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日本の地域公共交通がICTを真に活かすには? ~解決のアプローチ編~
NICT Beyond 5G研究開発促進事業に採択され、ICTやデータを用いた地域公共交通の近代化に取り組むことになりました。遂行にあたり、危機意識と解決のアプローチについて、個人的な考えをまとめました。
前編「危機意識」はこちら↓
地域課題解決のプロセスを作りつつ技術を生む
特定の要素技術やデータを押し付け、流行り言葉を振り回すのではなく、地域が解決を希求する課題を抽出・定義し、その解決プロセスを作りつつ技術を生んでいきます。
スピーディーな現場改善と長期ビジョンを両立する
机上の検討を進めて最後に実験をするのではなく、今年度・来年度から実社会で効果を生むスピードを重視します。まず現場の困りごとを解決し、関係者が創造的な時間を持てるようにするとともに、研究・技術に対する信用を獲得していきます。
一方で長期的な地域ビジョンと技術ビジョンを描き、世に提示し続けることで、地域軸と技術軸の仲間を増やしながら、よりよい社会の実現を目指します。
ヨソモノ研究者・外部資金の強みを活かす
地域の特定の会社や部局に属していない私達が、「研究」の名目のもと心理的安全性の高い自由な言論空間を構築することで、これまで諦めていた、組織や分野をまたいだ本音の議論を引き出し、真に取り組むべき目標を見出します。
地域の予算だけでは難しい技術開発に挑戦しつつも、現地での継続・発展、さらには他地域展開により実社会にインパクトを生み続けられるようにします。
データを肴に対話する
研究者の経験・技術が限られていることを自覚し、地域の当事者や、異分野の専門家との対話を通じて知恵と熱意を融合させ、地域住民と共にあるべき姿を模索します。
対話の際にはデータを囲みながら、対立構造ではなくデータで見える化された地域課題に共に向き合い、データからインテリジェンスを引き出しながら、解決することを目指します。
道路を含めた最適化を図る
公共交通分担率、バスの定時性、外出によるQOL向上、来訪者の回遊など共通の目標をデータでモニタリングします。
需要誘発を及ぼし際限の無い道路整備に偏重することなく、公共交通、道路整備、道路交通規制の3分野にバランス良く効率的に投資がなされる社会を目指します。
移動・物流・通信の幸せな補完関係を再設計する
コロナ禍で、移動しなくても、リモートワークやWeb会議で仕事が回り、宅配・通販で物にも困らない世界を人類は経験しました。一方で、引きこもり・家庭内ストレス・学力低下・Web会議疲れ・肥満といった課題も表面化し、身体を動かし、五感で交流することの重要性、希少性も逆に浮き彫りになりました。
日常的な用事や交流については、通信と物流に頼れるような設備やサポート体制を各戸に整えつつ、時には体を運んで、五感を通じた深い交流や、人やモノとの偶発的で新たな出合いを楽しむための移動を確保する、といった移動・物流・通信の補完関係を再設計する必要があるでしょう。とりわけ、人の集積が低い地方部こそ、移動だけでなく通信や物流を組み合わせが効果的でしょう。
公共交通とICTの価値を提示し投資を引き出す
地域公共交通が社会において発揮する価値をデータで可視化し、発展の方向性と投資価値を示し続けます。地域公共交通の価値向上へのICTの寄与についても同様に可視化し、地域公共交通×ICTへ継続的に投資されることを目指します。
業務改善への投資を皮切りに、サービス向上、仕事の魅力向上、優秀な人材の集積が進むという正の循環を回すことで、貧乏・面倒・根性から脱し、地域公共交通を魅力ある産業へと再生することを目指します。
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