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(068) アドラーが「自己啓発の源流」だなんて誰が言っているの?

2020年8月21日(金)

前回の記事「ビジネス系YouTuberは最先端の自己啓発メディア」で「自己啓発」という言葉を使いました。でも「自己啓発」ってなんなんでしょう?

牧野智和『自己啓発の時代』(勁草書房, 2012)という研究書を開くと、

>> 自己啓発——この言葉は本来、1950年代の労務管理の文脈で登場・定着した、職業能力開発を意味する言葉だが(増田 2000)、本書では以下、職能開発に限られないより広い「自分自身の認識・変革・資質向上への志向」という意味でこの言葉を用いる

と書かれています。

文部科学省でも「自己啓発」を「学び直し」の文脈で使っていますので、自分で行う職業能力開発という意味合いが強いのだと思います。で、そこから意味が広がって「自分自身の認識・変革・資質向上への志向」が自己啓発であると。

・あー、出典が気になる!

さて、私はアドラー心理学について研究しています。アドラーというと、「心理学の三大巨頭の一人」であるとか「自己啓発の源流」とかのキャッチフレーズがついています。それも判で押したように。コピーがコピーを呼んだという感じでしょうか(孫引きはダメですよ)。

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