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『演技と身体』

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東西の哲学、解剖学、脳神経学、古典芸能(能)の身体技法や芸論を参照しながら独自の演技論を展開しています。実践の場としてのワークショップも並行して実施していきますので、そちらも是非… もっと読む
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2022年10月の記事一覧

『演技と身体』番外編2 舞台「相対性家族」 高山康平(作・演出・美術)セルフインタビュー

『演技と身体』番外編2 舞台「相対性家族」 高山康平(作・演出・美術)セルフインタビュー

舞台「相対性家族」 高山康平(作・演出・美術)セルフインタビュー今回は、いよいよ目前に迫った舞台「相対性家族」のテーマについてセルフインタビュー形式でお話しします。
あくまで作品の背後にある考えを述べたもので、ストーリーとは直接は関係ないと思います。なので、あえてややこしく考えたい人のための記事であり、観劇に当たって読んでおく必要は特にないです。あと、ネタバレというほどではないですが、ちょっとスト

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『演技と身体』番外編 舞台「相対性家族」 高山的演劇観

『演技と身体』番外編 舞台「相対性家族」 高山的演劇観

舞台「相対性家族」 高山的演劇観今回は番外編ということで、いよいよ来週に迫った舞台「相対性家族」について書こうと思う。
僕が作・演出を務めるこの作品は、僕の初・舞台作品だ。この連載『演技と身体』の内容に沿ったワークショップから生まれた企画である。
演技というものを根本から捉え直し、これまで試したことのない手法で演出に臨んでいる。ただそうしたテクニカルな部分については舞台の本番前に話すべきではないだ

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『演技と身体』Vol.42 無意識の話⑩ まとめ

『演技と身体』Vol.42 無意識の話⑩ まとめ

無意識の話⑩ まとめ全10回に渡って無意識についての考えを述べてきたが、僕自身も無意識の領域を専門的に勉強しているわけではないので、今後実践を通してさらに探っていきたいところである。
最後に全体のまとめを述べておこう。

諸行無常=無意識も自己も変化し続ける

意識的な動作は反復によって無意識化し、逆に無意識の動作はエラーが起こった時などに意識化されるのであった。このように、普通ものごとは意識と無

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『演技と身体』Vol.41 無意識の話⑨ 声の響きと無意識

『演技と身体』Vol.41 無意識の話⑨ 声の響きと無意識

無意識の話⑨ 声の響きと無意識前回は脳の活動そのものを低下させることによって「恍惚」状態に接近する方法について考えたが、セリフという言語構造の枠内で「恍惚」状態に近づくことはできるだろうかという点を今回は考えたい。

響き

僕が可能性を見出しているのは声の“響き”だ。
例えば、歌を歌っている時や聞いている時に突然涙が出てきたり、感情が昂ったりしたことはないだろうか。
音楽は無意識の表面化を引き起

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『演技と身体』Vol.40 無意識の話⑧ 言語構造から抜け出る

『演技と身体』Vol.40 無意識の話⑧ 言語構造から抜け出る

無意識の話⑧ 言語構造から抜け出る
前回は、言語構造を抜け出た世界や個人的な無意識の外にある自他の区別のない世界(集合的無意識)に足を踏み入れた状態について話したが、今回はそのような「恍惚」状態に到達するための演技の方法論について考えていきたい。

言語レベルでの自己を放棄する

無意識状態を表面化させるには意識の働きを低下させる必要がある。
Vol.37、38の記事では、言語構造の中にある無意識

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