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#20 遍く照らすひかり

「ぼくは、何で貢献できるんだろう」って
「なにか、役に立たないとやっぱりだめなのかな」って

学生服のボタンを外しながら、
運動場の柵に傘の石突を当てカタカタ鳴らしながら、下校してた
高校生が一人。

自分に何ができるのか、何を求められているのか、何がしたいのか。こころとあたまが整理されて、言葉に変えて、誰かに渡せるようになったのは、ここ数年のことかもしれない。

考える度に、やっていく形を更新していく。
そして、自分が何を大切にしてるのか、確かめていく。

息を止めるような時間。
そして、またあらたな形を築いていく。

▼ 永く着続ける服を

中学生から高校を卒業するまで、同じ学生服を着て過ごした。
所謂、詰め襟の学ラン。
それが、ぼくのアイデンティティのひとつになってる。

最も身体が成長するこの期間に、1着しかない学ランの袖がどんどん足りなくなっていくのが、悩みだった。「買う」が簡単にできれば、今の仕事さえしていなかったと思う。ただただ不安だった。

ある日、
友達の学生服の袖口が新品?になっていることに気が付いた。
よくみてみると、古い生地と新しい生地がくっついてる?ようにみえた。いや、伸ばせるんだって分かった瞬間の衝撃はまだ残ってる。

自分の学生服の袖口を指先で、厚みを確認して、確信に変わって。
帰り道、100円ショップによって、早速裁縫セットを買った。

学生服を解くとき、異様な興奮をして、何か悪いことをしているような気もして、慎重に慎重に糸を切っていった。

衣服を再生する活動は、ここから始まっていたのだと思う。

▼ 衣 ・ 服 ・ ファッション

ぼくにとってファッションは、言葉のような、隠蓑のような、とっても嫌いで、とっても好きな気持ちが交差する場所に在る。

ブランドの名前や歴史は詳しくない。仲の良いファッションがすきな友人と話していて情報は入ってくるものの、正直興味が持てずにきてしまった。

身体と衣服の関係性にばかり、好奇心が湧いてくる。

◯「服」と「身体」と「個」と「社会」の関係
◯「衣」と「服」と「ファッション」の関係
◯「ファッション」と「哲学」の関係
◯「ファッション」と「お笑い」の関係

なんで同じ学生服を身に着けているのに、あの人はかっこ良く感じて、あの人はそうでもないって感じると、気が付いたことをノートにメモした。

▼ 「サスティナブル」と云う言葉

と出会ったのは、21歳の頃だったと思う。
この言葉をグーグル検索しても分かりやすい記事は出ていなかった。でも、「今、在るものでつくる」は、その当時から大切にしている。

いま、よくサスティナブルが使われているのが、違和感なのだけれど、より言葉だけなのか意識なのかが、広まってうれしい。環境をビジネスとしてやってる方々が、環境と社会のあいだで、ちゃんと収益性を見出してくれて、価値に変えてくれて感謝と敬意を感じるのだけど。

ビジネスとして環境を取り扱ってる方ほど、意外と自然と触れ合ってる暮らしをしている訳ではないので、言葉が希薄に感じることがある。

あくまでビジネスとしての軸で広げる事で価値に変わるのだから、暮らしではない。そこが気になってくる。

だからぼくは、「暮らし」を伝えたいんだと分かる。
大きな動きとぼくのような小さな動きが相まっていい世界になると良い。

▼ 「衣服再生家」の看板を下ろす

厳密にいうと、そう名乗るのをやめようと思う。
理由は、更なる次のステップの為に。

土で綿花を育て、糸を紡ぎ、織られ、布になる。
デザインが考えられ、設計図ができ、裁断し縫製されて、服になる。

その服が魅力的に伝わるように売り場が組まれ、発信される。
そして、消費消費消費消費消費消費。

ぼくは、ここに「分解」の価値を築く。
ゆるやかな消費は、経済を生みにくいのだけれど、そこを軸として大きく動かしてくれている方々はいる。

そのおかげがあって、ぼくはもっと隙間(ニッチ)でいていいと思える。

「衣服再生家」は、個人で発信しているような印象が拭えない気がするから、核は残して、みんなと関わり代が生まれるような活動にしたい。

いや、やっていたのだけど、私も衣服再生家だとは名乗りにくい。もっとゆるやかな世界をつくる為に暮らしと接続する為に階調をつくる。

この名前では、集約しきれなくなったのだ。
だからここで、一旦のお別れと感謝を伝えたい。

ずっと肩書きをもたず、何者か分かりにくかった僕をみんなに分かりやすい存在にして伝えてくれてありがとう。きっかけをくれたたんすの肥やしの陵さんありがとうございます。この名前のおかげで、伝えれたことがたくさんあります。

これからも記録として、大切にします。

▼ あたらしい形にかわる 最中

いまはまだ設計の途中だから、明言はしない。
でも、きっといい企画が届けられる自信がある。

◯解体される余地を残し、形が巡る服の提案と
◯その後、染め還しや修繕でつくっていく服の定案と
◯愛着を施す体験の提案と

あとは、暮らしに纏わる循環する環境の定案を。

道理の通った美しく循環する適当な暮らしを伝えていく。
いまは、それだけ。

それがぼくの貢献できることだから、誰かにとって小さな価値に変わると信じて、やっていく。充分じゃないかな。きょうも、ありがとう。

コーヨー

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