歯車

巨大な装置の中の密集した歯車というのは、狭い視野で見ると単体で動いてるように見えて、広い視野で見てみると実は他の歯車に影響されて動かされているということが分かる。むしろ、他の歯車があってからこそ動くことが出来る。歯車の大きさは、それぞれまばらではあるが、どの歯車も連動しているのである。1つが高速で回転すれば、接する歯車達も必然的に高速で回転せざる負えない。ある歯車は高速で回転しだした歯車より小さく、ある歯車は高速で回転しだした歯車より大きかった。歯車達は、各々が全速力で回る。

歯車の中には、小ささ故に長年高速で回転し摩耗したもの、むしろ大きかったが回転数が足らず錆びるものもある。形、色、錆び方、摩耗の仕方、どれをとっても一つとして同じものはない。

そんな歯車の中には、一切動きたくない歯車もいる。しかし、動きたくない歯車は「動かない」ということを許されない。回転する方向とは逆の方向に力を入れて停止し続けようとしても、入れた力が後々、歯車自身を破壊してしまうし最も、周辺の歯車も止まることが出来ないため必然的に動きたくない歯車も止まることは出来ないのである。



では、そんな歯車にできること。

歯車としての一生を終えるまで己のペースで回転し続けること。ただそれだけである。



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