クラシックファンはコンサートを聴きながら何を考えているのか
以前より私は
演奏中にプログラムをめくるな!
ということを再三書いてきたわけですが、その理由は何度もお話しした通り「音が鳴る」からなんですね。
と言ったところで、コンサート初心者の人は
とにかく退屈!とにかく暇!
なんだと思いますよ。
私だってね、マーラーだから100分聴いてられますけど、イージーリスニングとか環境音楽なら100分聴いてられません😂
意外と盲点だったので一回も書いたことのないテーマですが、
クラシックファンはコンサートを聴きながら何を考えているのか
について書いてみたいと思います。
あくまで私個人の例ということでお許しください。
まず、私はブログを書く前提で聴いているので、観察的な視点になります。
コンサートって演劇みたいなものなのです。
指揮者はどうステージに入ってくるのか。
すぐに指揮を始めるのか、少し間を設けるのか。
演奏中の客席の反応はどうか。
など、音楽以外の要素でもたくさん見るべきものはあります。
せっかくコンサートに行ったのなら、オーケストラやソリストを「見て」ほしいのです。
最近は美術展に出かけても、スマホで撮影してる人が多くて興醒めです。
そういう人は、せっかく本物の絵が目の前にあるのに、それを自分の目でじっくり見ることよりも、写真を撮ってSNSや LINEで広めることの方に関心があるのです。
もったいないと思いませんか?
コンサートでもプログラムなんか読まずに、オーケストラやソリストを見てください。それでこそわざわざ来た意味があります。
クラシック鑑賞の醍醐味は「聴き比べ」ですが、たくさん演奏のストックが頭の中にある人ほど、「ここはカラヤンと違うぞ」とか「ここは去年聴いた誰々と違うな」といった聴き方ができます。
でも、誰もがそんな聴き方をしなくてもいいのです。
ただ以前も書きましたが、YouTubeの事前予習はおすすめです。
長い曲になると終わりが見えなくて、普段クラシックを聴かない人にとってはどうしても退屈に感じてしまう。
クラシックは駅伝なのです。Jpopは100m走みたいなものですから、駅伝の時間感覚に慣れる必要があります。
「演奏中にいったいどこを見てるの?」はよく聞かれる質問です。
どこを見ていてもいいのです。飴を舐めてる婆様を睨んでもよし😅
一番わかりやすいのは指揮者です。指揮者が音楽を作ってるのです。
クラシックに馴染みがない人は誤解していますが、指揮者は音楽に合わせて指揮しているわけではないのです。
指揮者の動きを見てオーケストラが演奏するので、指揮者の動きの方がわずかに早いのです。
それに気づけば、指揮者のリードの面白味が徐々にわかるのではないでしょうか。
ソロや主旋律を演奏してる楽団員を見てもいいですし、伴奏の楽団員を見てもいいです。
クラシックコンサートは大勢の俳優のお芝居みたいなものです。当たり前ですが、ヴァイオリンの後ろの方の人も真剣に演奏してるので、あまり目立たなそうな楽団員を観察するのは通っぽい楽しみ方かもしれません。
「音を出さずに」「拍子をとったり、やたら身体を動かさずに」聴いてれば、特に鑑賞のルールはないと思います。
「拍手のタイミングがわからない」という話も聞きますが、慣れないコンサートなら何も真っ先に拍手せずに他の人に合わせて拍手すればいいのです😅
クラシックを聴き慣れた人は、まるで映画やドラマのような物語性を音楽の中に見出しています。
クラシックの良さは歌詞がないから自分のイメージで聴けることですね。
クラシックに馴染みがない人はどうしてもイージーリスニングを聴いてる感覚になって、物語性も感じ取れないから退屈してしまうのだと思います。
コンサート会場で退屈しきってプログラムをしきりにめくってる人を見かけると悲しい気持ちになります。
音の問題もありますが、「あー、退屈してるんだなぁ」と思わされるからです。
とはいえ私も、演奏スタイルによっては退屈しきってしまうことはあるので、退屈するな!と言いたいわけではありません。
退屈してしまうとひたすら耐える時間ですね、私の場合は😅(拍手しないこともあります。反対によかったときはスタンディング・オベーションしたりと極端なのです)。プログラムをめくらない代わりに身体が若干もじもじしてしまいます。
コンサートにふらっと気軽に来てほしいとは思いますが、やはり曲選びは大切です。間違っても伊福部やミャスコフスキーはいけません(過去記事参照😅)
クラシックは時間を消費する芸術です。私はよくネタで「倍速で聴くクラシック」とか書いてますが、ナンセンス極まりないです。マーラーの交響曲第3番は100分かけて味わうから、それに見合った感動があるのです。
タイパ重視の現代で100分腰を据えて音楽に向き合うのは大変ですが、だからコンサートがあるとも言えます。家なら「ながら聞き」になりやすいけど、コンサートホールならスマホの存在も忘れてがっつり音楽と向き合えます。
つらつら書いてきましたが、クラシック初心者の方にぜひ見てほしい番組があります。
天才の名をほしいままにする指揮者、カルロス・クライバーの映像が地上波で見れる!
これは奇跡的なことです。
ぜひこの機会に多くの方に一流のクラシックに触れてほしい。
現代の人気演奏家だけでなく、往年の巨匠の演奏に感動できれば、そこからカラヤンやバーンスタインなど数多のスター指揮者たちへとアクセスできるはず。
クラシックの魅力がわからないということは、クラシックの魅力をこれから知れる可能性に恵まれているということです。
ぜひその扉を、開けてください。