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Z世代のポテンシャル人材を受け入れるマーケティング3.0という新しい組織開発

ノバセルの小林です。
これまでマーケティングやそのキャリアに関するNOTEを2本出しましたが、今回は組織という観点で書きたいと思います。
ノバセルでは今年から学生インターン制度を採用しはじめ、気づけば11/21現在で8人のインターン生が活き活きと仕事しています。
こうしてZ世代(1990年後半以降の生まれ)の若者達との接点が生まれたのですが、我々はそのポテンシャルの大きさに気付き、このインターン制度を加速させています。
なぜか?
いたってシンプルで彼らが”これまでの常識では到底測れない、やばい人材”だからです。生まれたころからスマホやらで情報を浴び続け・・・みたいなベタな話はほかでたくさん書物もあるのでそちらを読んでもらいたいですが、いよいよこの世代が社会に登場するフェーズです。
このZ世代=”これまでの常識では到底測れない、やばい人材”がもっと成長できる環境をどう作るか、そして既存組織とどう融合していくべきなのか、についての私見をまとめます。

NOTEを通して伝えたいこと
・マーケティング組織の活性化、そして未来を作るのはシニアなプロフェッショナル人材だけではなく、若いポテンシャル人材も重要であること
・特にZ世代は明確にこれまでの尺度は図れない、ポテンシャル人材であること。彼らが最大限活躍できる土壌を作らないといけない。逆にこれができると、人材という観点で大きなアドバンテージになり得る。
・その上で、若いポテシャル人材のパフォームを評価し、そしてミスを許容できる組織を作ることが先決。その育成においては一人ひとりのポテンシャルを見極めて上で、Job rotationすることが重要。
・若いポテシャル人材を受け入れることはシニアメンバーにとって自己否定につながるケースもあるが、これを勇気を持って受け入れることで組織は一歩先に進める

こんな人に読んでもらいたい
・マーケティング採用の責任者、またマーケターの採用に困っている方
・今後若手ポテンシャル人材の採用を考えている方

AGENDA
0. マーケティングのキャリア形成に悩んだ新卒時代
1. ロレアルが取り入れた”マーケティング3.0”という新しい組織の形
2. そして、ノバセルへ。若いメンバーとの出会いとアンラーニング
3. 成長速度に答えはない。老害にならずに、現実を受け入れて若いポテンシャルの育成に力を入れると決める
4. 若手ポテンシャル人材の採用と育成

0. マーケティングのキャリア形成に悩んだ新卒時代

新卒ではロレアルというフランスの化粧品会社にいました。
いわゆる外資系マーケティングカンパニーで、マーケターが非常に強い力を持った会社です。
そのマーケターの中でも花形と言われていたのが、Product marketing、要は製品担当者です。製品に紐づく販売戦略からサプライチェーン(需要と供給のバランス)、ファイナンスまでを幅広く俯瞰する業務です。
このポジションで昇進をしていくと、Product→Category→Brand・・・とみる領域がどんどん広げていくという形でキャリア形成します。
私も新卒でこのProduct marketingという、いわゆる花形のポジションに配属され、何も疑うことなくそのまま約3年間仕事をこなしました。
ただ、4年目に差し掛かろうとしたとき、ある会議でデジタルマーケティング部とデジタルがらみのトピックについて議論したとき、「全く話についていけない」という課題に当たりました。
当時の私の仕事は上記のように幅が広すぎるが故に、これといって明確なプロフェッショナル領域がなかったのです。
こんなにデジタルデジタル叫ばれる時代に、マーケティングの領域に身を置きながらこの知識のなさはまずい、いずれか人材としての価値はなくなってしまう、と強い危機感を抱きました。
ただし当時は新卒で入ったポジションから別のポジションに異動するのは昇進が遅れるという認識があり、あまりポジティブに捉えられておらず、またそのような組織制度もありませんでした。
そこで当時の上司に自らProduct marketingから、Digital marketingのポジションに異動させてくれ、と打診しました。
その時は周囲のメンバーからは昇進が遅れるからやめておけ、と猛反対を受けました、キャリアを捨てるのかと。
ただ私の上司は非常に前向きにこの異動を後押ししてくださり、結果デジタルマーケティングを1年、そしてE-commerce marketingを1年と、結果日本にいた4年間で3つのポジションをこなすという新しい形のキャリアを切り開きました。
その後、現在はノバセルで様々な会社のマーケティング組織を見る機会がありますが、まだまだ日本にはマーケティング組織の作り方に困っている会社が多いのだと気付きました。


