見出し画像

支笏暁雨

うっすら明るい曇り空から
生まれたての稚魚のような雨が落ちてくる

見渡すかぎりの湖面に
次々と波紋が咲いては消えていく

向こうの入り江の陰から
靄がゆっくりと両手を広げる

浮いて漂う わたし

遥か下 深く 深く
生物を窒息させるような
濃密な生命力が
根を張り巡らせる

森の木々の咆哮のような
圧倒的な静寂

溺れるほどに身を浸す

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?