超えました。

ひばりが丘学園さんも、慈愛園さんもどちらもそれぞれに違う魅力があっていつも元気を頂くばかりです。

ここ最近は、高校生や高校を卒業したばかりの人達もカットすることが多かったんですけど、高校生や卒業したばかりくらいの成人の方たちにもなると会話の内容も一気に大人びてきます。

今回は主に仕事についての話だったんですけど、ちょっと面白かったんであなたにもお伝えしておこうと思ったわけです。

国立競技場に行きたいのに、ラグビー部に入る子はいないでしょ?

もの凄く当たり前の話なんですけど、

甲子園に行きたいのに、サッカーをする子はいないし
国立行きたいのに、ラグビーする子はいないし
花園行きたいのに、野球をする子はいない

ですよね?

唐突に何を語りだしてんだって話ですけど、これは今回、慈愛園でカットした職業訓練校に通う男性との話の中で、僕が彼に応えた内容です。

会話の流れから、ふと彼に

「1人でやってるんですか?スタッフさん入れないんですか?」

と聞かれたんですね。

これまでにも同じような質問をいただいたことがあったんですけど、確かに人を雇えば今よりも多くのお客さんを喜ばせることはできるでしょうし、もっとやりたい事も円滑に進めていくことだってできると思います。

ただ、僕はヘアカットができる仲間が欲しいのかというとそうではなくて、「心をデザインする」ということがしたくて、ヘアカットやその他諸々の活動をしているんですね。

つまり、美容師の業務は手段であって目的ではないということです。

だから、この「心をデザインする」って目的に一緒に向かってくれる人であれば、手段は何でも良くて、ファッションデザイナーさんでも良いし、工務店さんでも良いし、家電メーカーさんでも良いわけです。

国立競技場に行きたい目的の人もそれと似ていて、「サッカーをする」以外の選択肢だってありますよね?

フィールドの整備や、審判、運営、事務、営業などなど「国立競技場に行く」仕事はたくさんあるわけです。「サッカーをする」ってのはその選択肢の1つに過ぎないわけですが、少なくとも野球やラグビーは選ぶことがないと思うんですね。

もっとも、国立競技場を野球の聖地にしたいとかそういうことを考えているなら話は別ですが、それが途方もない挑戦である事は誰もが分かる話です。

そんなことになれば、関東と関西で内紛が起こること間違いなしでしょうしね。

僕の考える「心をデザインする」ってこともそれと同じで、特別途方もないことでもなく、「心をデザインする」手段はいくらでもあるわけで、たまたま僕は美容師としてのスキルを持っているから、それを使っているだけなんです。

なので、「心をデザインする」って方向に一緒に向かっていきたいという人が現われれば共に進みますし、現にひばりが丘さんへの訪問カットには別のお店の理容師さんと一緒に行っています。

僕にとって仲間を考える上で大事なのは美容のスキルではなくて、

同じ目的に向かって進める人であるかどうか

ということです。

僕自身もそんな時期があったからというだけではないんですけど、この辺りのことが抜けている人は意外と少なくないと思うんです。

僕自身はそんな器用な人間でもないので、目的を言語化するまでには時間がかかったんですけど、言語化してみると、これまでの自分の歩みにも辻褄があってくることが分かるんですね。

僕は独立するまでにお店を数回変えました。その時はその時なりの考えや想いがあったわけですけど、一連の流れとして俯瞰して見ると、僕が作りたかったのは髪型ではなくて、心だったんだなということが分かったんです。

"髪はほぼ、人格"とヘアライターの佐藤友美さんが著書の中で書いていましたが、正にその通りだなと、その人の人格や心といった目に見えないモノを有形、無形こだわらず、「その人そのもの」をデザインしたいんですね。

だからというわけではないんですけど、そう考えるとインスタやHPでヘアスタイル発信をしたりするのは僕の中ではちょっと方向性が違うのでしないですし、求人にしても今の求人媒体ってそこのところが伝えきれるようにデザインされていないこともあるんで積極的にスタッフ募集をしたりもしていないんです。

ってなことを彼に話して切り終えたら、部屋に戻った彼の

「すっげぇ!面白かった!」

って叫び声が聞こえてきたので、彼には伝わってくれたんだと思います(笑)

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