見出し画像

抜け道はあなたのために

叶わない恋をしたことがあった。

私より6歳年上の方、子どももパートナーもいた人だった。先日、その人が住んでいる近くを車で通ったのでふと思い出した。

なんであの頃、苦しいくらいあの人のことを考えて、想って、デートを重ねたり、身体を重ねたりしたのだろう。心のどこかでは一緒になったらいけないと分かってたし、それを望んではいけないことも分かっていた。

「よっしぃさん、ここまっすぐですよ」

私は右折を出して曲がった。幹線道路ではない道を進む。
だんだん細い道になっていく。それでもかまわずに進んでいく。

「こんな細くて狭い道、よく通れますね。どこにつながっているんですか」

もちろん、同僚は私の過去何て知らないし、この道も知らない。
あの頃になるべく早く会いたいと思って、毎回色々な道を試しては失敗したり、うまく行ったりして、最終的に同僚を乗せて走った道を経由すると私の家から早くつくことが分かった。

「あっ、ここに出るんですね。これだと会社に早く戻れますね。それにしてもよくこんな道、知っていますね」

あの頃、
早く会いたかった。
早く一緒にいたかった。
早く話をしたかった。

抜け道はそんなあなたのために覚えた。

ただそれだけ。





このことは、いつかnoteに記せたらと。