コラム用手書き絵

KA法で出来事から心の声や価値を深く捉えるには

質問されてあらためて考えてみた第2弾です。
「KA法でユーザーの心の声と価値を考えるのが難しいのでコツはないですか?」という質問。

以前のnoteでも触れましたが、KA法をするときはユーザーの主観を意識することが大事になります。ただ、とある状況でユーザーが行動するときに、何に価値を感じて行動したのか、直接心の動きを想像するのは難しいかもしれません。

質問をされて自分がどうやっているのか意識してみると、直接ではなく手順を踏んで考えていると思ったので、その手順を整理してみました。


1. 「出来事」を読んでなるべく具体的にそのシーンをイメージとして思い浮かべる。

2. そのシーンに自分を置いてみて、行動したときの自分の心の動きを感じとる。

3. 自分の心の動きを投影して、ユーザーの価値観だったらどうなるか類推する。

4. 類推した心の動きから、「出来事」に含まれる価値を捉えて「心の声」として表現する。

5. 「出来事」と「心の声」を踏まえて、「〜する価値」というフォーマットにする。


この手順を踏む利点は、次の2つだと考えています。

・出来事のシーンを映像化しようとするので、コンテキストを理解できるだけの情報量を得られているか分かる。
・自分の心の動きを手掛りとするので、ユーザーの心の動きを類推しやすくなる。


KA法が上手くできないときは、出来事が起きているシーンがぼんやりとしかイメージできていないことが多いです。その場合は、インタビューログの前後を読んだり、あまりにも足りないときは、追加でインタビューすることも考えていいと思います。


シーンをイメージするのに必要な情報量を得るためには、以下のAIUEOを意識するのがおすすめです。

Activity:ヒトやモノの動き、流れに注目
Interaction:ヒト同士やモノとヒトの交流
User:利用者の属性、タイプ
Environment:環境、空間、施設、雰囲気、自然要素、時間
Object:機械、小物、所持品、独特なモノ、無いもの

世界最高の授業。IDEOに学ぶ「デザイン思考」の真髄──2014.3.7 Night School より引用


また、投影した心の動きを類推しにくいときは、自分の心の動きがユーザーの価値観なら、まずは大きくなるのか小さくなるのか、というところから始めてみると掴みやすいでしょう。例えば、自分が「これをやるのは手間だけど仕方ないな」と感じたとき、インタビューなどを通じてユーザーが自分よりも面倒くさがりっぽいなと思っていれば、より大きくなって「これをやるなんてありえない」くらいになるかもしれません。

「価値」のフォーマットにするのが難しいということも聞きますが、その場合は「心の声」で「出来事」に含まれる価値を捉えきれていないのだと思います。その価値に対しての「心の声」になっているのか考えてみるといいでしょう。

KAカードではないのですが、以前リユースに関する調査をしたときにKA法で作った価値マップがありましたので、参考にしてみてください。


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