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【短歌連作】妹(作:依田口孤蓬)
膨らみしお腹をさする人がゐて明日には母にもう一度なる
ひとりだけのままがよかつたいつまでもははのとなりでねていたかつた
姉になるまでは絵本を抱きながら二段ベッドを一人で使ふ
母の腕思ひながらに寝る吾の耳を傾けさせしモビール
物干しに風を乞ひせし面影を見せてボタンは行列となる
ゆつくりと乾きし母の唇の狭間より漏る中絶のこと
日盛りの中へ産まるるはずだつた妹のかほ思ひ出せぬ
太陽の沈む地平と平行な机の線に平行なうで
1月に生まれたばかりの切り株の上に粉雪は腰掛けてゐる
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