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ロイヤリティプログラムにおけるAIの活用について

こんにちは、
今日はマーケティングに関するテーマですが、なにかと話題な「AI」がこの分野にどういった活用ができるのか、整理してみようと思います。

最初に結論的なまとめ方をします。
AIを活用してパーソナライズされた体験を提供、顧客のニーズを予測し、リアルタイムのカスタマーサービスを提供し、効果的なオムニチャネルマーケティングを展開することで、ブランドは新たなロイヤリティプログラムを構築できるようになると思います。これにより、従前のマーケティング手法よりもより深く適切な顧客との関係が構築でき、再訪率やLTVを向上させていく、そんな構図になります。

マーケティング環境の潮流と、AI活用の大枠

前にも言及したかもしれませんが、いまのオンラインマーケティングはかなり厳しい環境にあります。3rd party cookie規制の動きは引き続きあり、ターゲティングが困難になる中で、追い打ちをかけるように若い世代を中心に趣味趣向が多様化し、ターゲティングセグメントを増やし精度を上げないと効果が出ない状況になっています。企業は、コストをかけても効果的なマーケティングができないという状況にどんどん追い込まれているのです。
これに加え、こと日本に限って言えば人口減少が重くのしかかっていて、そもそもマーケティングをかける母数が減っているという苦しい時代なのです。

そんな今だからこそ重要視されるのが、別の観点からのアプローチに変化させることです。上述の潮流は、新規顧客の獲得をメイン文脈に置いたマーケティングに見られる背景ですが、いま大事なのは観点を変えて、既存の顧客のロイヤリティをより高めることで、①既存顧客単価を上げること、②既存顧客の離脱率を下げること、ひいては③既存顧客のLTVを向上させること、の3つにフォーカスすることだと僕は思っています。

とはいえ、この既存顧客を大事にするにあたっては、既存顧客のことをよく知る、ということは新規顧客のターゲティング同様に必要性が高いですし、知った上でより精度の高いアウトプットを既存顧客にしてあげることが大事になります。ここがまさにAIの活用可能性の部分です。

①より顧客を知るためのインプットと分析
②よりパーソナライズしたメリットを提供するためのアプトプット

大きくはこの2軸でAIを捉えていくとわかりやすいと思います。


①より顧客を知るためのインプットと分析

インプットと分析は表裏一体で、この2つを行ったり来たりしながらオーダーメイドのマーケティングキャンペーンを作ります。

マーケティングにおけるAIの重要なメリットのひとつは、パーソナライズされた体験を提供できることです。データ分析は新しい概念ではないですが、AIはデータを分析し、人間よりも遥かに優れたパターンと洞察を抽出することができ、個々の顧客の嗜好、行動、ニーズに深く入り込むことができます。

従来、マーケティング担当者はデータを集計し、またはセグメンテーションを通じて分析していましたが、結局のところほとんどのブランドは、顧客一人一人の買い物行動を分析する状態に至っていないのが現状です。ここにAIが効いてきます。AI(とそれを構成する環境)に対する認識として当たり前に皆さん持っていると思いますが、人間じゃないので無限に働く、コンピュータなので速度が超早い、機械学習により分析力が段違い、このあたりの能力をどう使うか。

DIGITALCOMMERCE 360:https://www.digitalcommerce360.com/2021/09/28/sephora-takes-foundation-matching-technology-a-step-further/?utm_source=the-hangout.beehiiv.com&utm_medium=referral&utm_campaign=ai-personalization-for-brand-loyalty

例えば上記は、SEPHORAという化粧品ブランドのColor iQ technologyというものです。店内で顧客の肌をスキャンし、分析し、最適な化粧品を提供し、データベースとして使えるように知見に落とし込んで蓄積する。いまでは何千もの肌色のデータセットから、買い物客や店員が顧客の正しい色合いを識別するのに役立っています。こういうことができるようになるのがAIです。

このようなインプットから予測分析をします。AIは過去の顧客行動を分析し、パターンを特定することに格段に優れています。過去の行動を見ることで、AIは将来の行動を予測することができるようになります。粒度の細かいスケールで異なる顧客間のパターンと傾向を特定することができるのです。

