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情報過多と自己実現の幻想 - 無知の幸せを求める現代社会...

現代社会では、私たちの生活に欲の増幅装置がたくさんあります。例えば、FacebookやInstagramはその欲の増幅装置そのものであり、人々が抱く願望や憧れを強く煽ります。これらのSNSは、人の苦しいところではなく、きらびやかな部分を切り取って、より輝かしい世界を見せることで、私たちが現実逃避したくなるような魅力を持っています。

Twitterなどもエコーチェンバーの温床であり、大量の情報が手に入ります。そして、現代社会では自己実現が推奨されているので、なりたい自分になることが期待されています。YouTuberやTikTokerはその象徴のようなものですが、果たして自己実現できる人はどれくらいいるのでしょうか?

人間は精々精力的に活動できるのは15歳から60歳くらいまでで、睡眠時間や生きるために必要な食事などの時間を除けば、一日の可処分時間は精々12時間です。休日なしで自己実現に充てたとしても、単純計算で197,100時間にしかなりません。

例えば、みずほ銀行のシステム開発規模は35万人月、つまり56,000,000時間です。

文字通り桁がだいぶ違います。これに比べると、1人の人間がどれだけ頑張っても、たったの197100時間しか使えません。一生を費やしてもみずほ銀行のシステム開発はできません。

そもそも、人間は限られた時間と能力で、どれだけ多くのことができるのでしょうか。多くの人は無理と言ってもいいでしょう。

そんな状況で、情報だけたくさん仕入れることにどれだけのメリットがあるのでしょうか。どうせできない情報ですし、現実とはかけ離れた願望や憧れに囚われることになるでしょう。また、どうせ叶わない願いを、他の人の沢山の幸せを見せつけられて、それが何になるのでしょうか。

情報を絶つということも、大切なフェーズに来ているのかもしれません。無知であることが
幸せであるという考え方もあるわけです。無知の幸せとは、情報過多に悩まされず、シンプルで本質的な生活を送ることができる状態を指します。自己実現や他人との比較に追われることなく、自分の内面と向き合い、身の丈に合った生活を送ることで、精神的な安定や満足感を得られるのです。

最近では、デジタルデトックスが注目されています。これは、一定期間スマホやインターネットを使わないことで、情報過多から解放され、リフレッシュすることを目指す取り組みです。デジタルデトックスを行うことで、自分の時間を取り戻し、ストレスを軽減することができます。

無知の幸せを追求することは、現代社会での生き方の一つです。情報過多や自己実現のプレッシャーから解放されることで、自分の心身の健康や人間関係に集中できるようになります。自分にとって本当に大切なものは何か、日々の生活の中で見つめ直すことが重要です。

また、情報をうまく取捨選択し、自分にとって本当に必要な情報だけを取り入れるスキルも身につけることが大切です。情報は、適切に利用することで、自分の人生を豊かにする道具にもなります。情報過多にならないよう、情報を効果的に活用する方法を学ぶことが重要です。

最後に、自己実現や知識を追求することが悪いというわけではありません。しかし、その過程で自分を犠牲にするような生活や、他人との比較によってストレスを抱え込むような状況は避けるべきです。自分のペースで、自分にとって意味のある人生を歩むことが、最も幸せな生き方であることを忘れないようにしましょう。

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