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文壇の華浴衣近況報告:浪漫を追いかける

 日々如何お過ごしでしょうか?

 今回も番外編ではありますが、良かったらお付き合い頂けたら幸いです。


 文豪の華浴衣について調査を地味に地道に続けている私達ですが、その方法のひとつに『リサイクル着物屋さんへの聞き込み』というものがあります。行ける範囲になりますが、まずはお店の方々に『華浴衣の存在を知ってもらうこと』を目的に、そして現存しているものを見つける足掛かりとしての一歩とする為に、こんなご時世ですがお話を伺う等して参りました。名を控えさせて頂いているお店も多いですが、お話を聞いてくださったこと、快く応じて頂いたことに最初に深く感謝致します。

 さて。

 今回私も聞き込みに伺わせて頂いたので、レポートとしてnoteにまとめることと致しました。

 訪問させて頂いたのは神奈川県横浜市にある『きらく屋』さん。田園都市線青葉台駅から徒歩五分程でしょうか。通り沿いにあるお店ですから、非常にわかりやすいと思います。

 実は私、この華浴衣調査を始めて和装への憧れが一層強くなったんですが(凄いことに私以外のメンバーは皆着物を上手く取り入れたコーディネートをしているんですよ…!)一歩踏み出す機会を頂けたのもあり、まずは羽織が欲しいなと思ってお店に伺ったわけです。資料として、華浴衣の図案(文藝春秋で掲載されたもの)を携えて、いざ。

 店頭には気軽に買えちゃう値段での着物や羽織、道行が並べられていて、まずそこで足止め食らいそうになりながら、緊張しつつもお店の中へ。棚には色とりどりの着物が収められていて「おおー……」となりました。

「いらっしゃいませ、何かお探しものがございますか?」

 そう声を掛けてくださったのはきらく屋の社長さんでした。優しそうでダンディな御方です。

「あの、和装自体が始めてで、普段に着られるような羽織が欲しいんですが」

「ああー、羽織は外と、あとここら辺だけかな。昔みたいな長い羽織は今入ってきてないんだよね」

 何でもコロナ禍で買い取りを停止しているとのことで(おのれー! コロナめー!)残念、とは思いつつも、そこでふと華浴衣について踏み切ることに。

「と、なると、今現在昭和初期の着物や浴衣もそう入ってきていない、ということですか……?」

「あー、そうだねえ……特に浴衣は難しいかなあ……」

「色々使われていきますものね、そうですよねえ……あの、実は私昭和四年から五年に作られたという浴衣について有志と調査しているんですが」

 話を切り出すと、おっ、という顔をされてから、社長さんは穏やかに「お伺いしましょう」と席を勧めて下さいました。じっくり聞いてくださる、という姿勢に感謝しつつ、お言葉に甘えてさせていただきます。



「なるほどねえ……先程もお伝えした通り、浴衣は現存が難しいんですよ」



 ですよねえ、と再度頷くと、社長さんは提示した資料を見ながら話を続けました。

「勿論、浴衣というのもありますが、まずここのところ戦前の着物自体が少なくなってきているんです。大体戦後、最近のものが多くなってきて、本当にアンティークと言って良いのかとも思うんですけどね」

「ああ、そういう……?」

「コロナで買い取りを中止しているというのはあるんですが、年々見なくなっているのは確かですね」

 『継承』が上手く行われていない、というのも原因のひとつだそう。それで着物が廃れていくのは、あまりにも切ない。

「でも」

 言葉は続きました。



「それでも、巡り逢えたら浪漫ですよね」



 社長さんは微笑んで仰って下さいました。

 情報を社員さんとも共有しておきます、と心強いお言葉も頂き、私も浪漫に巡り逢うべく頑張ろう、と決意新たにしたのでした。



 さて。

 私は着物初心者ですが、着物は昔から本当に憧れていてですね。

 なので、羽織を二着お迎えしちゃいましたよね!

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 黒羽織は欲しかったので。これ刺繍が可愛くていいなあと思ってお迎えしたものになります。

 紅の絞りの方は、何と未使用だそうで……(しつけ糸がついていました……)

 調査と共にこちらもどんどん学んでいかねばな、と気持ちを新たに致しました。



 現在緊急事態宣言は解除されたものの、まだまだ油断は出来ない状況であります。

 自由にあちこち飛び回れなく調査も牛歩、というところですが、気長に見守って頂けたら幸いです。



 今回、お話を伺わせて下さったきらく屋さん、本当に有難うございました。

 こちらの話を真摯に聞いてくださり、調査への理解を示してくださったこと、重ねて感謝致します。

 

 きらく屋さんのホームページはこちら。

 https://www.kiraku-ya.jp/ 


 この値段で? というお値段での掘り出し物に巡り会えたり、様々な着物を見ることが出来ますので、是非に訪ねてみては如何でしょうか。

追伸:着物若葉マークの私めですが、メンバーのお陰でかなり着物にご縁ができつつあります。羽織紐作ったり、実際に着付けを習ったり。記念館に気軽に伺えるようになった頃には和装で御挨拶に伺いたいものです。

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宜しければサポートお願い致します。 サポートは調査活動等に使わせて頂きたく思います。