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法制審議会家族法制部会第12回議事録7~武田委員・畑委員・水野委員・赤石委員・沖野委員・倉重関係官・原田委員・木村幹事

懸念や幻論が国会で議論になってる

議事録読みも後半戦である

○武田委員

 ありがとうございます、親子ネット、武田でございます。第3、まず1に関してということです。親権者、監護者、それら以外の親に関する規律の整理ということで、特に今回、現行法上必ずしも明らかでないことという部分を整理して進めていただいたということに関しては、非常によいなと思っています。その中で、今回のこの資料12上での監護者ということに関して、意見を申し述べたいと思います。
 この資料上では、主たる監護者を1名決めると読めると思っています。今後いろいろな議論になってくるかと思うんですけれども、身体的監護の割合、これが、例えば70対30%の場合、30%の割合の親は、この資料上でいう現に監護をする親としての権限、義務だけとし、本当に議論、検討ってそれだけでよいのかというのが、現時点で疑問に思っているところでございます。
 1巡目で海外法制の御説明を頂きました。諸外国での監護の負担割合、フィフティー・フィフティーというところは、まだそれほど多くないと聞いたと思っておりますが、少なくとも七・三とか八・二の割合というのは、問題なく浸透しているという御説明だったと、理解しております。これらを踏まえると、この主たる監護者を1名決めるという選択肢だけで本当によいのかという検討も、必要かなと思っておりまして、この辺りは、次回の子の離婚に関する事項の決定、この辺りの議論と併せて検討を進めると、こんなふうに現時点では理解をしております。これが、3の1に関してです。
 次に、2に関してと、子の監護について必要な事項の取決めに関して、それぞれ意見を申し述べたいと思います。
 1点目の親間の定め、対象全ての実親、普通養子縁組における父母も含めるということに関しては、賛同するものでございます。基本的に、このアに記載のある定めのその他の子の監護についての必要な事項、これも恐らく次の検討になる離婚後における子に関する事項、また、居所指定が今、監護者側に入っておりますので、その辺りも含めて協議対象になってくるのかなと、私としては理解をしております。
 続いて2点目ですね。親以外の第三者にもということで、この取決めができる監護者、交流に関しての取決めができるということに関しましては、基本的に1同様賛同するものでございます。
 あと3ですね。家庭裁判所が定める場合の考慮要素ということに関して、基本的には、方向性はよいと思っていますが、ア、イ、それぞれに関して意見を述べさせていただきます。
 アの監護者指定の部分に関しましては、14ページ、①で言及いただいておりますとおり、いわゆる継続性の原則、ここに対して一定の言及を頂いたこと、ここに関して賛同するものでございます。
 イの交流の方なんですけれども、ちょっと拝見しますと、現行法での考慮要素、何かそれがそのまま出ているような印象を受けております。未成年者の子の養育に関しては、親子の交流が原則として子の利益に資する、こういったことを理念に置いた上で、13ページに記載の親又は第三者と子の交流に関しての考慮要素を確認していくこと、こんな方向の方がよいのではないかと、こんなふうに考えております。既に我が国においても、面会交流は子どもの健やかな成長のために重要なものであるでありますとか、大切なものであるということで、各所で答弁がなされていると認識をしております。是非この親子間の交流が、原則として子どもの利益に資するという理念を、どこに入れるかという議論はまだあるかと思いますが、是非御検討いただきたいと、こんなふうに考えます。
○大村部会長 ありがとうございました。武田委員からは、全体として、基本的な方向については賛成であるという御意見を頂戴したと理解をいたしましたけれども、1については、監護者が1名でなければならないという前提に問題はないかということで、これを更に考えていく必要があるのではないかという御指摘。それから、2については、これも(1)から(3)まで基本的には賛成されるということでしたけれども、(1)、(2)については、やはり後で検討すべき個別の問題があるのではないかという御指摘を頂き、(3)については、特にイの要素については、交流が原則であることを理念として、要素を考え直す必要があるという御指摘を頂いたと受け止めました。ありがとうございます。
 畑委員、水野委員の順番でお願いします。

