【短編】我が王のサナギ
我が王は虫が好きだ。
虫好きにもいろいろあるが我が王は蝶を好む。甲虫の精悍さや、鈴虫の鳴き声には目もくれない。
我が王が好きなのは蝶、とりわけそのサナギである。
幼虫からサナギを経て、ふわりと優雅に飛び立つ蝶。我が王は蝶という虫そのものの美しさよりも、その飛翔の瞬間を愛しているように見受ける。
我が王の元に届けられたオオコガネチョウのサナギは100匹。
それを我が王は実に手際よく仕分けていく。即ち、生きているものと死んでいるものにだ。私にはまったく判別がつかないが、我が王