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コロナでも変わらない日本の公教育@とある高校の場合

4月に緊急事態宣言が発令されたとき、これは日本の教育が大きく変わるかもしれないと思った。(前回の記事「学校教育の大転換 ウィズコロナ時代」https://note.com/kohasatomi/n/n70b23ed8bb5b)それから約一年。再び出される緊急事態宣言を前に、この一年を振り返る。

休校〜今までに起こったこと

4月〜6月学校が休校になり、勤務校でも、オンラインの整備が急ピッチで進んだ。google classroom の使い方を生徒に教え、googleプラットフォーム上で課題を課したり、スタディサプリを活用もしながら授業動画の配信も行ったりしていた。徐々に教員も生徒も、そのやりとりに慣れてきたかのように見えた。これが普通に慣れば、学びの形も大きく変わるのでは?という期待があった。ICTを利用して、知識注入型の授業ではなく、主体的に考えさせたり、意見を交換したりする授業ができるのではないか。

しかし、宣言が解除され、再び生徒が学校に戻ってきて待っていたのは、従来の講義型授業であった。休校前と何も変わらない。徐々にgoogle classroomの使用は限定的になり、スタディサプリも忘れ去られた。

失敗の理由

なぜこうなったのか。オンラインの良さと、対面の良さをハイブリッドにすることこそ、学校の学びを大きく変える方法だった。グローバルスタンダードに追いつく1つの方法だった。

しかし、オンラインは生徒が学校に来れないときのただの授業の代替としか認識されなかった。そして、1人1台の端末も整備されなかったし、BYOD用に教室にWiFi環境も整わなかった。失敗の理由の1つには、スピード感を持って環境の整備が行われなかったということもある。

1番重大なのは、きたるべきsociety5.0を見据え、主体的な学びを実現するためのツールとして、ICTを利用するという考えが共有されなかったということだ。教員間で「手段としてのICTを活用して、何を目標にどのような生徒の力を伸ばすのか。」の共通理解ができず、よって、生徒にもそれを掲げることができなかった。このように、ビジョンなくICTに走ってしまったことが失敗の最大の原因だと考える。

ビジョンの大切さ ICTは手段

もちろん多くの私立学校や1部の公立学校にも、うまくこの変化に対応でき、一歩先に進んだところもある。こうした学校では、必ずと言っていいほど、どのような生徒を育てるかの目標・ビジョンが、教員間で共有されていて、生徒にも浸透していると感じる。

結局、ビジョンが共有されなければ、ICTもただのお飾りに成り下がる。そして、ただただ、従来の慣例に習って進んでいく。抜本的に変わることはできないのだ。今のままでは、世界はどんどん変わっていくのに、多くの公教育はなにも変わらずに、時代遅れと言われ続けてそのうち淘汰されてしまうだろう。

変わるためにはビジョンが大事だ。どんな生徒を育てるのか。未来を担う子供達に必要な力は?このことを議論し、共有することなく、学校の存続はできない。

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