懸念点切り込む

○畑委員

 畑でございます。11ページからの2の子の監護について必要な事項の取決めにつきまして、やはり手続的な面についてだけですが、少し述べておきたいと思います。
 12ページの(2)の第三者を監護者にするという話については、前回も少し言及したと思いますけれども、手続的にも少し考えるべきところが出てくるだろうということがあります。それから、(1)と(2)を通じて、子どもの申立てということも、やはり手続的には考える必要が若干出てくるかなと思っております。今までの家事事件手続法でいいますと、別表第2の事件になりますけれども、協議で決めることができる人たちが、審判事件の当事者になるという立て付けだったのですが、子どもも申立てができるということになると、そこから少し違う形になりますので、若干検討する必要はあるかなという気はいたしました。
 それから、これも前から話が出ていたかどうか、ちょっと分からないのですが、子どもの申立てですとか、あるいは第三者を指定するという話について、皆さん恐らく協議離婚を念頭に置いておられると思うのですが、例えば、離婚訴訟の附帯処分でこういうことができるかというような問題も、関連する事項としては出てくるかと思いますので、もしこういう方向でいくのであれば、考えていく必要があるのかなと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。畑委員からは、11ページの子の監護について必要な事項の取決めという部分につきまして、手続面からのコメントを頂きました。(1)、(2)を通じて、子が申立てをするという場合、あるいは(2)で、第三者が出てくる場合に、考えるべき事柄があるのではないかということ、それから、協議離婚だけではなく裁判離婚を考えたときに、附帯処分で何ができるのかといったことについても、考える必要があるという御指摘を頂戴いたしました。ありがとうございます。
 水野委員、赤石委員、沖野委員の順でお願いします。

手続き面のこと
協議離婚の場面の話だったとは・・・

○水野委員

 水野でございます、ありがとうございます。1点だけでございます。
 先ほどの、12ページの考慮要素を列挙したものの御意見で、発達状況に健康状況を加えるのは全然構わないのですけれども、意見を加えて別建てにすることについては、心配をしております。子どもの状況については詳しく調査する必要があり、子どもがどういう心情であるのかも、十二分に配慮しなくてはいけないと思うのですが、意見という形になりますと、お父さんとお母さんとどっちの方がいいかと聞いてしまいかねない気がいたします。それは非常に残酷な質問になってしまいます。児童の権利条約の意見表明権とも結びつけて、そういう意見聴取を安易に考えることは、非常に危険です。その点は非常に危惧しておりますので、できれば心情でとどめておいていただければと思います
○大村部会長 ありがとうございます。12ページの考慮要素について、意見を直接問うということが弊害をもたらすのではないかということで、そこを考える必要があるという御指摘を頂いたかと思います。

残酷な質問
単独親権制の今でこそ、頻発している

○赤石委員

 ありがとうございます。しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石です。2点お伝えしたいと思います。
 まず、P11の子の監護についての必要な事項の取決めで、親間の定めとなっておりまして、ここには、親が複数いる場合、ここには養子縁組のときの協議も含めて考えるということで御説明を受けたかと思います。ここがかなり複雑な協議になってしまうので、とても危惧しております。前回養子縁組のときの議論をしたときにも、やはり船頭を多くしてどうなるのかというような意見がかなり出たと思うので、それがどのように反映しているのかなというのが、ちょっと危惧されました。また、別居中のときのことも含めて、やはり主たる監護者の監護によい影響を与えるという意味での協議でないと、ちょっとよくないのではないかなと思います。
 それから、(3)の監護者の考慮要素のところですけれども、私の考えが足りないのかもしれないので、ちょっと水野委員のお話も聞いてあれなんですが、やはり子の意見というのをどういうふうに反映するのかというの、ちょっと危惧して言おうと思っていたところですが、どちらがいいのという話になってしまうのはいけないというのはあるんですが、心情と言われたときに非常に曖昧な気がしておりまして、そこをどのように考えたらいいのかなというのは、いつもちょっともやもやしているところでございます。
 また、アの⑤他の親と子との交流が子の利益となる場合における監護者となろうとする者の当該交流に対する態度ということで、ここのフレンドリーペアレントルールが、ある種、形を変えて出てきているような気がするんですけれども、それが大きな重みを持ってしまうと、ちょっとまずいのではないかなと思っております。
○大村部会長 ありがとうございました。赤石委員からは、11ページ以下、子の監護について必要な事項の取決めについて、まず(1)親間の定めということで、養子縁組の場合の養親、実親が入るのだろうけれども、その場合には、かなり複雑なことが生ずるが、果たしてそれでよいのだろうかという御指摘。そのほかの場合も含めて、このような協議をすることがプラスになることが前提だろうという御指摘を頂きました。また、12ページの考慮要素については、先ほど賛否両論が出た子の意見について、意見を直接問うのは望ましくないとしても、心情だけではやはり曖昧なのではないかといった御指摘、そして、⑤については、これにどういう重みを置くのかということが問題になるのではないかという御指摘を頂きました。ありがとうございます。

