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建設系(社会基盤学科・都市工学科・建築学科)3学科対談【後編】

6/10に駒場生向けに、工学部建設系3学科(社会基盤学科・都市工学科・建築学科)で対談・先輩への相談会を開催しました。こちらは、対談パートを一部編集し、前編・後編に分けて記事に起こしたものです。
後編では、互いの学科への質問大会と視聴者の皆さんからの質問の回答を紹介します!(前編はこちら

<各学科のイメージ質問大会!>

俵(司会)みなさん各学科に抱いているイメージがそれぞれあると思いますが、それは本当に正しいのかをここで確認していきたいと思います!また他にも各学科に対していろいろ気になることもあると思うので、それらについても自由に話しましょう。
最初、いきなり「自由に話して」と言われても難しいと思うので、まずは僕から一つ、気になっていることを質問します。建築学科は設計の授業がメインで、設計について考えていることが多いのかな、というイメージを持っているのですが、他の学科はどうですか?

山田(社基)建築は確かに設計をずっとやっているイメージはあります。みんな夜遅くまで演習室で設計していそう、って思っているのですが、実際どうなのか聞いてみたいです。

俵(司会)どうですか、藤堂さん。

藤堂(建築)僕は特に3年生の時はバリバリ設計課題にのめり込んでいました。去年はずっと家にいたということもあるのですが、部屋でずっと設計を考えていたっていうことはありました。
ブラックブラックと言われがちですが、単位がもらえる(最低限の)ハードルは低いです。しかし、やりたいことを追求していくと、どうしても時間がかかってしまいます。楽しんでやっている節はあるので、きついのは確かだけど非常に生活に満足はしています。
他の学科でも演習や実習はありますが、建築のように演習の時間外もずっと演習の作業しているのとかとは違ってそれはあくまで授業時間の間に終わる演習なんですか?

山田(社基)社基の演習は授業時間内に終わるものが多いですね。3年のSセメスターに基礎プロジェクトと呼ばれる演習型の授業が複数あるのですが、大半の演習は課題が授業内に終わるのが多いように感じました。もちろん計画系の演習など授業時間外も議論するような演習はあるのですが、社基の演習の一つの特徴は演習でも1コマちゃんと1単位くる所かなと思いました!
ここは建築の演習とは違うのかと。

俵(司会・建築)単位数確かに来ないですね。都市工はどうですか?

山田(都市計画)都市工も最初の方は設計をしたりするんですが、発表前は時間外に作業したりしますね。みんないろいろなコンセプトで作るので、それぞれの設計に対してみんな意見したりとか、演習の後半になればなるほどグループワークで意見をぶつけ合う機会は増えますね。特に2020年はオンラインで予定を合わせやすくなったのでグループワークは増えました。演習は目玉の授業なだけあり、それなりに大変なんですけど、達成感はあります。

俵(建築)グループワークという言葉が出ましたが都市工以外はグループワークは多いですか?それとも個人作業が多いですか?

山田(社基)社基にはグループワークの目玉授業があります。2年A1タームの導入プロジェクトという授業で、この授業では橋を50人全員でつくります!橋を作って完成すれば単位が来る演習です。

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藤堂(建築)50人で1個の橋をつくるんですか!?

山田(社基)そうなんですよ!長さ6、7mとかなりサイズが大きいのでアーチや床板、ヒンジといった部品ごとに班を組んで製作していました。去年は全員で集まって作業することが出来なかったので班ごとに橋を作りました。

山田(都市計画)たのしそうですね。50人でってすごいな。

山田(社基)個人的に建築はあんまり大人数で演習や製作をやるイメージはないですね。どうですか?

木島(建築)そうですね。目玉の設計授業、例えば建築設計製図とかは個人課題ですね。座学ではたまにグループワークの授業はありますが。基本は個人が多いですかね?どうですか?

藤堂(建築)建築設計製図はほんとうにソロプレイで、突き詰められる分きついことも... そのかわりに学外のコンペに何人か出したりということもあります。僕はパヴィリオン制作でいつもと違ってみんなで一緒にやるのが楽しかったです。グループワークには憧れている節はあります。

俵(司会・建築)パヴィリオンはみんなで集まってやるイメージで楽しかったです。今はコロナなのでなかなかしづらいですが。
ここで質問をちょっと変えましょう。みなさんの学科では数学どれくらいやりますか?建築ではそんなにゴリゴリ使ってないような気がするんだけど、みなさん数学普段使ってます?

