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雨上がりの燕岳(May2016)

雨上がりの山は最高に美しいと思う。
狙うより、たまたま偶然に出会う絶景に強く感動するけど、雨の後の澄んだ青空、流れる雲、太陽の光で鮮やかに浮かび上がる山々は、そんな人間の思惑など吹き飛ばす。
この日はそんな天気を狙っての山登りだった。

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【燕岳:中房温泉登山口からピストン、燕山荘にてテント泊】

車で登山口の駐車場に着いた時はまだ薄暗くて、大降りの雨だった。
誰もいない。
「稜線に着く頃には雨が止んで晴れるはず」
昼前にはテント場について、午後は青空の広がる静かな稜線をのんびり散歩する計画。

でも、晴れの日だけが山じゃない。
雨の中、樹林帯を歩くのもけっこう楽しい。

強まったり弱まったりする雨音。
濡れて生き生きとしている草花。
葉や花から滴る雨の滴。
蒸し暑い感覚、雨と汗とで濡れる肌、立ち止まると少しひんやりしてくる。

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五感で楽しみながら、急登と雪道を越えて、予定どおり昼前には燕山荘に到着する。まだまだ雨が降っていてガスで景色も無かったので、とりあえず小屋の中でコーヒーとケーキを食した。

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山で、コーヒーとケーキ…なんて贅沢。
一服して表に出ると雨は止んでうっすらと向こうの山の景色が見え始めていた。
道中でもお会いした登山者の方々に写真を撮って頂いてから、雪上のテント場にテントを張る。
初めて雪の上にひとりでテントを張った。
後から聞いたら小屋でスコップを借りられたらしいが、わたしは自分のピッケルでせっせと整地してテントを立てた。
荷物整理中、ふとテントの外を覗いてみると、「狙っていた」青空、雲海、山の絶景が目の前に広がっていた。

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雨の中、景色もなく苦労してびしょ濡れになって登ってきた、そんな前提があるからこそ、一層まぶしく見える青空。
わたしはこの青空がたまらなく好きだ。

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軽身で稜線を、ゆっくり思うままに散歩する贅沢。
今日はここに泊まるから、時間の制約もない。
山でこういう時間を自分にプレゼントするのが大好きだ。

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「表銀座」と呼ばれる、はるか槍ヶ岳へと続いていく稜線。
ここをちょっとお散歩。
まだグズグズの雪が残っているところがあった。
この広大な稜線の上にポツンと乗っかっている感覚を味わう。

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因みに、誰もいない。
何度も言うけど、本当に贅沢な時間。至福の時間♡

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夕方前には小屋泊の方々がちらほら増えていたが、テント泊はわたしだけ。平日登山の特権だな。

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マジックアワーは、温かいミルクティー片手に。
写真を撮るよりも、この瞬間の感覚を心と体に焼き付けた。

頂上を目指す。
自分の限界に挑戦し続ける。
道無き道をゆく。
誰かと感動を分かち合う。

山には色々なジャンルがあり、楽しみ方はひとりひとり違うと思う。
今は、こんな風に自然の美しさを思いきり味わうような、その感覚に深く潜って漂うような、そんな山歩きをまたしたいなぁ、と思う。

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翌日は薄曇りでした。
名物?山おとこくん。


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