この立場からの警戒っていうことが、むしろヒントになる

○沖野委員 

今の(2)の親と第三者との間の定めについてです。そのアの方なんですけれども、第三者が監護者という地位で、あるいは子との交流ができることを正面から認められるという、そういう地位が付与される形で子の養育に関わっていくというルートが、あっていいのではないかと思っております。それも、ここに書かれたように、子の利益のために必要があって、かつ、適切な場合にはということになると思います。適切な人を選ぶということだと思うんですけれども、問題は、この判断の適切さがどう担保されるのかということです。しばしば関係者全員が同意をするならば、いい方策が選ばれるだろうということで、関係者の同意に依拠するということは考えられます。そのときに、このアが、親権者と当該第三者との協議だと思うんですけれども、それで果たして適正さを確保できる主体として十分なのかということが気になっております。もちろん、要件として、利益のために必要がある場合、そしてそれが相当とか適切である場合というのが入ると思いますけれども、その要件充足について争うことになるのでしょう。そうすると、不適切であるというときはそれが無効であるといった話を、この後していくことになるのかと思われ、適切さの確保と不適切な選任への対応というのが、気になっております。
 それから、関係者として、親権者だけが挙がっているというところなんですけれども、他の親とか、それから先ほど監護者は1人なのかという御指摘もあったんですけれども、監護者が指定されている場合はさすがに違うんだろうとは思いましたけれども、他の親の関わり方とかということも考えなくていいんだろうかというのが、気になったところです。
 もう1点は、すごく技術的なことなのですが、8ページの1の(1)親権者概念の整理ということで、ここでは、(注2)に書かれたような三分法の下で、ただ、監護者の地位が親権者となる者のところに統合されている場合もあるという前提で書かれていると思います。具体的には、子の財産管理の関係で、日常生活に関する範囲のものが除かれているのですけれども、一方、監護、教育では、別に監護者を定めない限りは、監護者の権限と同じものが入ってくるということですが、恐らく財産管理なども同じような話になってくるように思われます。誤解をしているかもしれませんけれども、きれいに切り分けられているのかというのを、また次のときにでも整理していただければと思いました。
○大村部会長 ありがとうございます。沖野委員からは2点御指摘を頂きましたが、最初の点は12ページの(2)に関わる問題で、第三者の関与はあってもよいと思うけれども、第三者が関与するという判断の適切さを担保するということが必要だろう。その場合に、同意によってそれを担保するということだとすると、一体誰の同意が求められるのかと、親権者と第三者だけでよいのかという問題があるのではないかといった御指摘を頂いたかと思います。2番目、8ページですけれども、親権と監護権との切り分けがされているわけですが、この切り分けが過不足なくできているかどうかを、再度チェックし、議論する必要があるのではないかといった御指摘を頂きました。
 事務当局の方で何かあればと思いますが。

