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『演技と身体』

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東西の哲学、解剖学、脳神経学、古典芸能(能)の身体技法や芸論を参照しながら独自の演技論を展開しています。実践の場としてのワークショップも並行して実施していきますので、そちらも是非… もっと読む
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2022年4月の記事一覧

『演技と身体』Vol.18 脚本の読み取り② 書かれていないことについて

『演技と身体』Vol.18 脚本の読み取り② 書かれていないことについて

脚本の読み取り② 書かれていないことについて前回は「書かれていることについて」と題して、脚本の読み取りについての考えを書いたが、今回は「書かれていないこと」というテーマで書いていく。まず、前回も述べたことだが、脚本の読み取りは自由で良いと思う。その上で、これから書いていくことが何かヒントとなれば幸いである。

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多くの役者がやってしまいがちなことの一つに、「言葉を言葉通り

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『演技と身体』Vol.17 脚本の読み取り① 書かれていることについて 

『演技と身体』Vol.17 脚本の読み取り① 書かれていることについて 

脚本の読み取り① 書かれていることについて勝手にしやがれ

まず述べておくと、脚本をどう読み取るかというのは絶対的に自由である。何をどう解釈しようが、何を見出そうが、何を想像しようが、誰もそれを妨げることはできない。全く何も読み取らない自由さえあるかもしれない。
しかし自由だと言われると却ってどうしたら良いのかわからない人もいるかもしれないし、無意識のうちにある一定の読み方に縛られてしまっている人

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『演技と身体』Vol.16 演技のドラマ性〜動きが意味を生み出す〜

『演技と身体』Vol.16 演技のドラマ性〜動きが意味を生み出す〜

演技のドラマ性「シナリオのドラマ性」と「演技のドラマ性」

我々が作る作品のほとんどはシナリオや少なくともプロットがあり、その流れに沿って各シーンの演出や芝居を決めていく。観客も、シナリオ全体の話の流れに注目し、それに感動する。こうしたシナリオの持つドラマ性については多くの人が普段から意識する部分であり、ことさら説明も必要ないだろう。しかし、そうした「シナリオのドラマ性」とは別に「演技のドラマ性」

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『演技と身体』Vol.15 表情について② 技術編

『演技と身体』Vol.15 表情について② 技術編

表情について② 技術編※色々と勉強している中で、本記事の内容の一部が微妙に間違っている事に気が付きました。顔の筋肉の構成についてのあたりです。言いたいことの雰囲気としてはそんなに変わらないのですが、一応ご注意してお読みください。後日修正します。

内臓から動かせ

前回の記事では、表情というものに対する考えを述べたが今回は技術的な部分に立ち入ってみたいと思う。
前回述べた通り、表情というのは感情の

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『演技と身体』Vol.14  表情について①

『演技と身体』Vol.14 表情について①

表情について①表情はコントロール可能か

顔の表情は言わずもがな演技における最も重要な要素の一つである。
感情は目に見えないが、表情は目に見える。だから、演技に限らず日常でも私たちは顔の表情を通して相手の気持ちを推し量っている。しかし、それだけに人はみな表情を読み取る能力に長けており、そこに嘘臭さがあるとすぐに違和感を察知できる。
すると表情を演技の表現として扱うというのは実は思っている以上に高度

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