アドラー用ヘッダ

ライフスタイルは物語=ストーリーとして頭の中に書かれている(ライフスタイル論#03)

2017年3月6日

(月曜日はアドラー心理学のトピックで書いています)

前回は「ライフスタイル論」の2回目として次のことを書きました。

 1. ライフスタイルとは私たちの動き方(Movement)である。それは、(a)対人関係の作り方についての方略、(b)自己・他者・世界についてのスキーマ、(c)自分で作り出した自己理想の追求の仕方、を参照しながら決めていく。
 2. それが書かれたものを「ライフスタイル辞書」と呼ぶとすれば、私たちはその辞書を意識することなく参照して日々決断し、自分の行動を決めている。

では「ライフスタイル辞書」というものが私たちの頭の中にあるとすれば、それはどのような形で記述されているのでしょうか。

・外向性:8
・神経症傾向:5
・協調性:6
・誠実性:2
・開放性:7

たとえばこのような形で書いてあるとすれば、「特性論」の立場をとっていることになります。特性論というのは、人類に共通した性格の軸(=特性)がいくつかあって、それぞれの人はその特性の強さの組み合わせで記述できるとするものです。この例では、5つの共通特性を想定していて「ビッグファイブ」と呼ばれています。

これに対して、アドラー心理学では、ライフスタイル辞書は数値による重み(=パラメータ)で記述されてはいないと考えます。ライフスタイルは数値ではなく、「物語=ストーリー」として書かれているという立場をとります。物語は数値に変換することはできません。

物語はたくさん集めてみると、いくつかのパターンに分類することができます。たとえば、「何か神秘なるものを求めて旅をしていく。道中さまざまな苦難に会うも、その体験から成長していく」のようなストーリーのパターンです。

このような典型的な物語を拾い上げていけば、それは類型論として位置づけられるでしょう。しかし、一人ひとりの物語を丹念に聞いていけば、それはひとつとして同じものはないでしょう。その意味では個性的なのです。ただそれをまとめてみると類型的なパターンは浮かび上がってくるでしょう。

原因論と目的論という視点から見てみると、特性論は原因論の立場です。その人の特性はそれまでの経験によって学習され、あるところで安定してきた。だから、この先もまたその特性の重みによって行動することが予測できると考えます。

それに対してライフスタイル=物語論は目的論の立場です。ライフスタイル辞書に書いてあるストーリーには「自分がこのように行動すればうまくいくだろう」という目標が書かれているのです。別の言葉で言えば、そのストーリーを実現するために、自分の思考と行動を決めているのです。さらに大きく言えば、そのようなストーリーとして自分の人生を描きたいと考えているのですね。

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