技術的な指摘

○倉重関係官

 沖野先生から頂いた2点目のところでございます。すみません、資料のミスでございまして、書き直す必要があるということ分かりました。8ページの1のイのところ、これにつきましては、監護者の権限又は義務としている、9ページ(2)のもの全てを含む趣旨でございました。したがって、ここ、イの見出しが不適切というか誤っておりまして、親権者による監護及び教育及び、9ページ(2)のイでいうところの財産管理、これらを含むつもりでございました。本文の方につきましても、監護、教育部分に限定されていない趣旨であり、書き方が「後記(2)ア」になっておりますのは、「ア」に限定する趣旨ではありませんでした。表記の誤りということでございます。したがいまして、アとイを足せば、基本的には、親権者プラス監護者の権限、義務ということで、全体をカバーできるということを、意図していたものでございました。大変失礼いたしました。
○大村部会長 ありがとうございます。
  次が、原田委員にお願いして、その後、最高裁裁判所にお願いしたいと思います。

あ 資料のミスだった

○原田委員

 言わずもがなのことかもしれませんが、親子の交流は、原則として子の福祉に資するというテーゼをどこかにというようなお話が若干ありましたが、今まで言われていることは、適切な面会交流と必ず限定が付いておりますので、その点を是非、皆さんも気にしていただきたいと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。面会交流について、適切なものを行うということに留意をしていただきたいという御意見ないし御指摘を頂きました。
 裁判所の後に、池田委員。

わざわざ「適切な」という冠を面会交流に求めるって

○木村幹事

 ありがとうございます、最高裁の木村でございます。大きく2点ございまして、1点目は、畑委員の方から既に御指摘がありましたが、2の子の監護について必要な事項の取決め、(1)親間の定め、(2)親と第三者との間の定めというところで、家庭裁判所が定めるという手続の中で、子が請求するという申立ての在り方が御提案されているわけですけれども、子の請求といったときに、その場合には父母両方が相手方になるのかなど、審理のイメージが気になるところでございまして、こういうところも引き続き、御議論、御検討頂きたいと思います。
 2点目が、12ページ(3)の考慮要素のところですけれども、実務の実情を踏まえて申し上げますと、監護者の方の考慮要素の③に「当該子の監護者としての適性」とありますが、それ自体が結論に近いもののようにも思われまして、もう少し具体的な要素が挙げられるのではないかとも思われるところです。例えば、監護者となろうとする者と子との関係性ないし親和性といったことは、重要な要素として考慮されておりますし、このほかにも、監護の能力や意欲といったところも考慮しております。
 そもそも③では、「監護者となろうとする者」とされていますけれども、実務では、父母については、自らを監護者に指定するよう申し立てているか否かにかかわらず、それぞれの者の子との関係性ないし親和性や監護の能力等を検討することが多いと思われますので、例えば「監護者となろうとする者」ではなく、「父母及び監護者となろうとする第三者」といった形にするなど、書きぶりはなお検討の余地があるものと思われます。
 また、監護者の考慮要素の②についても、子どもについては、例えば、環境への適応状況や適応力、父母との親和性といった要素も考慮されていると承知しておりますので、そうした観点から、この点の表現ぶりもなお検討の余地もあるものと考えております。
○大村部会長 ありがとうございます。木村幹事から大きく分けて2点、一つは、子が請求する場合の審理のイメージを明らかにしていく必要があるのではないかということでした。それからもう一つは、(3)の考慮要素について、その整理が必要であるという御指摘だったかと思います。特にアの③は非常に漠然としていて、これだと結論そのものということになりはしないか、裁判所で実際に考慮しているものはほかにもあるので、そうしたものを勘案して列挙してはどうかといった御指摘と、それから、監護者となろうとする者を、父母及び監護者となろうとする第三者とする方がよいのではないかといった御指摘を頂いたと受け止めました。ありがとうございました。
 池田委員、落合委員という順番でお願いします。

考慮要素の明記、地味だけど意味があるのは、今があまりにもブラックボックス化していて、結論有りきで進めているような疑惑があるから

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