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【詩】フミちゃん(作:小林亀朗)

朝の電車に乗るなら
先頭の車両へ行き
1番端っこで
席に蹲る
人々を
見ると良い

フミちゃんは風に巻かれ
階段から駆け降り
閉まりかけのドアの
隙間から走り込み
膝に手を当て
息を切らすでしょう

そんなフミちゃんを
眺めるのに
この場所は
とても良いのです
蹲る人々と
息を切らす彼女の
生き物としての
対比に
笑ってしまいそうに
なれるから 

フミちゃん
あなたにとって
この世界は
どういうものですか
フミちゃん
あなたは
この世界で
生きても良いと思いますか
それとも
ひぐらしがしきりに鳴く頃に
首を吊ってみたいですか

どちらでも良いでしょう
フミちゃん
どちらでも
僕は朝の電車の
1番隅っこで
息を切らしている君を
見ていられれば良いのです

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