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話せなかった苦しみ 回復へのプロセス

心理療法の中で
簡単に言葉では表せない
とても苦しく
複雑な感覚の充満する体験が
語りだされることがあります


その体験は今まで
なかったことにされていたり
言葉にしたらもっと悪いことが
起こるのではないかという不安に
支配されたりして
語られないままになっていました


けれど
その人の中で存在し
「不穏なかたまり」となっていた部分なのでしょう



昨年、「望まない性交」を経験した当事者への
インタビュー調査をまとめた書籍を読みました

その本には、被害について話せなかった理由について
以下のようなものがあったとまとめられていました


話せなかった理由:
・被害性の認識がないので考え付かない、わからない(知識・情報の不足)
・警察、支援機関が身近にない(物理的手段がない)
・電話がつながらない、予約が取れない(地域資源・人材の不足)
・信用できない
・言ってはいけないと思う(文化・習慣によるタブー)
・心配かけたくない
・言わないことで身を守る(本人のかじ取り) 

(引用文献 
『性暴力被害の実際 被害はどのように起き、どう回復するのか』
齋藤梓・大竹裕子編著 金剛出版 2020
第9章より抜粋)



話せなかった理由が幾通りもあることを
支援に携わる私たちはよく理解しておく必要があると思いました

ちなみに、上述の調査では41件中29件(70.7%)は
被害後すぐではなく
時間が経ってからその事実を打ち明けたと記されていました



回復には
自分を支えてくれる人や環境がある
と感じることが何より大切です

心の中で長く続く苦しみが
「不穏なかたまり」となり
今のあなたを不自由にしているとしたら…

今からだから
これからだから
できることもあると思うのです
一緒に考えていきましょう
こはる心理カウンセリング室でお待ちしています

読んでいただいてありがとうございました
最後に
精神科医白川美也子先生の言葉を紹介して終わりにします


「過去の傷」を治すのではない 

「傷に影響を受ける今」を変える

(引用文献 『赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア 自分を愛する力を取り戻す[心理教育]の本』 白川美也子著 アスク・ヒューマン・ケア 2016)


(20210111記載)


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