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【資料作成のコツ(続編)】編集者であること

数年前、会社の先輩に教えてもらって腹落ちし、それ以来私が意識して取り組んできた役割、それが「編集者」です。

編集者の存在

企業における資料作成は、小説や評論を書くときと同様に、執筆者と編集者としての役割が必要です。編集者とは、執筆者に書いて欲しいテーマを設定しシナリオを固める役割、そしてクオリティーを高め最終化をする役割を担います。なお、一人で執筆者と編集者の二役をすることもありますし、数人で取り掛かる大規模なタスクもあるでしょう。

そして、企業における資料作成は、編集者としての役割がより重要になっていると考えています。社内には多くの専門家がいます。編集者としては、彼らの知見を最大限に引き出すために作成したシナリオを合意し執筆してもらいやすくすること、そして聞き手に分かりやすく価値を伝えることにフォーカスすることが求められています。

なお、私自身は最近編集者から執筆者の役割に変わったと認識することが増えたわけではありますが、どちらの役割を担って動いているか立ち位置を都度認識することも大切です。

編集者がすべきこと

さて、編集者がシナリオを固めるためにすべきこと、それは情報探索と整理の実践です。そのための手法は次のとおりです。

社内にはたくさんの情報があります。資料格納庫には先進事例が埋もれているでしょうし、メッセージングツールには有益な質問回答ログが溜まっています。もちろんググれば有効なデータがあるはず。情報には事欠きませんが、場合によってインタビューをする必要が出てくるかも知れません。

それらをクリッピングし、鮮度(有効期限はいつか)と信憑性(情報源は何か)を確認して絞り込みとグルーピングを行います。そして、そこからシナリオに合うこれぞという情報を選考するわけです。

次に、表計算ソフトを使って縦横の軸設定を意識したマトリックスチャートなどで情報を整理整頓します。次のような整理ができると良いでしょう。

  • 問題点に対する解決の方向性は何か
    問題点の深掘りをする機会にします。また、問題点と解決の方向性を結びつけることで、本当にその問題点が解決できるのか確証が持てるようになります。

  • 誰にとってどのような価値・期待効果があるのか
    顧客が誰かを考える機会にします。バリューチェーン上に多くのプレーヤーがいますし、顧客の社内にも部門や役職によって関心事が異なります。そして、顧客視点で考える作業をすることで、多様な聞き手に対しての説得材料を持つことができます。

  • 業務ごとに持つべきビジネス能力・企業が持つべきIT能力は何か
    解決策あるいは目指すべき将来像が検討されている場合には、業務の視点から持つべきビジネス能力を記述します。必要に応じて企業が持つべきIT能力も記述できるでしょう。

これを執筆者と共有し、ディスカッションをします。執筆者にとって、キーとなるメッセージを固め執筆するための最善手となるはずです。

最後にクオリティーチェックを行います。このタイミングで、資料の分かりやすさの観点から、図表のブラッシュアップや文章の校正を行います。これが編集者の最後の役割です。

資料作成時に実践できていますか?
分かっていても、実践できていると自信を持って言える方は少ないのではないでしょうか。先を急ぎたい気持ちは分かりますが、立ち止まって時間をかけて取り組むことで資料はキラーコンテンツになります。長く使われるコンテンツにもなるでしょう。

編集者として、取り組んでみてくださいね。

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