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学校教育の大転換 with コロナ時代

「時代は変わったのに、学校教育は変わっていない。」このコロナ禍にある今こそ、日本の教育の矛盾を解決するとき。とりわけ、今まで後回しにされてきたデジタル教育への移行の遅れは取り戻さなくてはならない。多くの人と同じように、そう感じる筆者の個人的見解をまとめたいと思います。

1.従来の教育=高度経済成長期に有効だった

従来の教育とは、いわゆる一斉授業で、教師がチョーク&トークで知識を伝達する授業であった。この方式は、産業革命時代のイギリスから始まった教育方法だ。工場で物を大量生産するために、労働者に求められる資質とは、指示されたことを指示されたとおりにこなすことだ。こういった人間を効率よく育てるのには、画一的な授業が画期的な方法だった。日本でも高度経済成長期までは、この教育方法でよかった。しかし、それから半世紀ほど経った2020年。日本の多くの学校では、いまだに従来型の教育が行われているのだ。この50年間で、カラーテレビの登場で人々が喜んだ時代から、テレビよりもNetflixやYouTubeを楽しむ時代に大きく変化したのに、学校の授業はほとんど変わっていないのが現状だ。

2.求められる資質の変化

時代が変わり、社会で求められる資質は変わった。インターネットの普及をきっかけに、知識基盤社会となり、知識を持っていることの価値は低くなった。誰でも情報を簡単に得ることができるからだ。知識の量よりも、「知識を組み合わせて何ができるか」のほうが大事なのだ。文部科学省によると、現代の社会を担うためには、「探究心・発想力・想像力・課題解決能力」などが必要であるとされている。ここで、従来の教育方法では、これらの資質を伸ばすのに適していないということになってくる。にもかかわらず、日本の教育は、変わらなかった。それは、大学受験の内容が大きく変わっていないことや、「いい大学に入りいい会社に入ること=成功」 という捉え方が根強く残っていることなどが原因といえる。

3.露呈した日本の教育の時代遅れ感

2月末、突然の休校措置がとられたことにより、学校は混乱した。タイミングの差こそあれ、全世界で同じ状況に直面したことで、それぞれの国における教育の対応の違いも如実に現れた。中国では、10年前からオンライン教育が普及し始めていたこともあり、各学校オンライン授業への移行はスムーズだったようだ。アメリカでも、地域格差はあるが、もともとデジタル教育が進められていたこともあり、これを機にオンライン教育がさらに進むと考えられている。そして、日本はというと、すでにオンライン教育を導入していた一部の学校ではスムーズに移行できたところもある。しかし、大半の学校では、郵送で課題を送ったり電話連絡するなど、いまだオンライン化に対応できていないのが現状だ。そもそも学校現場では紙媒体が未だに主流になっていることが多い。授業だけでなく、保護者への連絡や会議資料もデジタル化されていない。このように、今回の出来事が起こる前に、どれだけ準備や普及が進んでいたかで、大きな差が生まれている。ITが当たり前の世の中において、なぜ多くの学校は取り残されてしまったのだろう。

4.オンライン授業の形態

コロナ禍でできなくなった対面授業が、オンライン授業では、どのように代替されているのか。大きく同期・非同期の形態に分けられる。同期は、リアルタイムに双方向のやりとりができる、例えばzoomなどが挙げられる。ホームルームでの健康観察に短時間で利用したり、授業にも利用している教員もいる。双方向のやり取りということで、教室の授業のように生徒とやり取りができ、顔が見られる安心感があるだろう。非同期では、google classroomなどで課題を配信したり、YouTubeで動画を上げたりすることなどが考えられる。一方通行ではあるが、課題をオンライン上で提出させることもできるので、双方向のやりとりにもなりうる。

5.学校に残された可能性

オンライン化で誰もが気づくことは、「知識の伝達だけなら、学校の授業でなくてもいいじゃないか」ということだ。例えば、自分の知りたいことの解説動画をYouTubeなどで見つけることは簡単だ。友人から良いと聞いた同じ動画を、場所・時間に関係なく視聴することだってできる。こうなると、休校が解除されたとしても、学校の授業が従来型の教育のままでは、「学校の授業の意味って?」と誰もが感じてしまうだろう。では、学校の授業に残された可能性はなにか。それは、「リアルな他者との関わり」であろう。やはり、いくらオンラインで双方向のコミュニケーションが可能とはいえ、実際に目の前に相手が存在するときのコミュニケーションはそれとは異なるものだ。そこには空気感があり、表情も読み取りやすく、場の一体感なども生まれる。ペアワークや、意見交換、グループプロジェクトなどを行うのには、実際に会うことのほうが、より手軽で効果的であると考える。

6.withコロナ時代の教育

以上のことを踏まえて、これからのwithコロナ時代の学校教育について考えた。知識の伝達や調べ学習は、オンライン・デジタルツールを利用して各自で行う。ペアやグループでの意見交換や、発表活動を学校の授業で行う。(もちろん、3密を避けなければならないという点で、学校でのコミュニケーション活動には工夫が必要になる。)このように、いわゆる反転授業や、Project Based Learning などの形態が今後の主流になっていくのではないか。休校がさらに伸びたり、一度解除されてまた再開されたとしても、この学びの形態であれば柔軟に対応が可能だ。日本の学校教育のデジタル・オンライン化は急務であり、私達はこの機会を逃すことはできない。今回の出来事がターニングポイントになることで、時代に即したかたちで、生徒一人ひとりの資質を伸ばしていける学校教育を目指したい。

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