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気持ちはいつもオンライン(再放送)

半年ほど前に同じタイトルの投稿をした。

その時と変わったこと。

半年前に話題のビジネス本は平積みでなくなったこと。
家で3週間も在宅勤務を続けていること。
そして未来のアメリカが明日になったこと。

在宅勤務を続けているとオンラインにいる時間が増える。当たり前だけど。
メンバーとの会話は減っていない。顔が見えない分、チャットやオンライン会議でいつもよりコミュニケーションは密になっている。

でも、なんか足りない気がするんだ。

テレビのニュースがざわざわしているから?
それとも、オンラインでは2万Hz以上の音がカットされて気持ちが伝わらないの?

年度末恒例の納期ラッシュで気持ちが落ち着かないんだと、自分を納得させる。「納得させる」という言葉は心の半分以上がモヤモヤしてるときに使うのも知っている。

4月からぼくがいるチームが大きく変わる。5人のメンバーは3つのチームにバラバラになる。何年かに一度ある大きな組織変更。そのうちの一人は遠くの拠点に異動する。本人の希望が叶った嬉しい異動だ。

在宅勤務が始まって3日目のチームミーティングで発表されたその知らせ。せっかくだから一日くらい会社の近くで集まろうよ、と提案したけど本人の強い希望でオンライン壮行会をすることになった。彼はいつだってチームのことを第一に考える気遣い屋さんだ。

一昨日のオンライン飲み会は、予想外に楽しかった。チームがバラバラになるせいもあってなのか「あのとき実はね」というぶっちゃけトークが飛び交う。モニター越しのみんなの顔が幸せそうに赤くなっていく。イヤホンの向こうから聞こえる笑い声はいつもより1オクターブ高い。なんだよ、オンラインでもちゃんと2万Hz以上の音が伝わるじゃないか、なんて思う。

そろそろお開きにしようか、という時間。普段は意識して使わない言葉が、思わずぼくの口から漏れてしまった。

「がんばってね」

ここでWi-Fiの調子が悪くなって、「えっ、今なんて言いました?」というやり取りがあるとドラマっぽいけど、そんなことなくて。
彼はいつも通り元気に「がんばります」と言った。ほんの数秒みんなが無言になって、同じ言葉を飲み込んだ気がする。

最後は少し感傷的になった飲み会だったけど、彼とは4月以降も同じプロジェクトにアサインされたらオンラインでしょっちゅう会うことになる。必要があれば新幹線を使って数時間で直接会える。

でも、淋しい気持ちになるのは不思議じゃないでしょ?

オンラインに距離はなくて、地球の裏側まで一瞬で声は届く。
そう、距離は関係ない。


だけど、淋しいんだ

簡単に会えなくなるから?
でも、毎日会社で会っていた人じゃない。数回しか会っていない、合計で数時間しか直接話せてない人が、遠くに行くと淋しくなるのはなぜ?
明日からも今まで通り画面越しに、笑ったり、感動したり、心配したりできるのに。

ホントは、旅立つ友達へ明るく元気が出る言葉を送るつもりだった。みんなが我慢して書かない言葉を使ってしまった気もする。
みんなには聞こえない声で伝えれば良かったかな? ネズミは2万Hz以上の音も聞こえるらしいよ。気持ちを込めれば、ぼくにも2万Hzの声が出せるかもしれない。


落ち着いたら
また、みんなと一緒にいっぱい話そう。
気持ちはいつもオンラインだから。


タイトルにつけた再放送は、事前にふみぐら社さんに相談して使わせてもらいました。(ふみぐらさんは、ご自身の過去記事に加筆修正したシリーズを書かれています)
同じ場所も「そのとき」で感じることは変わるし、伝えたい内容も変わる。
以前、Twitterへそんな返信をいただいて、とても共感したんです。だから今日の投稿にどうしても再放送の文字を入れたかった。だって、今は淋しいという気持ちが、未来の再放送ではきっと変わっているはずだから。


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