【お題拝借】パセージを受講されたことで変わられたことは何かありますか?/昨今のトランプ関連ニュースを聞いていると非常に複雑な想いです。
2017年2月5日
(日曜日は皆さんからの質問にお答えしています)
今回は「お題」を2ついただいております。
実際に全8回の「パセージ」(野田俊作先生が開発したアドラー心理学に基づく親教育プログラム)を2回受けたという体験は考えるきっかけになりましたね。ひとつはパセージを運営するリーダーによってそのグループの雰囲気や色合いが大きく違ってくること。もうひとつは、グループメンバー同士の相互作用がメンバー自身の成長に関わってくること。
もちろんパセージのプログラム内容そのものが素敵だということはあるのですが、それ以外に強く感じたのは上の2点です。
この背景には、地域や職場に根ざした「自助グループ」「QCサークル」「自主的勉強会」「自発的研究会」といった「グループ」が日本でどのように育っていくかという問題意識があります。パセージもまたそれが「メンバーが集まることができる地域のグループ」である限り、その可能性もそれが地域に根付いていくかという一点にかかっていると思います。
ちなみに2017年度も「アドラー流子育て講座」を早稲田大学エクステンションセンター中野校で開催する予定です。日程は、5/27(土)、6/10(土)、6/24(土)の10:30〜14:30(11〜12時は昼休み)の全3回(90分x6コマ)の予定です。確定次第、案内を出します。もしよろしければ、関心のありそうな人にお知らせいただければ幸いです。
私は昔から政治にはまったく関心がなく、それについて考えることもありませんでした。経済についても同様に関心がなかったのですが、「行動経済学」という領域が出現してからはがぜん面白くなりました。英語の「行動 Behavior」は、日本語の「心理」を含みますので、「行動経済学」は「経済心理学」といってもいいくらいです。「心理」がつけば私には面白いものとして捉えられるというわけです。
では政治はどうかというと、最近になって政治への心理学アプローチが出てきました。それは「道徳心理学 Moral psychology」という領域です。道徳心理学では、「人はどのような社会を良き社会として想定するか。そしてなぜそれは互いに違うのか」という問題をひとつ扱います。そうすると政治もまたがぜん私には面白いものになってきました。
ジョナサン・ハイトの『社会はなぜ左と右にわかれるのか:対立を超えるための道徳心理学』(紀伊国屋書店, 2014)では6つの道徳基盤を提案しています。それは次のようなものです。
1. ケア/危害
2. 公正/欺瞞
3. 忠誠/背信
4. 権威/転覆
5. 神聖/堕落
6. 自由/抑圧
あらゆる政治家、政治的勢力、そして政治について語る人々はこれらの道徳基盤のどれに重きをおくかというパラメタによって記述できるという仮説です。私たちを驚かせ落胆させるようなトランプ大統領の発言もまた1組のパラメタセットから来ているのです。その発言は極端かもしれませんが、パラメタとしてみれば私たちと連続量として繋がっているわけです。
トランプにも共同体感覚はあると思います。しかし、そこで想定されている彼の「共同体」は非常に狭いものだろうと思います。
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