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#72 PERFECT DAYS〜人生の節目でまた見たい映画〜(2024/04/22)

ヴィム・ヴェンダース監督が役所広司さんを主役に迎え、東京を舞台に清掃作業員の男が送る日々を描いた映画「PERFECT DAYS」

先々週に見てすごく良かったです。
ですが、何がどう良かったのかうまく言い表せないというもどかしさがあり、もっと味わいたいし味わうべきだと思い、パンフレットを買い、先週末にもう一度見ました。
やっぱりすごく良かったです。(表現力のなさ。。。w)

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役所広司さんが歳を取って時間の流れというのをしみじみと感じられるような映画と語っています。
本当にその通りで、役所広司さん演じる主人公の平山さんが木漏れ日やスカイツリーを見上げて微笑むシーンが愛おしくなり、つい空を見上げたくなります。

平山さんは「THE TOKYO TOILET」と書かれたつなぎを着てトイレの清掃をする日々を送ります。

朝目覚めて身仕度をし、草木を愛でながら水をやり、自動販売機で買った朝食の缶コーヒーを片手に車に乗り込み、カセットの音楽を聞きながら掃除に向かいます。

神社の境内でサンドイッチと牛乳の昼食を取りながら、木漏れ日を見上げフィルムカメラにおさめ、夕方には仕事を済ませて帰宅します。

開店と同時に銭湯に入り、浅草駅の地下にある居酒屋で夕食をたべ、家に帰ると寝落ちするまで文庫本を読む。
休日には休日のルーティンがあります。

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修行をする僧侶のようなルーティンの繰り返しからZEN MOVIEと評されていますが、単なる繰り返しではなく毎日を新しい一日として向き合い、夢の中では一日を反芻してしっかり味わう。そんな豊かな暮らしに憧れを抱いてしまいます。

そして、自分もいつかこんな幸せを手に入れられるのか?手に入れたいのか?と考えさせられます。

平山さんの生活は楽に手に入るものではない。清掃員の仕事もライスワークとして最低限で済ませるのでなく、自作の道具で仕事のクオリティを高めたり、利用者と一定の距離を取ったり、自身の美学を持って仕事に向き合っているように見えます。

おそらく過去にビジネスでも成功されていたであろう平山さんは、ご自身を「家族とは違う世界に住んでいる」と距離を取ったり、「今度は今度。今は今。」と未来を遠ざけ、今に集中したりと自ら孤独を選んでいる。
自分を孤独にさせておかなければこの生活が続けられないと理解しているのかもしれません。

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それくらいに、色々なものを捨てて、苦しみに向き合うからこそ得られる豊かな暮らしなのかなと。

今の私のように美味しい物も食べたいし、旅行にも行きたいし、色んな人と出会って刺激を得られる生活をしたいと思っているうちは、平山さんの生活を近づくことは出来ない。

それでもいつかは平山さんみたいになれるような生き方をしたいと憧れを抱かずにはいられない。それほどの美しさや眩しさを感じました。

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そしてこの映画は何と言っても役所広司さんの表現がすごい。言葉は少ないのですが、表情や仕草から言葉以上のものが伝わってきます。
ラスト3分は本当にスゴイです!!


2回見てなんとか感想を言葉にしてみることができました。3回目にはもっと色々なものを感じ取れそうです。
見るときの自分の気持ち次第でも感じ方が変わってきそうで、人生を見つめ直したい時に、もう一度見たいと思える作品でした。

最後までお読みいただきありがとうございました。





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