なぜ人はネットのトンデモ医学に引っ掛かるのか

医学や物理学について分かりもしないのにネットの断片的な情報を見て「ネットでこう書いてある」と数学者や物理学者にしたり顔に言ってのける素人はまずいない。私もそんなことは言わない。ところが医学になると何にも系統的に勉強していないのにネットで断片的な情報を見て「ネットでこう書いてある」と医者や医学者を相手にしたり顔で言う素人がやたらと多い。なんでこうなるのかなあと考えていてふと思いついたこと。



数学や物理は学校で教える。それで大半の人は「自分には数学も物理もわからない」と言うことを思い知る。私もその一人。そこで「数学わかる、物理わかる、面白い」と言う人は本当に数学や物理が理解できる人だから、そう言う人は数学や物理について素っ頓狂なことは言わない。そして99.999%は私も含め「数学や物理は自分にはわからない」と言うことを理解する。無知の知。



文系もそう。漢文古典は言うに及ばず、現代国語だって「自分が日本語をかけて話せる」ことと「ちゃんとした小説を読めた理解したり書いたりできる能力は違う」と言うことを学ぶ。要するに学校教育で学ぶことは、「世の中の大半の学問、専門知識は自分にはわからない」と言うことを学ぶのだ。



ところが医学は習わない。習わないから医学を学ぶのがどんなに大変かもわからない。医学も学校で教えれば「自分には医学なんかわからないのだ」と言うことをわかると思うんだが、習ったことがないから「自分にはわからない」ことが分からない。だからズブの素人がネットのわけわからない情報を見て、「自分は医者より医学がわかってる」とか言い出す。



あなた方(私も含め)は物理や数学、漢文などなどに関しては無知の知を持ってるんだから、医学についてももちなさい。

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