2-教える技術ヘッダ

ゼミ生へのアドバイス。

火曜日は「教えること/研究すること」のトピックで書いています。定期購読者が増えるたびに、感謝を込めてその日の記事を全文公開にしています。

春学期と秋学期のそれぞれの最後には、eスクールと大学院ゼミ生の研究発表会を一般公開で開いています。今期は7月21日(土)に早稲田キャンパスで開催します。一般公開ですので、どなたでも無料で参加できます。詳しくは下記の記事をご覧ください。

この研究発表会は卒業論文や修士論文への通過点でもあります。研究としてここまでできたということ、そしてそこからどこに目指していけばいいのかということを確認する意味があります。同時に指導者としての私と教育コーチからはアドバイスをする機会でもあります。2017年のときの私からのアドバイスはこんな感じでした。

・eスクール3年生へ
まず基礎技能を身につけましょう。ワープロや表計算アプリの操作をマスターしましょう。論文原稿の書式や作法をマスターしましょう。これらは仕事の現場では習わないスキルです。ゼロからスタートの気持ちで素直に学びましょう。

eスクールゼミ生のほとんどは社会人学生です。職場の仕事をしながら、限られた時間と体力を使って研究を進めていこうとする熱意には敬服するものがあります。しかもそれを言い訳にすることがない。1つ助言するとしたら、ゼミで学ぶ研究法は仕事の中では学べないものですので、自分が小学一年生になったつもりで、一つひとつのスキルを身につけていく謙虚さは自分の武器になるでしょう。

・eスクール4年生へ
3年生の段階で研究の基礎的なところは終わっていますので、自分が知りたいことにフォーカスして研究を進めましょう。技法や分析手法にとらわれることなく、知りたいことをフォーカスして、そのために最適な研究手法を使っていきましょう。

研究法がわかってくると逆にそれに振り回されてしまうリスクが高くなります。そのときに今一度、自分が明らかにしたかったものは何だったのかということに立ち戻ってみましょう。常にリサーチクエスチョンを思い出すようにしましょう。

・修士1年生へ
先行研究を広く調べましょう。ハンドブックを読みましょう。自分のテーマの狭いところにとどまるのではなく、学問全体で見たときに自分のテーマがどこに位置づけられるのかを学びましょう。

卒論と修論が違うところは、修論では自分の研究の位置づけを広い目で見る必要があることです。そのためには先行研究を幅広く読む必要があります。最も効果的なのは、ハンドブックとしてまとめられているものを読むことです。そうすることで自分の研究の意義や立ち位置を確認することができます。

・博士課程の人へ
常に、先行研究を読んでいるか、データを取っているか、論文を書いているか、論文を修正しているか、の状態でいましょう。博士号を取るまでは休みはないと決心しましょう。簡単な学会発表や研究会発表で満足しないでいましょう。論文を書かなければ先に進むことはありません。

博士号取得を目指す人は研究と教育のプロになろうとする人です。そのためには、研究する以外にはありません。自分の仕事、自分のフィールド、自分が興味を持つこと、そのすべてを研究に結びつけましょう。そこから幅広く文献を読みましょう。常に研究について書いたり、話したりしましょう。その活動が将来自分が教育を担当するときの基盤となるでしょう。

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