尾方(都市環境)都市工はあまり使っていないイメージがありますね。都市計画はどうですかね?

山田(都市計画)設計するフェーズでは数字はあまり意識しないですが、実際に地域分析するときとか、例えば将来人口とか、将来どこに人が集まるのかシミュレーションする。そこらへんは数字使う感じ。でも社会基盤の方が橋の構造計算とかで数学を使うんじゃないですかね?どうですか?

山田(社基)そうですね。数学を使いたくなければ、避けようと思えば避けられるという感じですね(笑)。河川、地盤ではどうしても多少流体力学とか数学の知識とかは使いますね。そのような分野に進めば必要になって来ますね。でも私は全然使ってないですが、なんとかついていけているので、そこまで大変じゃないと思います。

俵(司会)最後に進振りについて気になることをどんどん質問してください。疑問を解消しましょう。いろんな疑問を既に頂いています。
1個目の質問は社基Bと都市工の違いがわからない!こういった声をよく聞いています。いかがでしょう?

山田(社基)私も社基と都市工では結構迷い、進振り終わるまであまり理解せずに入ってきたんですけど、今になって大きな違いだと思うのは、都市工は、土木でものをつくるというよりは、計画というイメージがあって。橋でもなんでも、実際にまちに手を加えて変えていくのは社基なのかな、と思います。都市工はどうですか?

山田(都市計画)僕も社基と都市工で迷って、入るまでわかりませんでした。実際に入ってから都市工にやりたいことがあったように思います。都市工って、まちのリアルに迫っていくような、人に寄り添った計画が多いイメージがあります。僕は防災研にいて、社基でも防災についてやっている研究室があると聞いていますが、防災とは言っても切り口が違うと思います。都市工の防災は人に寄り添うということに焦点を当てます。社基の方は、ものを作ったり、技術を生み出したりして防災の問題に取り組む点で違うのかなと思います。

山田(社基)B3の増永くんは社基と都市工の違いについてどうですか?

増永(社基)コンクリートを練るなど、0からたてるっていう点が違うと思います。社基ではシミュレーションを多く扱っているイメージがあって、数学を知っていると研究をやる上で役に立つのかなあと薄々感じてます。ただ、授業ではいきなりコードを書いてシミュレーションをしろ、ということは言われないので、授業に関しては数学を避けることは可能と思います。

俵(司会)実際、コンクリートを作るのはすごいと思ったんですけど、他の学科では、実際に手を動かしてこういうの作ったよ、とかありますか?

山田(都市計画)演習では模型をつくったり、3年になると計画を立てて図を作ったりします。あとは、建築でコンペの話が出ましたが、都市工の中でもコンペがあって、建築に限ったものから都市全体を変えるものまであって、プレゼンボードを作って外部に披露することもあります。

尾方(都市環境)都市環境工学コースでは、ものづくりに関しては3年の現時点ではあまりやってないです。研究室によっては上下水道、水の浄化技術を研究しているところもあります。そういう意味でのものづくりはあるけど、環境系は他の学科ほどのものづくりはないかなあ、と思います。

<視聴者からの質問コーナー>

俵(司会)そろそろチャットで頂いた質問を解消していければと思うんですけど(笑)

建築学科で意匠系や材料系などへの振り分けはどのように行われますか?
皆が希望のところに行けるのでしょうか?

藤堂(建築)分野が多岐に渡っており、学生の興味もさまざまなので、希望も割とばらけます。競合した場合には、学生間の話し合いに任されています。僕が志望したところは競合しなかったんですけど、人気のところは競合しますね。


「都市環境工学コースにはフィールドワークがあるとパンフレットで読んだのですが、どれくらいの頻度でどのような内容を行うのでしょうか」

尾方(都市環境)実は自分はまだコロナとかもありフィールドワークができていなくて。ただ、3Aになると、実際に河川に出て水を採ってその解析をする、と聞いています。3Sの間は、それに向けて測定技術の練習をしています。


「都市計画コースの第2次選抜はどういったことが聞かれますか?」

俵(司会)入試問題何出ますか?、みたいな質問ですね笑

山田(都市計画)自分は一次で入ったので何も言えない、、、

菊地(都市計画)(飛び入り参加、都市計画コース4年)二次で入りました!去年と同じなら、志望書を書くだけなので、なぜ都市工に入りたいかを力説すれば大丈夫だと思います!

俵(司会)やる気を見せれば大丈夫ということで、頑張ってください!
続きまして建築学科の授業について幾つか質問があるんですけど、


建築学科は毎日一限ありますか?