1. ロレアルが取り入れた”マーケティング3.0”という新しい組織の形

当時は異質扱いを受けた私の異動から1年後、ロレアルはグローバルでマーケティング3.0という新しいキャリア開発の仕組みを導入しました。簡単に言えば、一つのマーケティング職種をやり続けるキャリア形成ではなく、Job rotationして複数のロール(例:Product, digital, EC marketingを3つやる)をこなしてgeneralなマーケターになることを正式に推奨し、そういった人材をどんどん昇進させていくという180°これまでの考え方を変えたものです。
これは私が一人で勝手にJob rotationをしたちょうど1年後に取り入れられました。(ここだけ聞くと、私がこの制度を作ったように聞こえますが、実際は全く関係なく、たまたまです笑 ただ、先見の明をあった、ということにしておきましょう笑)
私はこの組織制度導入のリードするメンバーの一員だったのですが、色々論点はあれど、この仕組みはマーケティング組織開発の正解だと、下記2つの理由から確信しています。
①デジタルやEC、SNSなどはこれまで”HOW"のマーケティングとして扱われてきたが、ここまで重要度が増してくるとDirectionを取るうえで一定理解し、戦略に正しく組み込める人材である必要がある
②一つのポジションをやり続けると間違いなく成長カーブは鈍化するので、Positionを変えることで非連続的な成長曲線をキープする
③同じマーケティングの中でも、常に新しい角度から学ぶことで顧客理解が深まる(例:Product marketingの時は定量・定性調査において顧客を理解するが、DigitalやSNSの担当はソーシャルリスニングを重要視するなど)

ここでお話ししたマーケティング3.0の考え方は後程、再登場します。

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2. そして、ノバセルへ。若いメンバーとの出会いとアンラーニング

その後上海にあるロレアルアジア統括を経て、ノバセルへ転職しました。転職して数日経ったタイミングで学生インターンの青木さんという東北大学の学生と、宇田川さんという東京大学の大学院生がJoinされました。

この二人は私のチームメンバーなので彼らの育成担当となりました。
正直初めは「所詮は学生だからオペレーションを任せて、ちょっと伸びてきたら資料の整理などをやってもらおう」と予定していました。
が、1-2か月経ったときに、「この二人を自分の物差しで測ってはいけない」ということに気付きました。
貪欲に仕事を求め、社員と同じレベルのコミットメントレベルであり、そしてなによりアンラーニングするものがないからこそ成長速度が異常だったのです。
初期(2か月目)まで与えていたオペレーション業務では二人とも物足りなくなり、マーケティング戦略立案業務にもどんどん染み出そうとする二人を見て、一部の高度な戦略業務にも携わってもらうようにした結果、中期(3-4か月目)タイミングにおいては60~70点のレベルのアウトプットを出せるようになるまで成長しました。
あくまで私目線ではありますが、新卒2-3年目のマーケターと比較しても遜色ないレベルだったと思います。少なくとも私がロレアルに新卒で入社した2-3年目時のレベルと比較すると同等です。
これは非常にうれしくもあり、ショックでした。自分なりには頑張ってきたはずなのに、現実に今目の前にいる学生インターンは数か月でそれを凌駕するレベルにいるということが受け入れられなかったです。自分の価値は何なのか、自分のこれまでのキャリアはなんだったのかと何度も自問自答しました、仕事から家の帰り道に。

3. 成長速度に答えはない。老害にならずに、現実を受け入れて若いポテンシャルの育成に力を入れると決める

成長速度にガイドラインはありません。例えば大学受験をみても、京都大学の恐らく3割程度は1-2年浪人をした人で、残りはストレートで入学した人です。勉強時間をかければみんな東大に入れるわけでもありません。
どんな師に出会い、どんな方法で努力をするかによって成長速度は何十倍にもなります。才能という要素も勿論ありますが、それをもってしても大谷翔平のパフォーマンスは説明がつきません。
特に、今の20代の層はこれまでの時代とは育ってきた環境が明確に違います。オンラインで英語が学べ、欲しい情報のほぼ多くはスマホで吸収し切れる。デジタル世界への対応力で言えばもはやNATIVEレベル。(私はノバセルに入るまでSLACKを使ったことがなかったのですが、今の大学生はサークルなどで普通に使っているそうです笑)

