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UXデザインってなんだろう?

noteを始めてしばらく、プロフィール欄にUXデザイナーと書いていました。ただ、UX領域を超えた仕事が増えていき、肩書きとギャップが出てきたので、1年くらい前からシンプルにデザイナーとしています。

そもそも、UXデザイナーって何してる人か分かりづらいですよね。特にUXデザインがアプリやWebコンテンツの世界で語られることが多いので、UIデザインとの違いが分かりづらい。

UIデザイン、UXデザインの辞書的な定義

UXとは、「User Experience(ユーザエクスペリエンス)」の略で、ユーザー体験のことです。UXデザインとは、「ユーザー体験をデザインする」ということになります。体験をデザインする、と書くと仰々しいですが、誰もが普段の生活で行っていることです。

朝ごはんにホットケーキを焼くのも、プレゼントを渡すのも。おかえりなさいと言葉をかけるのだって、相手に喜んでもらいたいからする行為。つまりUXデザインをしてると言えます。

一方、UIとは「User Interface(ユーザーインターフェース)」の略で、ユーザーが製品やサービスに触れる部分(タッチポイント)のことを指します。UIデザインは、そのタッチポイントをデザインすることです。タッチポイントといっても物理的に触れる部分だけをデザインするわけではないです。

使いやすく美しい操作ボタンのグラフィックデザインや、心地よく感じる操作音をつくるのもUIデザインです。UIデザインとは、タッチポイントのデザインを通して、ユーザーにより良い体験を提供するデザインとも言えます。

あれ?  体験をデザインするのってUXデザインじゃないの?  と思う方もいるでしょう。まさにその通りで、UIデザインとUXデザインはオーバーラップする領域が大きいんです。それが、余計にUI / UXデザインの違いを分かりづらくさせてるのですよね。

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そもそも、両者に大きな違いはないというのが、ぼくの考えです。UIデザイナーもUXのことを考えるし、UXデザイナーもUIのことを考えながらデザインしています。

カツカレーと似てると思うんです。カツカレーは、カレー専門店でも食べられるし、とんかつ専門店でも提供するお店がありますよね。どっちに軸足を置いてるかの差です。CoCo壱のカツカレーも美味しいし、まい泉のカツカレーもウマい。どちらのお店も、美味しいカツカレーを食べてもらいたいという気持ちは一緒です。

noteのサポート機能でUI / UX を考えてみる

noteのサポート機能でUXを考えてみましょう。

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サポートボタンを押すと出てくるこの画面。なんとなく100円は選びづらいな……と感じてる人はいませんか? 緑の枠が500円のところについてるから、100円にすると自分がケチな人に感じてしまう後ろめたさ。

でも、サポートしてもらった人は100円でも500円でも嬉しいですよね。「なんだよ。100円かよ!」と思う人は、まずいません。

それが分かっていても100円のサポートに躊躇する人がいるのなら、ここはUXデザインの出番です。デザインの力で、100円のサポートを気兼ねなくしてもらうにはどうするか?  色々なアプローチがあって、正解はひとつじゃないけれど。ぼくは、いつもこんな気持ちで100円のサポートをしています。

UXデザイン のコピー

100円は手紙を送る切手代だと思うのです。コメント欄ならお金をかけずにメッセージを送ることができる。誰にも見られたくないメッセージなら、TwitterでDMを送ってもいい。「今日のnote素晴らしかったです!」、と。

しかも、令和4年のハガキの料金は63円です。リアルなハガキよりも高いコストで手紙を送る、100円のサポートって尊いと思いませんか??

しかも、缶ジュースの値段は、だいたい130円じゃないですか。「サポートは100円だけど、30円足して缶ジュースで一息ついてください」というメッセージは書きづらいですよね。だから、サポートのアイコンは、その価格と同等か少し価値が高いモノがいいのかも、と思ったりするんです。

飲み物やプレゼントで統一されたアイコンの世界観。いまのデザインに至ったプロセスは色々想像できるし、noteの世界観にあった素晴らしいデザインです。ただ、視点を少し変えるだけで、100円のサポートをするときの気持ちが変わるかも?  という話なんです。

視点を変えると、気持ちが変わる

そんなUXデザインの伝説的な事例があります。2010年ころの話です。アメリカ・ヒューストン空港では、異常に多く寄せられる乗客からのクレームに頭を悩ませていました。

それは、手荷物が出てくるまでの時間が遅いというもの。荷物の搬送ルートを再検討したり手荷物係の人数を増やしたりと様々な改善をし、待ち時間を業界標準と言われる8分まで縮めたそうです。

それでも、クレームは収まらない。そこで、あるデザインコンサルが解決に乗り出しました。そして、見事に問題は解消され乗客のクレームもほぼゼロになった。

その方法とは、なんだったのか?

それは、到着ゲートをメインターミナルから遠ざけ、手荷物を受け取るまでに、わざと乗客を歩かせたそうです。乗客が到着ゲートから手荷物受取所まで歩くのに、従来は1分でした。それを6分にしたのです。

飛行機が到着してから荷物が出てくるまでの時間は8分と変わりません。でも、乗客の待ち時間は7分から2分へと減り、クレームはなくなった。「視点を変えると、気持ちは変わる」の好例だと思います。

デザインに限らず、見方を変えるだけで印象がガラっと変わることってありますよね。いつも仕事は定時あがり、有給ばかり取る人が、実は地域のボランティア活動のリーダーだったりとか。その事実を知ったとき、自分の視野の狭さに気づくと共に、なんだか温かい気持ちになりませんか?

ひとの気持ちを温かくするデザイン

ぼくがデザインするときに目指している目標のひとつです。とても難しい道のりだけど、そこに近づけたと思えたときは、自分も幸せな気持ちになれるんです。




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