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「STILLE DORST」オランダ産ゲイ短編映画が何度観ても傑作

YouTubeでたまたまみつけた
オランダのゲイ短編映画が
何度観ても傑作なので
ぜひとも観てもらいたく
こちらでシェアさせてもらう。

「STILLE DORST」*英題「HIGH TIDE」

わずか20分の作品
日本語字幕もあるので
まずは観てほしい。


*注
ここからはネタバレを含む
感想を記述していきます。


感想

傑作。
イケメン同士のキスシーン目当てという
ほんとしょーもない理由で
観始めた自分が
めちゃくちゃ恥ずかしい(笑)
たった20分という時間で
ここまでの描写ができることに
感嘆した素晴らしい作品。

ここからは登場人物の観点で
感想を語っていきます

タリック

コテージに来た中年男性
作中から分かるのは
ゲイであることを隠し
家庭を持つも、
妻と離婚または別居していること

この作品でまず好きなところは
ゲイであることが許されなかった
時代を生きてきた

というのが痛いほど伝わってくる
彼の演技だ。

青年の身体を観て
二度見してしまうところ
一人になった時に、干している
青年のTシャツの匂いを嗅ぐところ…
文章だけでは伝わりずらいが
ここの部分、細かい所が
本当に良く描かれてるんです。

場面が進み、青年から
キスをされそうになったところ。
彼はかなり動揺し
一瞬だけキスをするも
突き放すように離れた。
ここはホントに悲しい。
普通のロマンス描写なら
お互い熱いキス!…
となるところだけど
タリックは突き放した。
これがもう
本能に逆らえなかった自分を
拒絶する(ゲイになってはいけない)
という行動そのもので
いかに彼が葛藤で苦しんでいるか
分かるからだ。

ここで一旦視点を青年の方へと変える。

ジョナス

コテージを運営している青年
黒歴史的な10代の頃作った性詩集を
タリックにオープンに話す所から
察するに、彼はオープンリーゲイか。

タリックの悲観的な演技とは
対象的にジョナスの温かい包容力
もまた素晴らしい。

前述の通りタリックにキスをするも
突き放されたジョナス。

その後彼はタリックの手を握り
「大丈夫…大丈夫だから」
と手を軽く掴み
おでこにキス。
そして一旦離れる。
落ち着きを取り戻したタリックが
近づき、キスをしようとしてきたら
「…いいんですか?」
と聞き、タリックが頷いてからキス。

ここでの彼の優しさよ…

いいじゃんとばかりに
無理矢理キスを続けるでもなく
ひねくれて離れるわけでもなく、
一旦タリックを安心させてから
彼にどうするか考える時間を与えた。
そして彼の方からきても
一度確認をしてからキスをした。

タリックの動揺を優しく溶かす
この彼の包容力と優しさがもう
完璧なのだ。素敵すぎる。

ラストシーン

ラストシーンの
タリックのセリフ

「32年間…彼女を苦しめた…」

このセリフよ
「32年間…苦しかった…」
ではないところが感慨深い。

普通なら自身の苦しみを
一番吐き出したいところだ。
しかし彼は偽りの自分によって
妻を苦しめたという自責の念を伝える。
これがいかに彼が優しい人間であるか、
そして自身を押し殺してきた
人生かも連想させられる。
これがまた辛いんですよね…

総括

ゲイであることが許されなかった時代を
生きてきた一人の人間の苦しみ、葛藤が
青年の優しさで少しずつも溶けはじめ、
救われる点が非常に丁寧かつ
繊細に描写されていた。
普通に2時間の映画として
みたいレベルで良かった傑作


俳優紹介

Mouad Ben Chaibmaeups

作中のセリフから
おそらく50代辺りの
中年男性を演じた彼。
しかし劇中の彼の
リアル年齢はなんと34歳!
これにはビックリ
たしかに身体の肌ツヤがとても
中年男性には見えなかったな
しかしそれでもあの貫禄はすごい…

Joshua Albano

ジョナス役を演じたJosha
劇中の役年齢とリアル年齢は一緒。
若干少年ぽさが残るも
しっかりと逞しい胸筋に
作中のタリックと同様、
初見時、私も二度見してしまいました。


以上

最近、自分の中で
オランダのイケメンが非常にアツいので
どんどん発掘して行こうと思っております

ではでは










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