多くの場合、これらのパターンは直感的なもので構成されているわけではないので、人間はそのパターンを特定することができません。AIはブラックボックスのような性質を持っているため、私たちはAIがどのように機能するのか理解できず、AIはその理解できない思考で確実にパターンを作り上げます。

AIを使って過去の行動から顧客グループ全体の傾向を見つけることで、通常であれば見逃してしまうようなことを見つけることができ、その結果、適切な商品を、適切な顧客に、適切なタイミングで提供することができます。


②よりパーソナライズしたメリットを提供するためのアプトプット

ここは、大きく3つに分かれるかなと思います。

❶リアルタイムのカスタマーサービス
❷オムニチャネルマーケティング
❸ロイヤリティプログラム

1つずつ書いていきます。

❶リアルタイムのカスタマーサービス

チャットボットやその他のAI駆動ツールを活用することで、ブランドは会話形式で意味のある方法で顧客に即時サポートを提供することができるようになります。最近、チャットボットなんかを提供するブランドは増えている印象があります。このユースケースは中小企業には必ずしも当てはまらないかもしれませんが、ブランドが規模を拡大するにつれて非常に効果的になると思います。

企業のサポート・ドキュメントやFAQをトレーニングしたAIカスタマーサービス・ツールは、質問への回答、迅速かつ効率的な問題解決、営業時間外の対応に役立ちます。こういった対応力は、ロイヤルティプログラムの成功に不可欠な要素である、顧客の信頼と満足度向上に役立ちますね。

❷オムニチャネルマーケティング

オムニチャネルとは、オンラインとオフラインの両方で販売をすることを背景に置いておりますが、

AIは複数の異なるチャネルやプラットフォームにおける顧客行動のギャップを埋めるのに役立ちます。SNS、広告チャネル、Eメール、SMS、統合的なEC、自社EC、リアルな販売拠点など、AIはこれらの断片を結びつけ、統合された顧客像を作成できます。これが大きい。

増え続けるタッチポイントを横断して一人の顧客を追跡し、過去のデータを収集するのは人力では非常に面倒で、顧客が将来何を望むかを予測することはさらに途方もなく難しい。
AIは複雑さを増す中で成長し、膨大な量のデータで訓練することで、将来の顧客行動に関するより良い予測(どこで買い物をするか、ブランドが提供するどのような商品を買うか、ブランドが現在提供していない他のどのような種類の商品を欲しがるか、直感的に理解できなかったかもしれない他の特定の顧客の興味に関する洞察など)を作成することができます。明らかに価値がありますね。

❸ロイヤリティプログラム

そして、今日たどり着きたかったゴールであるロイヤリティプログラムとしてのアウトプットです。

AIで新しくなったのは、従来よりも優れた報酬を提供できるようになったことに尽きます。当然ですが、「より良い」というのは主観的なもので、人によって異なるものです。これまでは、一人ひとりに高度にカスタマイズしたオーダーメイドの報酬を提供することは不可能でしたが、AIであればこれを可能にできます。
例えば自分の行動例でいくと、コーヒーは毎日必ず飲みます。でも、空腹にカフェインを摂取するとおなかが痛くなるので、おなかがすいている時間には飲みません。また、おなかがすいている時間はかなりばらばらで、仕事が忙しいと食べない日もあります。そんな時は多分目にクマがあります。逆にクマがない日は元気です。でも活動のためのエネルギーはクマがあろうとなかろうと常に体に充満しています。頼むコーヒーはカフェラテが多く、ミルクはほぼオーツミルクです。たまに同時にBLTサンドを食べます。食べている最中に外をあるっているイヌが気になって、にこにこしている時が多々あります。
友達に言ったところでめちゃくちゃしょうもない情報ですが、このレベルの解析を全ユーザーに対してできるのがAIで、これができるからこそロイヤリティプログラムの特典に威力が発揮されるのだと思っています。


しかし、ターゲティングの精度が上がったときに、精度が高すぎて気持ち悪い、不快、というところからCookie規制が始まっているというのは一文脈としてある(他にも理由はもちろんありますが)ので、社会がどう評価するかは注視する必要があると思います。誰も不快にならず、日々の生活のクオリティがあがって驚きと喜びが溢れれば僕の嬉しさも一入なので、そんなプロダクトを発信できるように動いていこうと思います。

以上です、ご参照くださいませ!

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