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コロナによって保護者の価値観が強制アップデートされました

だいぶ久しぶりになってしまいました。

ラボ寺子屋の小泉です。
年度末が近づいてきましたが、お問い合わせが増えてきました。

当塾では、3月から5月末まで、3カ月にわたる自主的な非対面型の学習を行ってきました。これにより、言い方が悪いですが、学力格差は拡大をしている実感があります。

学校がスタートをしましたが、オンラインでも通常に近い形での学習ができる仕組みへと移行をさせたため、意欲的な子の学力は非常に速い進度で学習が進みました。

一方、あくまで先生主導が必要な生徒は、対面でないためいつも以上に学習が進まないというケースも見受けられました。

とはいえ、自塾内だけの話で言えばということですが、生徒や家庭の話や周囲のお話を聞いていると、学校だけで学習していたり、対面オンリーの塾では、さらに学習が進んでいないケースも多かったようです。

コロナがもたらした変化

コロナ禍がもたらしたものは、経済的な影響は言わずもがなですが、それ以上に大きかったこと。

それは、「保護者を中心として、世の中が強制アップデートした」ということです。特に「家庭の価値観の変化が生じた」ということは、見逃せないと思います。

当教室が立地しているのは、東京で、ベッドタウンである立地です。
新宿や大手町方面など、まさに都心部に勤務されている保護者の方々も多くおります。1回目の緊急事態宣言が出された際に、多くの会社員の保護者も、子どもたちとともに「在宅でのリモートワーク」に切り替わりました。

在宅で仕事をする傍ら、小学生~高校生にいたるまでオンラインでの学習に取り組みました。その姿を仕事を横目にしながら見ていたわけです。

ここで考えてみると、保護者からすれば、実際に普段学校で行われている学習を細かく見るということは、これほど長期間はなかったはずです。
もちろん、保護者のお仕事そのものも、これほどリモートで仕事をすることはなかったはずです。

保護者は知ってしまった。そしてもう戻れない。

ですが、保護者は知ってしまったのです。
実際に、会社へ出勤しなくてもできる仕事はたくさんある、ということを。

特に、現在わたしたち塾人の顧客となっている保護者は、30代~40代が中心です。もっとも、部下に対して会社への出勤を求める世代とは異なります。

特に共働き世帯であれば、出勤時間がなく、朝はゆっくり、昼は家族と、夕方も疲れた後の帰宅ラッシュに巻き込まれることがない生活の利便性をどう感じたでしょうか?

もちろん、全世帯とは思いませんが、普段家族と過ごす時間が少なかったり、生活リズムが違っていたり、家事に追われている世帯からすれば、利便性・働きやすさ・ワークライフバランスが取れている生活を実感してしまったのです。

人は、便利だ、と思ったもので一度慣れてしまえば、手放すと不便に感じます。現に私たちは、すでにスマートフォンがある生活が当たり前となっていますが、スマートフォンが無い生活に戻るのは、相当の覚悟を必要とするはずです。

そしてこう思う親御さんは確実に増えています。

「なんで、わざわざ自宅でもできることを、会社まで行ってやらなければいけないんだろう」

この発想が保護者の価値観に強く植え付けられてしまえば、もう元に戻すことは困難です。

働き方改革で、「脱ハンコ」が話題になっていましたが、「ハンコ」は承認の手段であって、ハンコが目的、とりあえずハンコをもらう、という発想により、リモートワークが推進されない事態に陥っている企業も多いようです。ハンコをもらうために出勤する、もはや笑い話ですね。
実際、承認のハンコをもらう時間的「コスト」を金銭に換算して考えたら、決してそんな事態には陥らないと思うのですが。。

私自身、コロナ明けで保護者と話す機会が多くなっていますが、フルタイムで働いている保護者、特に家計を支えていて、ホワイトカラー職のお父様は、出勤することの無駄を非常に感じておられるようです。

私の塾は、以前から「家でできることは、家で。塾でやったほうがいいことは、塾で。それを考えなさい」と言い続けています。

この発想で教育している、とすれば皆さんなら、どう感じるでしょうか?

すでに、価値観が変化しつつあり、保護者の仕事観も変化しているといえます。そのため、自分の子供たちに、本当に意味があるのか?と思ってしまう課題や宿題に、一層疑問をもつようになっているようです。
仕事の仕方に向き合っているからこそ、お子さんの取り組み方にも疑問をもつ親御さんは、以前よりも増えた感覚があります。

一方、当塾が伝えているように、「学習」というものを通じて、「取り組み方の発想」を教えている環境、どちらに価値を見出すでしょうか。

長時間勉強することに安心感を覚える保護者もいると思いますが、現在、社会の最前線で働いている方々は、「合理化」という発想を強制的に求められてしまっています。ですから、これまであまり受け入れづらかった「学習の質・方法・途中過程」に重きを置くようになっているのだと思います。
決して、統計的なデータではないので、断定はできませんが、可能性としては高まっているといえるだろうと思います。

成果を求められている大人たちからすれば、一生懸命頑張っているだけでは、ダメという考え方が次第に大きくなっていくのは必然的だと思います。

とはいえ、まだまだそれは過渡期だと思います。

私自身は、やりたい仕事とすれば、やはり10年後に多数派となっている考え方に向かって塾を推進していきたいと思っています。

先進的というより、今の生徒たちが大人になったときに、活躍することができるために、「発想や工夫」ができるような今を過ごしてもらいたいと思っています。そのためのトライ&エラーをする場としての、塾にしていこうと強く思った2020年度でした。

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