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リッカルド・ムーティは一体何が凄いのか 東京・春・音楽祭の「アイーダ」

東京文化会館大ホールで、ムーティが指揮するヴェルディの「アイーダ」(コンサート形式)を聴いた。

指揮:リッカルド・ムーティ
アイーダ(ソプラノ):マリア・ホセ・シーリ
ラダメス(テノール):ルチアーノ・ガンチ
アモナズロ(バリトン):セルバン・ヴァシレ
アムネリス(メゾ・ソプラノ):ユリア・マトーチュキナ
ランフィス(バス):ヴィットリオ・デ・カンポ
エジプト国王(バス):片山将司
伝令(テノール):石井基幾
巫女(ソプラノ):中畑有美子
管弦楽:東京春祭オーケストラ
合唱:東京オペラシンガーズ
合唱指揮:仲田淳也

長い前置き

まず、最初にお断りしておくが、素晴らしいクオリティの公演だったものの、私のコンディションが不十分で、第1幕の段階でウトウト。

最近眠りが浅く、夢の中で考え事をしていて起きてしまう。
寝てる最中も脳内でタスク処理をしてるようだ😂

昨日は感動的な高関/シティ・フィルの「エロイカ」を聴いたが、最近コンサートに2日連続で行くのがしんどくなってきた。

若かりしころは「週5でサントリーホール」というときもあったが(毎週ではなくたまたま重なっただけ😅)、最近は「コンサートはハレの日感覚がいい」と思うようになった。

連日行ってると、音楽を生で聴ける喜びがなくなってくる。

ただでさえこんなブログを書くのを自分に課してるので(楽しみでもあるのだが)、連日通ってるとファンというより仕事で聴いてる評論家みたいな気分になってしまう。

加齢による鑑賞体力の衰えもあるのかもしれない(まだ40代だが)。
おまけにいま喉が弱っていて、咳が出ないように気をつけて鑑賞してるので、その緊張疲れもあるかもしれない。

そんなわけで第1幕が終わったらぐったり疲れてしまい、いくらムーティといってもこんな長丁場は今日の自分には無理だとホールをいったん出た。

ホール前の広場でしばらく休んでいたら元気になり、第3幕と第4幕は聴いて帰ることができた。

だから、あの有名な「凱旋行進曲」も聴けてないんですよ😂

そんなんで“批評”するなって話だが、今回の指揮者やソリスト、オーケストラ、合唱団はみな素晴らしかったので文句はないです😅

ムーティは、以前からずっと聴いてみたかった。

現代の巨匠世代の指揮者では、ラトルはロンドン響とのエルガー、シャイーは昔にゲヴァントハウスとのブルックナー8番、エッシェンバッハはN響とのマーラー5番で聴いた。

ムーティ以外では、メータ、バレンボイムあたりがまだ聴けていない。

海外オケはなかなか手が出せないので、今回みたいに国内オケを振ってくれないものだろうか(メータがN響振ったときに行けばよかったね😂)。

今日の感想

今日初めてムーティを聴いて、凄いと感じたのは、指揮姿にまったく力みがないこと。7分目くらいの力で振ってる感じだった(5階席から見た印象。東京文化会館は手すりがないから見晴らしがよくていい)。

手抜きをしているわけではなく、指揮者がいっぱいいっぱいになってないからこそ、常に冷静に指示が出せてる感じ。
さすがは「ヴェルディの生き字引」とも言うべきムーティ。「アイーダ」を1日2公演振れそうな指揮姿だった😅

それに指示を出すタイミングが絶妙によいのか、すべての音が置かれるべき場所に置かれる。これにはびっくりした。

指揮者がオケを締め上げれば、オケの音色は窮屈になる。反対にオケの自由に任せれば奏者はのびのび演奏できるわけだが、今日の演奏を聴いて「『団員がのびのび弾いている』というのは、表現としてはやや過剰なのではないか?」と考えた。

ムーティは決してのびのび弾かせてはいなかった。奏者は萎縮もしていないが、誇大にもなっていない。
適切なテンポ、適切なフレージング、適切なダイナミクス。音楽の何もかもが、自然な姿でそこにあった。

「帝王」と呼んでも差し支えのないカリスマ性のあるムーティだけに、もっと仰々しい指揮姿を想像していたのだが、実際は舞台に出てきて振り出すまでに勿体ぶったりもしないし、すべてにおいて力が入っていない。

武道の達人が大した力も使わず相手をひょいと投げ飛ばすのに似ているかもしれない。
ヴェルディの大曲でこんな芸当ができる指揮者が他にいるだろうか。

他に感銘を受けたのは、ステージマナー。カーテンコールで歌手たちの後に合唱指揮の仲田さんと一緒に現れた(普通は一人ずつ?)。

終演後に仲田さんをしきりに労っていた。合唱の出来栄えに満足していたのかもしれない。

舞台への出入りが堂々としていて、立っているだけで様になる。
徐ろにオケの中に分け入り、フルートの梶川さん、オーボエの金子さん、ファゴットの長さんらと握手したのはびっくりした(クラリネットの方とはしてなかった?ような……😅)。

特別編成のオケのコンマスはN響の郷古さん。終幕のヴァイオリンの音色に陶然とした。

郷古さん、年々貫禄が出てきましたね。「日本の樫本大進」(?)として、これからも飛躍を遂げてほしい。

歌手の人たちもハイレベルだった。アムネリスのユリア・マトーチュキナさんと巫女の中畑有美子さんへの拍手は特別大きかった。

おまけ

とはいえ、演奏会形式のオペラならモーツァルトやヘンデルの方が私は楽しめるかなと思ってしまった😅

ヴェルディ、プッチーニ、ワーグナーよりヘンデルのオペラの方が好きなんです。
ロマン派ならではの厚化粧っぽい音楽が苦手なのかもしれない。

今日の演奏水準は高かったけど、7月に多分聴きに行くタリス・スコラーズの方が好みかも😂

新国立劇場で見たフランコ・ゼッフィレッリ演出の「アイーダ」はよかったですよ!

実際の馬を2頭も使ったり、エジプトの宮殿の柱の傷や土埃まで再現してあって、その壮大なスケールにとにかくびっくりした。

ただ「アイーダ」見てると、アムネリスはラダメスのどこが好きなんだろ?とか思っちゃいますね😅

前提に疑問を感じるので、いくら無償の愛っぽく振る舞われてもなかなか物語に入り込めないわけです😂

音楽だけ聴いて楽しむなら「魔笛」とか、私にはああいうのが一番です笑

ワーグナーのオペラの演奏会形式を楽しめるようには一生ならないかもしれません😂

*最近コンディションが悪く、文章が散漫になってると思いますが、ご寛恕ください🥹

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