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演技力抜群なアイゼンシュタイン 新国立劇場「こうもり」

新国立劇場オペラパレスで、ヨハン・シュトラウス2世のオペレッタ「こうもり」を見てきた。

【ガブリエル・フォン・アイゼンシュタイン】ジョナサン・マクガヴァン
【ロザリンデ】エレオノーレ・マルグエッレ
【フランク】ヘンリー・ワディントン(12/6公演は畠山 茂)
【オルロフスキー公爵】タマラ・グーラ
【アルフレード】伊藤達人
【ファルケ博士】トーマス・タツル
【アデーレ】シェシュティン・アヴェモ
【ブリント博士】青地英幸
【フロッシュ】ホルスト・ラムネク
【イーダ】伊藤 晴

【合唱指揮】三澤洋史
【合 唱】新国立劇場合唱団
【バレエ】東京シティ・バレエ団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【指 揮】パトリック・ハーン
【演 出】ハインツ・ツェドニク
【美術・衣裳】オラフ・ツォンベック
【振 付】マリア・ルイーズ・ヤスカ
【照 明】立田雄士
【舞台監督】髙橋尚史

感想1

素晴らしい舞台だった。今まで見た新国立オペラの中でも屈指の傑作だと思う。
あと3公演だから気になってる人は是非見た方がいい。

ただ、手放しで称賛というわけではない。

音楽がイマイチだった。終始生硬で、香りたつような色気がないのは本場のオケではないから仕方ないにしても、オペレッタならではのウキウキ感、スキップを踏む感じがない。生真面目すぎる。

最初オケのせいだと思ったのだが、東京フィルは日本で一番オペラの演奏をしてると思うし、指揮者がオケをノセるのが下手だったのではないだろうか。

上岡敏之も務めていたことのあるヴッパタール歌劇場の音楽総監督をしているパトリック・ハーンという俊英なので期待していたのだが。

台本は素晴らしかった。だいぶ「くすぐり」を入れていて、それが抜群におかしいのだ。

こういうオペラの脚色って寒く感じることはあっても素直に笑ったことはほとんどなかったが、外国人キャストにさかんに日本語を喋らせ、会場を爆笑させていた。

第3幕のフロッシュ役のホルスト・ラムネクは舞台役者かと思うような芸達者ぶりで、へべれけ演技で「焼酎」を連発して笑いを取っていた。

舞台美術も第1幕はミュシャ風というか、女子向けの塗り絵みたいな柄のインテリアだったし、第2幕は奥行きをふんだんに使ってダイナミックな舞踏会を演出。

第3幕も絵本の世界のような温かみのあるセットだった。
ただ、第1幕の衣装の色合いはメルヘンチックなインテリアに合っていなかった(焦茶のコートとか)。

舞台はメルヘンチックな柄の枠の中で展開され、ファンタジー風のイラストの襖?がスライドしてその中で登場人物のドタバタが繰り広げられるさまは、あの蜷川幸雄の代表作「NINAGAWAマクベス」の仏壇セットを思い出させた。

キャストが素晴らしかった。特にアイゼンシュタインは今まで見たオペラ歌手のベスト3に入る(いや、ベストか?)。

私はストレートプレイを結構見てきたので、今までオペラ歌手の演技力にかなり不満を感じてきた。
演出のせいも多分にある。棒立ちで歌ったり、演劇的な感覚ではとても鑑賞に堪えない。
「オペラだからそういうもんだ」と思うしかなく、芝居としても歌としても中途半端だと感じて、長いあいだ積極的に見ようとはしてこなかった。

今日のアイゼンシュタイン役のジョナサン・マクガヴァンは見終えてキャスト表を確認するまでドイツ語圏の人だと勘違いしていたくらいドイツ語がうまかったし、演技が抜群にうまかった。

オペラ歌手が演技しているのではない。舞台上でアイゼンシュタインという人間が生きていた。
美輪明宏が言っていた「歌はセリフのように。セリフは歌のように」をまさに体現していた。

第3幕で、アイゼンシュタインが妻と浮気男を詰るシーンで涙が込み上げた。
別に泣くような感動的なシーンではないのだが、マクガヴァンが舞台上でいきいきと動き回る姿がまさしく「プロの芸」で、その輝きは私にはただただ眩しすぎた。

当日の急な代役だったフランクの畠山茂もユーモラスな演技が絶品。
4階席からだとマロさんに見えて余計面白かった。

アルフレードが牢屋の中から延々と歌い続けるのも笑えたし、ロザリンデの芝居も自然でよかった。
しかし、やはりアイゼンシュタインとフロッシュの演技が突出して素晴らしかった。舞台俳優レベルだろう。

コンサートホールは魑魅魍魎の館

最後に恒例?のお客という名の妖怪の話。

①D席からC席に鞍替えオヤジ

1つ隣にズレるだけなんだけど、3300円違うからね。

しかも自分は席移動したのに、元いた席に座られたくないのか、荷物は置いたまま😂

せこすぎる!😂

政界入りをおすすめします🤣

②笑いの沸点低い人

主に第1幕だったけど、なんでもないところでやたら笑っていて結構耳障りだった。

こういうのって「笑いの勘所知ってます」っていう通気取りなんだろうか。

コメディだから笑うのは構わないけど、頻度があまりにも多いとちと迷惑ですね😓

③妖怪・鼻息インテンポ

後方だったからどんな人かはわからなかったけど、おっさんなのかなぁ。

こういう人が職場にいたらやだね😂

自分の鼻息の音くらい自覚できるようになろうよ😅

例外も……

久々に粋なお客さんと出くわしました。

音出さない、身体動かさないで静かに鑑賞してるのもそうだけど、カーテンコールで席を立ったので「22時すぎてたし、帰りの電車があるのかな」と思ったら、ドアのところに立って拍手されてました。

席で立つと後ろの人の視界の妨げですからね。粋な振る舞いだと感じました🤔

私も後ろのお客さんが帰ったあとはスタオベしてました。

感想2

「こうもり」はクライバーのCDを昔にざっと通して聴いたくらいだったので、「雷鳴と電光」や「アンネン・ポルカ」が途中に出てきてびっくりした。

あえて予習しないからびっくりできる。芸術鑑賞において、びっくりの感情は大切です😅 

比較できないから何とも言えないけど、ジョナサン・マクガヴァンのアイゼンシュタインは絶品だった!

またぜひ新国立劇場に呼んでほしい!

楽しい舞台だった。戦争や政界の汚職のニュースも多い中、こんなに笑いや喜び、楽しさ、愉快が詰まった世界は貴重だ。

治安が悪い地域や刑務所でヨハン・シュトラウス2世を流したらどうだろうと思った。

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