アドラー用ヘッダ

台本ストーリーはどのように書かれているのか(ライフスタイル論#05)

2017年3月27日

月曜日はアドラー心理学のトピックで書いています。

前回は「ライフスタイル論」の4回目として次のことを書きました。

 1. 私たちは日々ライフタスクに直面するたびにライフスタイルを参照して、取りうる行動の選択範囲の中から決断して選んでいる。
 2. その決断は自然に、そして瞬時になされるため意識されない。しかし長い目で見ると、それは自分が作り上げた自己理想に沿うようにされている。

さて、ライフスタイルとして書かれている台本ストーリーはどのように書かれているのでしょうか。

前回このような例を挙げました。締切の迫っている仕事に手をつけるかどうかというライフタスクに直面したときに、自分がとる行動にはいくつかの選択肢があります。たとえば、「すぐに手をつける」とか「手をつけるのは先延ばしする」とか「その仕事のことは忘れる」といった選択肢です。

このとき「先延ばしする」という選択肢を選ぶ人は、自分の自己理想に沿ったものとしてそれを選んでいます。その自己理想とは「自分は優秀であるべきだ」というものです。なぜ「優秀であるべきだ」と考えている人が「先延ばし」の選択肢を選ぶかというと、そこに次のような台本ストーリーがあるからです。

  • 私は優秀であるべきだ

  • だから、もしこの仕事に手をつけたら必ず成果を出さなければならない

  • しかし、その自信がない

  • もし先延ばしすれば、不満足な出来であっても、短い時間でやったのだから、優秀であるという自己理想は侵害されない

  • 反対にもし満足な出来であれば、優秀であるという自己理想が証明できる

  • したがって、この仕事に手をつけるのは先延ばししておこう

この台本ストーリーは、「優秀であるべきだ」という自己理想を持っている人が「締め切りの近い仕事を先延ばしする」という選択肢を取るときのストーリーの一例です。

「いやいや、私はこんな面倒くさいストーリーを考えてはいませんよ」という人もいるでしょう。それは、ライフスタイルが確立する6歳から10歳までにそのストーリーを確立し、その後なんどもそのストーリーを使ってきたので、その回路が固定化したということです。固定化しているので、いちいち考えなくても「自動的に」その選択肢を選ぶということなのです。

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