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カフェイン中毒

”カフェイン中毒”
どこか都市伝説を見聞きするような感覚で私はこの言葉を目をした。

8時間は椅子に座りっぱなしのデスクワーカーである私は、昼休みと入れ替わりにくる眠気に対抗するためと気分転換にコーヒーを飲むのが習慣だった。
飲むコーヒーは気分によって変わる。
コンビニのコーヒーだったり、缶コーヒーだったり、ペットボトルコーヒーだったり。
残念ながら、ブラックではなくカフェラテで飲んでいたためか、コーヒーの良さや味を語れるほどの味覚は持っていなかった。
せいぜい甘さの加減であったり苦みの違い、メーカーごとの味の違いがかろうじて判る程度である。
それでも、これがないと午後が始まらない、と思うぐらいには好きなのだ。
だが、そんなコーヒーにも過剰摂取はよくないと、私はわかっていた。

きっかけは、実の母だ。
もともと研究職の母はコーヒーが大好きな人間であった。
手にするマグカップの中身は当然のごとく、ブラックコーヒー。
子どものころ、書斎を覗くと母のとなりにはコーヒーがあったように思う。
そんな母がある日、コーヒーを飲むのをやめた。
本人曰く、「ブラックコーヒーが原因で胃がやられた」。
それを聞き、私の頭をよぎったのは、とあるアニメの「山根くん」。
いつも汗を流しつつ胃を抑える彼の姿だった。
子どもながら、あれは辛そう…と思っていたのだろう、直感的に飲みすぎは良くない!と結論を出した。
ちなみに、ここでコーヒーは悪いもの!と幼い私が思わなかったのは、やはり母の影響で、ブラックコーヒーはやめたが、かわりにカフェオレで飲むようになったためである。

そんな母を見ていた私は、ブラックで飲むことは少なく、常にカフェオレかカフェラテで飲むようにしていた。
胃が痛くなるのはごめんなので、1日1杯。
休日ぐらいはカフェイン摂取を控えようと思い、コーヒーは飲まない。
そんなルーティンが出来上がっていた。
ところがある日曜日の昼、ズキン、とそれはきた。
(起きてすぐ頭痛とかさいあく・・・)
ズキン、ズキンと脈打つような頭痛に嫌気が指す。
熱を測っても熱はなし。
吐き気もなければ、頭痛以外に痛みもない。
(なんだこれ?)
頭痛だけならば、病院に行く必要はない、寝てればいい。
だが、なぜいきなり頭痛が始まったのか原因がわからなかった。
おまけに、いつもなら寝ていれば治っているはずなのに、一晩寝ても頭痛が収まらない。
(なんで?!)
と痛む頭で考えるが、不思議と月曜日の昼には頭痛がスーとなくなる。
(ほんとになんだろ?)
それから頭痛に悩むことなく、土曜、日曜日を迎える。
すると、日曜日の昼ぐらいから頭痛が始まる。
そして、寝ても治らない頭痛は月曜日の昼まで続く。
それを数週間繰り返した。
頭痛が始まるのはいつも日曜日。
当然、病院は空いていない。
そして、毎週日曜日寝ていてばかりはいられない。
(ええい、気分を変えるためにコーヒーのも!)
と自販機で買った缶コーヒーを飲むと、30分くらいでスーと頭痛は消えた。

”カフェインを飲むと頭痛が治る。”
ここから、私は「カフェイン中毒」という言葉にたどり着いた。
別称、「24時間の呪い」と名付けている。
カフェインを摂取し続けたあと、24時間カフェインを摂取しないと、カフェインを摂取しなければ24時間頭痛に苦しむからだ。

妊娠している現在。
コーヒーを日常的に飲まなくなり頭痛に悩まされなくなった。
たが、カフェインを控えると、たまに飲むデカフェのアメリカンコーヒーが美味しい。

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