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八重桜色のシャツ

ここアメリカで、洗濯ものをベランダで干している風景は、いまだかつて見たことがありません。もしかして、1度や2度あったかもしれないですけど、記憶に残っていないのです。2000年に初めて渡米したときからですから、この22年の間に、様々な記憶は花びらのようにハラハラと散っていきました。さて、そんな ”非・物干し”社会において、洗濯物を容赦なく乾かす乾燥機に入れたくないものを、私は手洗いしています。写真のピンク系のノースリーブシャツもその一つ。チャチャと洗面台で洗い、4月末でも、肌寒い春が一般的なこの地方において、珍しく暖かな一日の朝、さっそく、ポーチの上に渡しているロープにかけました。風もなかなか強い感じで吹いていてすぐ乾きそうだなあと思いつつ、いったん、家の中に入りました。しばらくしてから見てみると、もう私の手の届かない、向かいの木の方へ限りなく近づいているので、ああ、これは、主人か、息子にハシゴを使って取ってもらわないとダメだな。。風のまま強い日に、なんて不注意なことをしたのだ、と怒られるかな。。と思って少々ゆううつになりましたが、とりあえずランチタイムにすることにしました。 さて、食後お皿を洗っているときに、ふと外を見ると(キッチンから、このオークの木が見えます)”桜のシャツ”がいない! もしかして。。そうです、春一番ばりの風が、彼女をポーチの方へ戻してくれていました。八重桜の木が、彼女の色を持ったシャツが行ったり来たりする有様を苦笑しながら見ていた。。かもしれません。

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