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中国市場のインフルエンサーマーケティングの背景について

こんにちは。
今日は中国のインフルエンサーマーケティング市場に言及します。

まずはじめに、物を購入するとき、あなたはどのようにして購入しているでしょうか?私はオンラインで購入することが圧倒的に多いです。Amazonや楽天などのサービスを通して誰でもどこでも購入できるECは、物を購入するシーンとして日本でも広く使われています。しかし、実はまだまだリアルでの購入が多いのが日本で、日本のEC化率はまだ10%未満というのが現状です。それに比べ、中国はなんと50%弱という状況まで来ています。

インフルエンサーマーケティングに関する市場動向の比較
出典:SNS利用者数:DATAREPORTAL、ROM率・市場構造の推移:2023 Global Ad Spend Forecasts (dentsu 2022.12)、US Total Media Ad Spending Share (eMarketer) / 経済産業省2022年『電子商取引に関する市場調査』の報告書

この数値の背景には、様々な事象が絡み合っているのですが、ここでは代表的かつ分かりやすいものに言及します。

まずは、「テレビつまらない問題」です。
中国のテレビ放送は政府の厳しい規制を受けており、内容の制限や検閲は、特に若い視聴者にささるようなコンテンツの開発を妨げる傾向にあります。そのため、比較的自由にコンテンツ提供ができるインターネットベースのメディア(それでも一定の規制はありますが)にユーザーが集まり、テレビの収益が減り、更にテレビコンテンツがつまらなくなり……という循環の中で、テレビはどんどん見られなくなっています。

その結果として起きているのが、「オンライン広告比率の上昇」です。
ユーザーがオンラインにいるのであれば、当然お金もそっちに集まります。2023年見込みで、中国のオンライン広告比率は78.0%にもなっており、これは日本のオンライン広告比率よりも約24pt高い数値となっています。

また、ユーザーが集まるインターネットベースのメディアには、当然SNSも内包されているわけで、中国版InstagramであるREDや、中国のTikTokであるDouyinが良く使われています。以下はREDの例ですが、2020年時点(少し古いですが)でREDだけ見ても約1.3兆円の広告市場規模があることが分かります。

中国の広告市場規模(単位:億元)
※1中国人民元は、2024/2/2現在約20円です
※オレンジが中国の広告市場全体、青が中国のインターネット広告市場、赤がREDの広告市場規模


日本と大きく違う点としてここに絡んでくるのが、
①国民性の違いによる投稿率
②SNSに入っているライブコマース機能
の2つです。

日本人はよくシャイだと言われますが、一方で中国の方はしっかりと自己主張をし、更に経済的合理性が高いと言われたりもします。SNSにおいて、自己主張の指標は「ROM(Read only member)率=読専率」に表れます。日本は97%とものすごく高い数値に対して、中国は60%ほどです。要は、SNSユーザーの40%は投稿もしているわけです。
そして経済的合理性は、SNSにおいては投稿者側のライブコマース機能の利用動向に表れています。投稿するユーザーが大勢いること、経済的合理性を求める傾向にあることから、ライブコマース機能が中国にはあります。これは、アプリ内で買い物が完結できるという状態になっており、ライブコマースがないどころかEC機能も外部リンクに遷移して購入する必要がある日本とは、かなり違います。

こうした背景から中国ではEC化率が45.3%とかなり高い状態になっており、中でもSNS内でのEC=インフルエンサーマーケティングが盛んになっています。

中国のインターネット広告におけるインフルエンサーマーケティング構成比
※iResearchを基に推計試算

2023年現在、インフルエンサーマーケティング市場は、中国のインターネット広告の約40%を占めていますが、2030年には50%を超えるという試算も出ておりますので、ビジネス観点では非常に期待の持てる市場だと思います。
次回は中国の各SNSサービスについて紹介しようと思います。

以上ご参照くださいませ!

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