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SNS進化のゆがみ ~Xが生み出した関係性の変化

今週、X(旧Twitter)の仕様が変わって、「いいね」が非公開になりましたね。

  • 他の人の投稿に誰が「いいね」したかが見えなくなる

  • 自分がどの投稿に「いいね」したかが非公開になる

この二つが主な変更です。今回の変更は自分にとってはあまり影響がないものでしたが、仕様変更のたびにXがどんどん使いづらくなっている気がします。しかも、Xはユーザーの繋がりを分断する方向ばかりに仕様変更しているな、というのがぼくの印象です。

最初に書いておくと、有償ユーザーへの優遇処置はあってしかるべきだと思っています。SNSは企業のボランティア活動ではないから、サービスが続いていく為にも利益はしっかり確保すべきです。

でも、そうじゃない部分で改悪 意味不明な変更があまりにも多すぎる。なんでわざと使いづらくしてるんだろ?と疑問に思うことだらけです。個人的に納得できない仕様変更は次の3つです。

①「フォロー中」タブに返信が表示されない

これだけはどうにも納得できない! もとに戻して欲しい仕様、個人的第一位です。「フォロー中」タブの中で、フォローしてる人のポストが間引かれる謎現象がありますが、その多くは返信が見えない問題です。

これめちゃくちゃ不便なんですよね。まったくのゼロではないけど、返信がほとんど表示されなくなりました。こうなると、知り合いの輪が広がりづらくなると思うんです。

フォローしてる人が知らない誰かに返信していて、その話題が自分の好きなジャンルだったりすると、恐る恐る会話に交じったことはありませんか? そこから仲良くなっていく、ということが昔はあったんですよね。それがいまのXでは難しい。あと、TLで大喜利が開催されていて、初めは2,3人でコソコソやってたのに、いつの間にか10人くらいに膨れ上がって大盛り上がりなんてこともありましたね。昔話になっちゃったけど。

「フォロー中」タブがつまらなくなった一番の理由は、返信が表示されなくなったからだとぼくは思っています。

② 「おすすめ」タブに万バズばかり表示される

不思議なことに、「おすすめ」タブには返信が表示されるんです。誰かが誰かとおしゃべりしてる様子がTLに流れてくる。フォローしてる人が、知らない誰かの誕生日にお祝いの言葉を贈っている。Twitter時代によく見た光景が「おすすめ」タブには残ってました。なので一時期「おすすめ」タブ中心にXを見ていました。

ところが、1か月前くらいからでしょうか。フォローしてる人の投稿が「おすすめ」に表示される頻度がガクンと減りました。その代わり、「いいね」が数万ついた、いわゆる万バズばかりが多く表示されます。TLが動物の映像や面白画像で埋め尽くされる勢いでした。

これは本末転倒だな、と。知り合いたちの会話(返信)が見たくて「おすすめ」タブを開いてるのに、フォローしてる人が見えなくなっては意味がありません。はて、どうしたものかと今も悩んでます。

③ 強い発言はより強く、弱い発言はより弱く

これは①や②と違って感覚的な話しなのですが、「いいね」を集めやすい投稿がより表示されてる気がするんです。小見出しに書いた強い発言とは、急激に「いいね」を集めてたり、リポストや引用が多くされてる投稿、つまり万バズ予備軍みたいな投稿です。

逆にいうと、たわいもない投稿は表示されづらいです。今日〇〇を食べたとか、外が暑くてたまんないみたいな投稿です。ぼくが大好きな投稿なんだけど、目にする機会が減ったなぁと思います。

多分なんですが、「表示される/されない」の重みづけは僅かだと思うんです。「表示される:1.1」、「表示されない:0.9」みたいな感じ。でも、その僅かな差が蓄積すると大きな差になる。1.1の10乗は約2.6です。0.9の10乗は0.35です。こんな格差が今のXでは起こってる気がします。

n対n の関係性から、1対nの関係性へ

ここから先はかなり私見が強いので、「そんな考え方もあるんだな」くらいな気持ちで読んでもらえるとありがたいです。

Twitterはサークルが形成されやすい環境でした。同じ嗜好を持った人たちが自然に集い、会話しやすい環境でした。でも、Xになってから「n対n」の会話がしづらくなりました。Xのアルゴリズムが、「1対n」の関係性を求めている気がしてなりません。つまり、強い発信力のある人と、そこに集うその他大勢の関係性です。それは、Xが「おすすめ」タブを推していることからもうかがえます。

今回の「いいね」非公開の仕様変更も、「おすすめ」タブをより快適に使ってもらう為だとXも明言しています。

より多くのポストに「いいね」をすることで、「おすすめ」タイムラインの精度が向上します。

X Japanの公式ポストより

「フォロー中」の使い勝手を悪くして、「おすすめ」タブに誘導するXの狙いは分かりませんが、「1対n」の関係性を求めてるのは確かです。Xだとインフルエンスしやすい(バズりやすい)、という定評を得たいのでしょうか。

1対n の関係性は、なにもインフルエンサーたちだけのものではありません。サークルのように n対n で活動していたコミュニティーの中にも、発信する人と受け手という 1対n の関係性が強まっている気がします。

SNSのアルゴリズムは、ほんの少し変わるだけで大きな影響が生じます。懐古主義と言われてしまうかもしれませんが、SNSがTwitter時代の良さを取り戻して欲しいな、と思っています。


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