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フォルテッシモほどの魅力がピアニッシモにはなく オーケストラ・ダスビダーニャの「レニングラード」

東京芸術劇場コンサートホールで、オーケストラ・ダスビダーニャを聴いた。

ショスタコーヴィチ:
祝典序曲 作品96
オペレッタ「モスクワ・チェリョームシキ」による組曲 作品105a
交響曲第7番 作品60「レニングラード」

指揮:長田雅人

以前から聴きたかったショスタコーヴィチ専門アマオケ。
プロオケの楽団員よりショスタコーヴィチを弾いてるのではないか😅

4月にはシベリウス専門アマオケのアイノラ交響楽団も聴きたいと思っている。

ショスタコ愛の強いメンバーばかりだろうから、プロオケとは一味違うショスタコーヴィチを期待したのだが、結果はやや残念に終わった。

全席2000円だったので、たまには最前列で聴くかと思ってチェロの前に陣取ったら、「祝典序曲」が鼓膜が破れそうなほどうるさかった😂

弦の編成は16-14-12-10-13!😅 通常よりコントラバスが5人も多い笑

金管やシンバルがうるさすぎて参った。食べ物で喩えるなら、CoCo壱の20辛くらい?(私は辛いのは全然ダメ。舌が痺れて味わうどころではない😅)

迫力満点なのだが、プロオケは音量セーブしてるんだなと思った。
大音量を出せば確かに迫力は出るが、ホールの大きさをはみ出してる感じもした。少なくとも1列目で聴ける音楽ではない。

今日の演奏会ではオペレッタ「モスクワ・チェリョームシキ」による組曲 作品105aが一番よかった。

ショスタコーヴィチ唯一のオペレッタらしい。
初めて聴く曲だったが、ショスタコ節満載で、やはり私はこの作曲家の感情の爆発が好きなんだなと思った。

両隣のおっさんがプログラムをパラパラめくってうるさいので(おまけに片方はやけに落ち着きがなくソワソワ)、スタッフの方に話して後半は3階で聴いた。
3階の方が全体を見渡せるし、音響のバランスもよかった。

それにしても、こんなマニアックな演奏会にわざわざ来て退屈してるって、演奏会選んでないのだろうか?
「今度の日曜休みだから、駅のポスターで見かけたクラシック聴きに行ってみっか!」みたいなノリか?

気軽にクラシックコンサートに来てほしいとは思うが、曲をろくに調べないでよく来るよね😅
初めてのレストラン行くのでも口コミくらいは調べるんじゃない?😅

さて、「レニングラード」は不満だった。フォルテッシモの際の団結力、凝縮力はプロオケを凌ぐほどだが、反対にピアニッシモの場面になると途端に音楽が弛緩する。
アンサンブルの精度に欠け、統一感のある感情が音に乗っていなかった。
フォルテッシモとフォルテッシモのあいだの「繋ぎの音」に聴こえた。そう、「音楽」には聴こえなかったのだ。

フルートやホルンなど、首席奏者のソロが目立つ曲である。
そこのミスはアマチュアだし全然いいのだけれど、ピアニッシモのシーンが退屈なので、こちらの緊張感が続かない。

チェリビダッケが読響に客演した際にチューニングに1時間かけて楽団員を面食らわせた話は有名だが、ピアニッシモの練習が足りてないのではないだろうか。
フォルテッシモのシーンはみんな血気盛んにノリノリで弾いてるのに、ピアニッシモのシーンになると途端に各自の心がバラバラで散漫に見えた。

ソロに関して言えば、小太鼓とティンパニ、ピッコロがよかった。
小太鼓の方は素晴らしかった。この方で「ボレロ」を聴きたい😅
ティンパニの方も芯の強い音で、アマチュアとは思えない貫禄。ダスビは年一回だから、普段は別のアマオケで叩いてるのかしら。

アマオケらしく、年齢層はバラバラ。コンマスは柔和な感じの60代?男性で、フォアシュピーラーは20代の女性。この辺はアマオケの面白さですかね。

指揮の長田さんは初めて聴いたけど、ロシア人のような長身で巨漢の方。
指揮は力強くダイナミック。頻繁に汗を拭っていた。

やはり音楽はフォルテッシモとピアニッシモの両方に魅力がないと物足りない。
フォルテッシモのシーンはそれこそ戦車のような迫力だったが、ピアニッシモのシーンで聴くべき箇所に乏しかった。

アマオケは乗り番降り番で出来が変わってくるのかもしれない。

以前、矢崎彦太郎の指揮で新交響楽団を聴いたとき、前半の「スコットランド」はフルトヴェングラーばりのデモーニッシュな超名演だったのに、後半のプーランクとビゼーはメンバーが変わったのか物足りなかった。

ショスタコーヴィチ専門オーケストラならではのショスタコーヴィチを期待していたのだが、ピアニッシモのシーンにおいてアマチュアの力不足が露呈していた。

楽団員の皆さんはフォルテッシモとピアニッシモにおけるオーケストラの精度の差をどう感じているのだろうか。

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