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【実体験】家族がうつ病になったとき、どう対応する?


私は、家族がうつ病を患ったことがあります。

精神科ナースとして長い期間勤務していましたが、やはり患者さんと生活のなかで接している家族では、少し関わりも違ってくるものだと感じていました。

この記事では、【うつ病になった家族にしていた対処法】をご紹介します。

家族がうつ病になったとき、この記事が参考になれるところがあれば幸いです。


家族がうつ病を発症したばかりの対応

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家族がうつ病を発症しているとき、少しずつ「小さなサイン」を見せてくれることがあります。

小さなサインとはどういうものなのか?具体的には

・朝に気分の落ち込みが大きくなる

・活動的だった人が寝ていることが多くなる

・笑顔をみせることが少なくなる

・食欲がなくなる

・不眠がちになり、眠るときにアルコールに頼るようになる

などです。


うつ病にかかった家族はかなり元気で積極的なタイプの人だったんですが、活力がなくなったように肩を落としていることが増えていることを感じていました。

この時に私がしたことは「なるべく話をする時間をとるようにする」でした。話の中から、不調になっている・元気がなくなっている原因を知るようにします。



上記に挙げたサインが顕著になってきたとき、長い期間苦しんでいることが傍目でも見てわかるときには「精神科の受診をすすめる」必要があります。

ですが、「すぐに元気になる」「そんなにひどくはない」と精神科の受診を拒む人も多いものです。

私の家族も落ち込んでいる期間が長かったんですが、「精神科への受診は嫌だ」と拒んでいました。


この時には、家族は仕事へ行くのもやっとの状況でした。仕事から帰ると、床に臥せっている状況。

「今がどれほど普段と違う状態なのか」「なぜ精神科へ行く必要があるのか」「精神科へ行くとどう変化するのか」を私が客観的に見た視点から話すようにしていました。

特に、「精神科へ行くことで、今の状況はどう変化するか?良い状況に変化していくのか?」について話して説得していたと思います。


明らかに苦しんでいることがわかるようになってから1カ月ほど経ったとき、ようやく「精神科へ行ってくる」と受診してきてくれました。


うつ病の治療中に家族はどのように対応する?

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家族がうつ病になったのは「仕事」が大きな原因になっていたので、まず1カ月間休職することになりました。

飲み始めた抗うつ薬の副作用には「頭痛・口渇・眠気・便秘」などが挙げられますが、家族は特に眠気を強く感じるようになっていました。

そのため、朝にはほとんど起きてこられませんでしたが、家族がうつ病になったときに最も必要なのは静かな環境で心身共にゆったりと休むことです。


そのため、こちらから起こすことはせず、自身で起きてこられるまで待つ。日中も起き上がれる気力がないときには、寝ていてもらうという生活が始めの2週間くらいは続いていました。


家でうつ病を患った家族をみていると「いつ頃症状は良くなるんだろう?」「何かをこちらから働きかけた方がいいんだろうか?」と迷うことも、やっぱりあります。どのくらい、家族は待っていればいいんだろうか?と。


でも、抗うつ薬がしっかりと効いてくる1~2週間ほどは、あまり働きかけをすることはなく静かに休んでもらうことに専念していました。


うつ病の治療中期は「~したい」を優先してもらう

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治療中期は、家族にとっては2週間目くらいに現れました。(人によって治療経過もさまざまだと思います)

2週間目くらいから「外に出ようかな」とか「テレビを見ようかな」と「~しよう」という言葉が聞けるようになりました。


だから、本人の「~しよう」「~したい」の気持ちを最優先してもらうことにしました。

そのころには私も「~してみる?」「一緒に出掛ける?」など声をかけるようになっていました。もちろん「今は無理」と話すときには、無理強いはしていません。



家族の場合には「元気になったとき」のテンションがかなり高くなる傾向があったので、「そのテンションをすこし抑え目にして、落ち込んだときに分けてあげるようにしてみたら?」と提案していました。

つまり、テンションの急激な上がり下がりを抑えるために(本人にとって下がったときがかなり苦しんでいたので)なるべくフラットな状態でいられるように心がけること。

元気なぶんのテンションを、元気がないときにお裾分けできるようにしておくこと。を、家族も治療中期頃から心がけてくれているようでした。


うつ病の治療後期に大切にしたいこと

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これは精神科ナースとして働いていたときに実感していたことですが、うつ病患者さんの多くは「もう良くなった!」と思った時点で、自分で服薬を中断して治療にも足を運ばなくなってしまいます。

「身体は動くし、気持ちも元気になった!もう治療はいらない」

本当に多くの患者さん達がそうやって判断して、病院へ足を運ばなくなります。


だけど、うつ病の完治と薬の中断は医師が判断するものです。

抗うつ薬は、いわばなだらかな坂のように処方されます。治療後期には、徐々に抗うつ薬を減量して、症状がどのように改善していくか・再燃しないかを医師が判断しています。



うつ病は、目に見えないからこそ、本当にわかりづらいものです。

うつ病の回復期には、家族の目からみても「以前と変わらない元気な家族」がもうそこにはいます。やっぱり、家族も1カ月ほど経ってかなり元気になったころには「もう薬もいらない」「医者にも行かない」と言い始めていました。


だから「服薬を中断したらどうなるか?」「治療を中断したらどうなるか?」について話を聞いてもらうようにしました。

・薬の効果は4~6週間後に医師が判断すること

・うつ病は半数以上の人が再発する可能性があること

・うつ病で回復したと思ったときにストレスがかかると再燃しやすいこと


精神科へ行くきっかけを作ることよりも「医師が薬を飲むのを止めて様子をみましょう」と言ってくれるまで通院を続けること、の方がやっぱり家族も大変なようでした。

家族の場合には、治療を始めてから1カ月後に仕事へ復帰して、半年後くらいに精神科の医師から「様子をみましょうか」とゴーサインを頂くまで、なんとか通ってもらいました。


うつ病が完治してから・・・

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家族は「テンションをお裾分けするときのために取っておく」ことをその後も、気が付いたときに心掛けているようです。

調子が良いときに、必要以上にテンションを上げすぎないこと。

気持ちの落ち込みがあったときに、「テンションのお裾分けがあるから大丈夫」と、少しお守り代わりに思うこと。

をするようになったことで、うつ病の再発はせずに仕事にも行けているようです。



うつ病の経過・病状の重さ・治療過程も本当に人によってさまざまなので、「この時期にこれをすれば正解」というような方程式は無いものだと思います。

だけど、うつ病の家族がいて、「どう対応すれば、どんな言葉をかければいいのかわからない」と感じている人の参考になるようなところがあれば幸いです。



心の病は予想しているよりも長丁場になることもありますから

支える家族も、ひとやすみ、ひとやすみで。


最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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