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yダイアリー

ネオテニーが、なぜ生まれたのか知っている者は限られている。

上の世代がひた隠しにしているからだ。

あたしたちはどのようにネオテニーが生まれ、隠されることになったのかを調べていた。

その真実に辿り着いた時、あたしたちはそれを報告書としてまとめたが、世界に公表することを止めた。

あまりにも、その内容がショッキングすぎたからだ。

ネオテニーたちにとっても、あたしたちにとっても、だ。

それに公表したところでネオテニーがいなくなることはないし、ネオテニーの治療法もない。

あたしたちは消された歴史を、ネオテニーが生まれるきっかけになった歴史を知らなければよかったと思うだろう。

どちらも傷つくだけならば、公表しない方がいい。

あたしたちは満場一致で、苦労して調べあげて作成した報告書を葬り去った。

知るべきではないことも、この世界には存在するのだ。

あたしたちの選択は間違っていない。

消された歴史を知る者は時がたてば消えていく。

ネオテニーの真実に辿り着く者は、きっといなくなる。

それは、あたしたちが寿命を迎えれば完成するだろう。

それまであたしたちは、辿り着いた真実を口にしない。

墓場まで持っていく、そう誓い合った。

それでも、あたしたちが存在している間に誰かがまた同じようにネオテニーの出自を調べようとするかもしれない。

もちろん、あたしたちがいなくなった後だって凄い執念で調べあげてしまう者が出てくる可能性もある。

だから真実に触れない形で、あたしたちは偽物の報告書を制作してデータベースに登録しておくことにした。

【ネオテニーは破壊されたオゾン層から地上に降り注いだ宇宙線により、胎児の遺伝子が破壊された結果生まれた】

登録した報告書について半分は真実なので、幾分かあたしたちの罪悪感は薄れた。



最後に。

もしこの日記を見ている者がいるならば、あなたはどうかネオテニーについて調べないように。

願わくば、これから先もネオテニーについて調べる者が現れませんよう。

あたしたちで終わりになりますように。

例え、ネオテニーが地上の支配者になったとしても。

それによって人類が滅亡することになったとしても、調べる者が現れませんように。

そもそも消された歴史によって、人類は終わるはずだったのだから。

失われたものを求めて探し出すなんて愚かなことは、しない方が良い。


それでも、もし、あなたが真実を知りたいと願うなら十九時の女神を探しなさい。

あの方ならきっと、あなたの知りたい真実を全て話してくれるでしょう。

ネオテニーについても、消された歴史についても。

そしてまた、これからの歴史についても知ることが出来るはずです。


あなたにその覚悟があるのなら。


×2××年 y・×××××y

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