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布団の取り合い(冬の陣)

(・・・寒い)
ふと、私は寒くて目を覚ます。
冬のある日の真夜中のことだ。
寝るときにはかかっていたはずの掛布団も毛布もない。
身一つで布団に転がっている自分がいた。
原因は明白。
隣で眠っている旦那だ。
案の定、ミノムシ状態で寝てる。
しかもご丁寧に、布団の端を自分の体の下にしているため、つなぎ目がない状態だ。
私はイラつきながら、旦那に巻き付ている布団を引きはがしにかかる。
体重が80kgもある成人男性の体を動かすのは容易ではない。
おまけにつなぎ目が下ということは布団の半分はその体の下にあるということだ。
寝起きの上、非力な女性の腕力では簡単に布団は取り戻せない。
腕だけでなく、足まで使い布団の端を引きずりだす。
ちょっとだけ端を出しても意味はない。
また巻き取られるだけのうえ、よりその重いからだで布団を押さえつけるのだ。
ならばと私は同じように出た端を自身の体に巻き付けるようにして布団を取り戻し、眠りについた。
常々思う。
1組の布団で2人寝るのは、互いに寝相が良くないと問題が発生するのだと。

カップル、夫婦にかかわらず、同じ屋根の下に住むという状態になると考えるのが布団の数だと思う。
大き目の布団で一緒に寝るのか。
はたまた、シングルを並べてるのか。
部屋数があれば、それぞれ個室を持ち、それぞれで寝るのもありだ。
どのような選択であろうと、不正解、正解はない。
互いに納得し、快適に過ごせればそれが正解だと思う。
我が家の場合は、「大き目の布団で一緒に寝る」を選択した。
同棲前は、互いの家で泊まるときには1つの布団で寝ていたし、そのスタイルを継続することになったためだ。
(一応、同棲開始時に布団はどうするのか確認を取った)
そして、その選択は今現在も継続中である。

まぁ、はじめのとおり、問題は発生している。
なんだって、旦那はミノムシ状態になり、絶対に布団を取られないような巻き付き方をするのか。
しばらくは毛布だけは死守しようと、掛布団を旦那側へ追いやり、毛布を自分側へ寄せてみたりと格闘したが、惨敗。
掛布団だけでは寒いらしい。
そして、私も毛布だけでは寒かった。
毛布をズラした分だけ、旦那の巻き込みの被害は防げたが、毛布だけでは寒いので結局引きはがし作業が発生した。

ではどうするか?
今更、シングル2組用意したくはない。
いっそ掛布団なしでも寝れるくらい厚着してすればいいのか。
それはそれで旦那の思惑(?)どおりで腹立たしい。
何かないか、何かないか、と私はスマホを片手に検索してみた結果、見つけたのが、”かいまき布団”というものだった。

”かいまき布団”。
要は腕を通す部分がついた毛布だ。
時代劇でよく着物を広げたようなものをかけて寝るシーンがあると思うが、あれを半纏のように分厚くしたものと思ってもらっていい。
ただの布団では巻き込まれる可能性がある、と考えた私は、これならば腕を通せばガードできる!と即カートへぽちり。
自宅に届いたそれはなかなかの分厚さで、それ1枚でも十分暖かい。
さっそく導入してみる。
時代劇の就寝シーンもそうだが、なんとなく赤ちゃんの寝るシーンも頭に浮かび、自分がなんとなくそのくるまれている赤ちゃんの気分になりながら就寝した。
その日は寒さで起こされることなく、翌朝を迎えた私はいつものように旦那に巻き取られている掛布団と毛布と見、そして、寝るときと変わらずにあるかいまき布団に、ようやく勝利を得たのだった。

その冬は、この布団のおかげで寒い思いをすることはなかった。
決して、決して、旦那がかいまき布団を巻き取らなかったのが、これで十分暖かいとか、それまで取ったらむしろ暑そうかと感じたとかではないのだ。
かいまき布団の腕部分に腕を通さなくとも、取られなかったのはそういうことではないのだ。
きっと。多分。

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