#233 良いものを作ったら売れるなんてことはない
こんにちは。ITベンチャーエンジニアのこへいです。
私の勤めるシステム開発会社では「技術は売れて始めて技術となる」という理念があります。技術レベルの高いものを作りつつも、それは売れてはじめて良い技術であると考える、ということです。
良いものを作れば売れるというコトラーのマーケティング1.0の生産主導のマーケティング的発想でもなく、売れるものが良いものというマーケティング2.0の顧客志向のマーケティングの考えでもなく、顧客の期待を越えるものを作り顧客に欲しがってもらえるように売るということです。
コトラーのマーケティング1.0~4.0については木下斉さんのvoicyで放送されている、ジブン株式会社ビジネススクール10月の4限目の講義で解説されていました。
こちらについては、別途考えたいと思います。
今日は、5時限目の「営業の真髄とはなにか」の放送を聞いて、心に引っかかった話について考えたことを整理します。
〇隈研吾はメチャクチャ営業している
あの有名な建築家の隈研吾さんはメチャクチャ営業活動をされているという話が紹介されていました。あれだけ有名な人が自ら現場に足を運び営業活動を仕掛けているというのには驚きました。
知名度や実績など「隈研吾に任せておけば大丈夫だろう」と信用で仕事を取れるレベルの人が、日帰りで沖縄に行くなど、積極的に営業活動をされているため、隈研吾作の建築物があちこちで見られるというのには納得しました。
また、隈健吾さんはクライアントの意思決定者の要求をすぐに受け入れるのだそうです。誰が最後にお金を払うのかを理解し、その人が気持ちよくお金を払えるようにするために「なるほど。その視点はなかったです。ありがとうございます。」と相手を立て、仕様変更を受け入れるのだそうです。
有名建築家と聞くと頑固で自分の作品には口を出させないというイメージがあったので、真逆でこれまたビックリしました。
弊社のトップセールスと一緒に商談に参加すると、意志決定者の発言を敏感に聞き分けその人を立てるようにコミュニケーションを取ります。
意思決定者が的外れな発言をしても、決して否定することなく話の筋が通るようにフォローするなど、気分よく依頼してもらえるような配慮にはいつも感心させられます。
意思決定者の無茶な要求を「こへいさん。これ出来ますよね?」と投げられるので、要望を受けつついかに実現可能な方法を提案するかが腕の見せ所です。
営業とエンジニアが一緒に商談を行うことで、技術的に解決可能な課題に設定しながら、クライアントに欲しいと思ってもらう売り方が出来るのが弊社の強みだと思います。
〇現場の仕事が営業になる
という話も紹介されていました。
現場がちゃんと仕事していれば、それがそのまま営業になる。一方で営業が出来ていないということはちゃんと仕事をしてないということだと。
システム開発のプロジェクトを進める中で、「実は伝え漏れていた要件がありまして。。。」と顧客から相談を持ち掛けられるなど、あとから課題が見つかることはよくあります。そんな時でも、エンジニアが直接顧客の課題の相談にのることで迅速な対応ができ、顧客からも営業からも「エンジニアの方の対応が早くて本当に助かります」と言ってもらえます。
良い仕事をしてまた頼もうと思ってもらえることが営業活動そのものだということですね。
〇売上1.2倍、てもコストが2倍じゃだめだろ
木下さんを始め、講師のみなさんが営業にも経営にも数字で考える力が必要だ!
とおっしゃっていました。
売上を作るためのコスト構造を理解し計算しないと売上は増えたけどそれ以上にコストが増加するようなことが起きます。
営業は数字を考えて売らなければいけません。
私は数字に強いわけではありませんが、顧客の要望と開発コストを両立出来るように提案、開発を行うということは常に意識しています。
隈研吾さんが顧客の要望に合わせて仕様変更を受け入れるという話がありましたが、顧客の要望をそのまま全部受け入れているわけではないのだと思います。
顧客を満足させられるポイントは押さえつつも、予算に収まる方法で実現しているのではと。
それが実現出来る技術力と営業力がセットで揃っていることが重要なのだと思います。
システム開発においても、顧客に欲しいと言わせる営業力がなければ受注することは出来ません。どんなにいいシステムを作ったとしても営業行為なく売れることはありません。
顧客に欲しいと思わせるために、意思決定者の要望を受け入れることも大切です。しかし、実現にかかるコストの検討抜きに売ってしまうと売上以上にコストがかかるということが簡単に起きてしまいます。
そうならないためにも、エンジニアが営業活動に食い込んでいき、売れる技術で稼ぐことが大切です。
エンジニア出会っても営業力を身に着けなければいけないということが良くわかる放送でした。
現状は営業の方の売る力をお借りしており、まだまだ自分ひとりでは売れる力がないですが、営業力を身に着けていくぞ!
ということで、トレーニングをやっていきます。
今日は良いものを作るだけでは売れないし、顧客のキーマンの要望を受け入れるだけでは稼ぐことは出来ない。という話でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。