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週刊牛乳屋新聞#17(熱狂と一体感との付き合い方)

こんにちは、牛乳屋です。

昨晩、上海留学時代に説教してきた日本人本科生が夢に出てきました。Aさんのことを思い出したので、Aさんを振り返りつつ、最近のTwitterの中国関連ネタに対して思うことを書きました。

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Aさんは僕と同い年の女性で、高校卒業後、中国の大学へ進学しました。何がキッカケか分かりませんが、日本人学生の飲み会で説教されたのを覚えています。「交換留学生は1年しか中国にいない。4年間滞在する本科生と比べると、中国語は上達しないし、本科生の勉強量に劣る」といった内容でひたすら説教されていました。その本科生は僕の大学の留学プログラムできた他の交換留学生を批判していたそうですし、時折日本人批判をしていたそうです。

推測ですが、僕よりも長い中国生活期間や多い中国情報量で心の奥底にある気持ちを満たしていたのかもしれません。もし、舞台が2019年であれば、僕はAlipayやシェアチャリ以外のサービスを理解していない点でAさんに説教されていたことでしょう。

留学中、上海万博が開催され上海市内は盛り上がっていましたし、GDPは10%代で成長していたので、社会に活気がありました。外の情報をシャットアウトし、中国国内の情報を浸かっていると中国社会の熱狂を感じ、人々との一体感を感じることは往々にしてあります。

例えば、新型コロナが流行した年初に、中国メディアやSNSでは新型コロナとの「闘い」で人々を勇気づけ、一体感を演出していました。科学的とは言い難い内容ですが、コメント欄を覗くと「一致団結しよう」とか「頑張ろう!」と多くの人が発言しています。盛り上がるコメント欄を横目に、この熱狂と一体感が自分の中にある劣等感と重なってしまうと大変危険であると常々感じていました。

中国にいる俺は〇〇を知っている。でも日本にいるお前は・・・?

俺は中国に〇〇年生活して、××を見てきた。でも日本にいるお前は・・・?

この発想をもってしまったら、人は寛容さを失い、攻撃的になります。

中国のSNSやメディアを覗くと「最先端領域を切り開く人々」と「危機に一致団結して立ち向かう人々」が今日もどこかで演出されているので、熱狂と一体感が無意識のうちに強化されてくことでしょう。

そうすると、他の人に対しての指摘のはずが攻撃だと認識されるようになります。自分と異なる発想の言動に対して、無視できなくなり憎しみに近い感情を持つようになるでしょう。

華村さんの記事では、このように書かれてます。

自意識の克服はなかなか難しいですが、海外にいる個人として大事にしていくべきなのはどの国が優れているとか見習うべきとかいう大きな話ではなく、身の回りにあるちょっとした日本との差異や習慣の違いなどに対する感動・興味のほうだと信じてやっていきたいです。

僕は、いくつかの点において劣等感があることや、承認欲求が非常に強いと自覚しています。中国語メディアでの情報や比較的長い中国経験を根拠に、異なる見解を持つ人に対して宣戦布告なしに攻撃する通り魔に身を墜としてもおかしくないと自分に言い聞かせています。

中国語メディアやSNSは日本にないような見方や情報を与えてくれる場合があります。ただ、熱狂と一体感を強化する仕組みが自分の人生を狂わしかねないということを意識していきたいです。

僕は自分が発する中国情報はあくまでも自分の経験に基づいたものとして、メディアに過度に依存することなく手の届く範囲内の情報発信にとどめようと思います。

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