見出し画像

思い出の海外オーケストラ(2)

前回の続きです。前回はこちら↓

2000年

16  ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団 (ワレリー・ゲルギエフ)


ゲルギエフは朝比奈隆の次に多く実演を聴いた指揮者。
爪楊枝のような小さな指揮棒からダイナミックな音楽が魔法のように生まれ出すのにすっかり魅了された。
しかし、ロンドン交響楽団とのマーラーやプロコフィエフ、シマノフスキの録音を聴いてから、音楽性が野性から精緻へ変化したのを感じ取り、ファン熱がやや冷めてしまった。

当時の鑑賞ノートには、ベートーヴェンの「運命」は《巨匠風のスケールの大きな演奏》、プロコフィエフの交響曲第5番は《躍動感が見事》と書いてある。
別プロではドビュッシーの「海」やベルリオーズの「幻想交響曲」を聴いた。

17  フライターク・アカデミー室内管弦楽団  ローザンヌ声楽アンサンブル (ミシェル・コルボ)

*チラシがあると当時の雰囲気が蘇るので、見つかったものは載せます。

「合唱の神様」と呼ばれるコルボのマタイを生で聴けたのは贅沢な体験には違いない。
ただ、リヒター盤の歌詞対訳を持参して見ながら聴いたものの、あまりよさがわかってない曲なので深い感動には至らなかった。

18  ヨーロッパ室内管弦楽団 (エマニュエル・クリヴィヌ)

クリヴィヌ目当てではない。アルゲリッチのシューマン目当て。
だが、印象に残ったのはアルゲリッチよりクリヴィヌ。
シューマンの交響曲第2番は当時馴染みがなかったが、透明度の高い明晰な音楽作りだった。

19  北ドイツ放送交響楽団 (ギュンター・ヴァント)

出ました!  伝説のヴァント最後の来日公演である。
「思い出のコンサートを挙げろ」と言われたら、朝比奈の第九とヴァントのブル9が真っ先に挙がる。
オペラシティで3日連続公演。当時は確かネット予約ができず、電話予約のみだった(ぴあの場合はPコードとか使っての予約)。
即完売したので半ば諦めていたら、後日たまたまCNプレイガイドで20000円のSS席のみ空きが出て、思いきって買った。
23年経っても覚えてるのだから2万でも安いうちだろう。
《これは今までで一番、空前絶後の名演となった。宇野功芳が初めて超一流の指揮者に接した経験として、ピエール・モントゥーの66年の来日を挙げているが、僕にとって2000年のヴァントの来日はまさにそれに当たるものだった。
本物とは、一流とはかくのようであったか。フォルテッシモではホールが爆発するかという凄絶さ。そして密度の高い、練り上げられた美しさ。
これほど音楽が名残惜しく感じられたことは未だかつてなかった。》

「未だ」が原文では「今だ」になってたのはご愛嬌😛

20  インターナショナル・セジョン・ソロイスツ (チョン・キョンファ)

このコンサートにはいたく感動した。
感想をレコ芸に投稿したら掲載された思い出のコンサートである(投稿記事はこちら↓)。


このときのキョンファの無伴奏パルティータ第2番の深遠さと「四季」のエレガントさは忘れがたい。
「四季」はイ・ムジチのようなトラディショナルともビオンディのようなロックテイストとも異なる独自路線。
CDも同じスタイルの美演なので、ぜひ聴いてほしい。

2002年

21  アルノルト・シェーンベルク合唱団 (エルヴィン・オルトナー)

最近まったく行かなく(行けなく?)なった王子ホール。
当時、大学の合唱団サークルに入っていて、合唱音楽にも興味を持ったのだった。
ちなみに、20分くらいだったと思うが、東京文化会館大ホールでモーツァルトのミサ・ブレヴィスを歌えたのは一生の財産である(前年度合唱コンクール金賞の招待演奏として。ただし金賞は私が入る前だ😅)。
このころは精神的に絶不調で、コンサートの日付だけ書いていて感想は空白。
合唱団員が思いのほか身体を揺らして歌っていた記憶がある。

22  エストニア・フィルハーモニック室内合唱団 (ポール・ヒリアー)

合唱の神様ポール・ヒリアーは、古楽アンサンブル「ヒリヤード・アンサンブル」の創設者でもある。
こちらはトッパンホール。美しいハーモニーだったが、合唱曲は馴染みが薄いので、いまいち感動に至りづらい。

再 キーロフ歌劇場管弦楽団 (ワレリー・ゲルギエフ)

ゲルギエフの追っかけだったので、この時期かなり聴いている。
11/25はプロコフィエフとベートーヴェンの5番(先述のロッテルダム・フィルと同じだ)。
11/29のマーラー9番は忘れがたい。前プロの松村禎三の「管弦楽のための前奏曲」も素晴らしかった。作曲家も来ていた。
当時かなり精神的におかしくて(3か月後に統合失調症で医療保護入院する)、音楽を聴きながら超スローで身体をストレッチみたいにしていた記憶がある。太極拳を10倍くらい遅くやってる感じか。迷惑なことこの上ない😓
このとき神経が高ぶっていたのか、後ろの席のサラリーマンらしき男性客二人が「オーケストラのティンパニ奏者がホルスト・シュタインに似てる」と言って笑っていたのを未だによく覚えている(実際、おでこの広い人だった)。

2003年

再 キーロフ歌劇場管弦楽団 (ワレリー・ゲルギエフ)

11/19はムソルグスキーの歌劇「ボリス・ゴドゥノフ」(オペラ形式)。
歴史的背景がわかってないものだから、「聖愚者」とか出てきてよくわからないオペラだった😅 とにかく重い響きと内容だった記憶。
11/21はマーラーの3番。

2004年

再 ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団 (ワレリー・ゲルギエフ)

5/25は「展覧会の絵」やラヴェルのピアノ協奏曲(ルガンスキー)。5/26はマーラーの9番。
《ゲルギエフのマーラー第9! 彼はマーラーの音楽を完全に自分のものにしている。かつて小澤/サイトウ・キネンの同曲を聴いたときは人工的な感じがしたが、ゲルギエフの場合、ずっと人間的であり感情的だ。マーラーの本質をつかんでいる気がする。どこを取っても音楽が充実していない所はない。アダージョの美しいことといったら!  彼の指揮以外でマーラーを聴きたくなくなるくらいだった。》
と書いてるわりに、キーロフと違ってまったく記憶に残ってない😂

23  ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (ワレリー・ゲルギエフ)

出ました!  世界最高峰のオーケストラVPO!
なぜ行ったかというと、ゲルギエフの故郷オセチアにおける地震のチャリティーコンサートとして、ウィーン・フィルとしては破格の安さで聴けたからである。
とはいえ世界最高峰なので、全席10000円。曲はチャイコフスキーの「悲愴」1曲のみ。
チャリティーなので「終演後の拍手はしないでください」という前代未聞のコンサートだった。未だかつてそんなコンサートは他に経験がない。
「悲愴」が終わると沈黙のまま楽団員が舞台を去り、それを見届けた聴衆が黙ったまま帰るというお通夜みたいなコンサートだった😅
せっかくのウィーン・フィルなのに、肝心のコンサートの印象はまったくない。「悲愴」が苦手なのもあるけど、フェドセーエフの方が印象的だった😅

次回でおそらく終わりです笑

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?