インターンの成長を見た私はこのように理解し、少しばかりの自己否定もし、結論として「この現実を受け入れて、彼らの邪魔をする老害ではなく、彼らのさらなる成長を促せる指導者になろう」と心に決めました。
このジレンマは組織全体においても起こることで、やはりインターンを採用し始めた初期には「学生に大事な仕事をさせるな、ミスしたらどうするんだ」「どこまでいっても学生は学生」などという意見もあったのが事実です。これは一定仕方ないことで、私も初期はそう思っていたので、こういった意見を否定はしません。
ただ、彼らの成長を誰よりも近くでみたからこそ、アンラーニングしないといけないのは学生ではなく、キャリアを持った社員である、ということを肌身を持って理解しました。

この手の課題は、学生インターンのアウトプットを定期的に全体にシェアすることや、都度学生インターンの立ち位置を組織に説明することで解決できました。また、インターンという響きがあまり良くないと感じ、”学生社員”という呼び方に変更しました。

結果、現在ノバセルには優秀なインターンが7名まで増え、非常に高いコミットメントレベルと組織貢献をしていただいております。
学生社員の成長は組織成長だけでなく、社員の下からの突き上げになるため、組織全体の活性化になると考えています。

4. 若手ポテンシャル人材の採用と育成

では、この手の学生社員を含む若手ポテンシャル人材をどう採用し、育成するのか?
それぞれ一般的に言われていることは多くあるのですが、私としては

・採用
とにかくやる気があること。挫折した経験を持ち、そこから這い上がる底力があること。そして自分自身が取り組む事項を圧倒的に自分事として捉えることができること。
ほかのことはだいたい組織の誰かが教えられるが、この側面だけは教えられないので、上記が最大の素質です。
ロレアル時代の尊敬する上司に、マーケティングとかスキルとかは後でいくらでも教えられるけど、PASSIONだけは後天的にどうにもならないからそれを重要視していると教えてもらったことがありますが、私もそれを実践しています。
逆に持論ですが、現時点でのアウトプットレベルだけでポテンシャル人材を推しはかるのは非常に難しいと思います。
入社時の多少の差は、その後のキャッチアップや吸収速度によって一瞬で埋まるので。
このポイントはこれからZ世代を受け入れていく企業において非常に重要な視点だと思います。

・育成
人としての向き合いとして、これまでと何かを変える必要はありません。
が、私がずっとやり続けているのはたとえ学生であっても社員と同じように向き合うことです。学生にプロとして仕事を捉えてもらう、ということです。勿論、言い方がきついとか色々ありますが、それでも学生社員がパフォーマンスを出せば評価し、昇給させる。社員と同じように1on1など向き合う時間を必ず取るなど、やりきっています。

そして若手ポテンシャル人材の育成として非常に効果的だと感じるのは、上記で述べたマーケティング3.0の組織開発です。
つまり、その組織におけるjob rotationをどんどん進めていくということです。吸収速度と情報処理速度が段違いに早い彼らの特性に合わせて、どんどん新しい領域を短期間で任せていくスタイルです。
実際にノバセルのインターンに参加頂いている学生社員の皆様には、2-3セグメントの仕事を任せており、みなハイパフォーマンスを誇ります。
ただし、この時に重要なことはその一人ひとりの学生の意志を理解し、尊重すること。そして任せると決めたなら、任せきること。その際、実際はミスが発生しますが、それまでをマネージャーがカバーしきるくらいのマインドセットが大切です。

唯一、Z世代の弱点があるとすると、要はスマホで情報が取りやすい時代がスタンダードな世代なので、教育の仕組みや優秀なマネージャーがいる上ではハイパフォームするが、そうでない場合は自分で組み立てきれずに折れてしまう可能性があります。あくまで可能性の話で、何か検証したわけではないのですが、若手ポテンシャル人材を採用するということは、彼らがパフォーマンスを出せるところまでシニア層がコミットすること、またそれを評価する制度をもつことがセットであるべきなので、ここまでやり切って一つの組織の拡張性になると思います。

そんなノバセルのインターンに是非参加したい!という方は、是非私にDMください。心からお待ちしています。


今日はここまでですが、まだまだ我々も取り組みを始めたばかりなので、疑問や意見などドシドシ頂ければ幸いです!DMやオンラインMTGなどもお待ちしています。それでは!

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