星
あたしたちは、最初から同じ地点を目指していたみたいだ。
途中で別々の道に分かれたのにもかかわらず、結果として一緒にいる。
こういうのをある人は運命だとかそういった、つかみどころのない言葉で表した。
運命だろうが宿命だろうが、単なる腐れ縁とか、そういう言葉で決めつけられるは好きじゃない。
だけど時として、やはりそういった言葉で表したくなるのもわかる。
だって、そういう言葉でしか表現できない、表現が見つからないのだから。
それで、どうしてこんなことを考えているかに話を戻すのだけれど……。
あたしとあの子は、ある人から別々に紙を渡されてそこに書かれていたものを探していた。
あたしの探すものは割と簡単で、この星一番の山の頂上に行けば見つかるものだった。
あの子の探すものは、詳しく聞いていなかったけれど私の目指す場所と同じ場所で見つかるものだったようだ。
でもそれぞれが別々に行動して、それを探し出すことというのが紙を渡された時に言われていたことなのであたしとあの子は最初から別々に行動した。
それなのに山頂であの子にあったことには、とてつもなく驚いた。
そしてその場に、紙を渡したある人もいたものだからさらに驚いた。
先に着いていた二人にあたしは駆け寄り、探し物はどうしたのかとかどうしてここにいるのかとか言葉が追い付かないくらいあわあわと話す。
二人はたぶんそれをきちんと聞き取れていない。
それで、君に探すようにいったものは見つけたの?
あ、はい!
日没後にここに現れます!
よろしい
では君は?
……目の前にあります
ふむ、よろしい
あたしは訳が分からず首をかしげる。
……私の探し物、あんただった
へ?
星を探すものを探せって
星を探すならここに来るだろうって思って来たら
試験管が先に居てそれから……あんたが来た
そう、だったんだ……
まさかあの子の探し物があたしだったとは思わなかったが、試験管はどうしてわざわざこんな回りくどい試験を受けさせたのだろう。
しかも山頂まで歩くことになったし、と心の中で愚痴る。
疲れを感じながら少し俯いていると、あの子が言う。
そろそろ、じゃない?
あんたの探し物
あ……
あの子の言葉に顔を上げたとき、ちょうどあたしの探し物が空から落ちてくるところだった。
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