藤堂(建築)入れようと思えば入れられますね。僕は3年の時、一杯一杯にして溺れかけていましたけども。
設計課題が十分存在感があるので一限かどうかはやっていると気にしなくなります。

建築学科ではデッサンとかするんですか?

木島(建築)建築学科では「造形」っていう授業があって、ドローイングしたりとか写真撮ったりとか小さい作品みたいなものを作ります。
それが第1から第6まであって、第3にデッサンの授業が元々あったんですけど、デッサンは石膏像を前にしてみんなで集まって書くので、今はコロナの影響でそれがちょっと難しいということで、今年も去年も中止になりました。もしかしたら今後復活するかもしれないです。

藤堂(建築)造形は、建築とは離れた作品づくりの授業です。オリンピックエンブレムの野老(ところ)さんなどが講師で来てくださり、がっつり美術系のことも勉強することができます。


建築で数学物理はどれくらい使いますか?

藤堂(建築)最低限を乗り越えるだけならそんなに難しくないと思います。構造力学の最初の方でははちゃめちゃな数学を使ったりはしないので乗り切れるのではないでしょうか。特に建築は、結構文系の人が多いイメージがあります。

俵(司会、建築)そうですよね。 僕もそんなに得意ではなかったですけど、強い人に助けてって言えばなんとかなるかな、って感じです。ここで文系出身者の話が出ましたが、


文系からの進学者は各学科どの程度いますか?

増永(社基)社会基盤学科に関しては、約50人の中で5, 6人とか6, 7人くらい文系からの進学者がいますね。2割を切るくらいです。

俵(司会)東大全体の平均くらいですね。都市工はどうですか?

尾方(都市環境)都市環境の方は自分の代は20人なんですけど、4人だったかなと思います。元々母数が少ないですが。

俵(司会)なるほど。計画はどうですか?

山田(都市計画)計画も30人くらいいる中で大体7, 8人くらい文系の人が毎年来てます。

俵(司会)なるほど...割と都市工多いですね。建築だと...

藤堂(建築)建築どんくらいでしたっけ。60人中...

俵(司会)僕らの代だと、9人とか10人とか...一個下はどうですか?

木島(建築)今の3年はもしかしたら少ないんじゃないかな。7, 8人くらいだと思います。あまりちゃんと数えてないのでわからないんですけど...

俵(司会)じゃあ社会基盤より若干少ないですね。意外と建築少ないんですね。僕は理一から来たので、建築は文系多いかなと思ってたんですけど、意外とそんなことなかったみたいです。

建築の方はみなさん建築士になるのでしょうか

藤堂(建築)資格はとります。将来、建築・設計して食べていくかはわからないですが、建築は好きなので勉強はしようと思います。

木島(建築)わたしも資格は取ろうと思っています。建築士として働くかどうかはわからないですが...皆が皆、建築士の資格取るわけではなさそうですよね。

俵(司会)確かにそうかもしれないですね。


交通計画系のことはどの学科でできるのでしょうか?

俵(司会)いい質問ですね。ここはできますね!ってところありますか?

山田(社基)社基はできます!交通研究室がしっかりあります。

山田(都市計画)社会基盤だけでなくて、都市工でも交通の勉強はできますね。やってる分野は違うかもしれないですが。交通詳しい人いたら教えて欲しいんですけど。

俵(司会)どんな感じで交通計画系の研究室はやるんですか?

近藤(社基)(飛び入り参加、社会基盤4年)社会基盤交通研B4の近藤です。交通研の主催している演習は都市計画よりですが、研究室での学生の研究自体はシミュレーションとか行動モデルを多くやっています。企業等との共同研究もあるので、そこを通じて計画をやっていったりします。

山田(都市計画)社会基盤と被るところもあると思いますが、都市工でも公共交通の通し方を勉強したり、駐車場の配置によって渋滞をどう解消するか、などシミュレーション等を活用しながらやっているみたいです。

俵(司会)学科を跨いで同じような分野をやっていることもありますよね。


都市環境工学コースに進学選択した場合、都市計画コースにコース変更することは可能ですか?

尾方(都市環境)僕はまだ研究室振り分けを経験していないんですが、都市工内でのコース変更はないですかね。

山田(都市計画)あまり聞いたことないし、研究室振り分けは4年にあるんですけど、それぞれのコースが独立して動いているので、コース変更は難しいと思います。

尾方(都市環境)都市環境なのか都市計画なのかは今のうちに決めてもらう感じですね。

俵(司会)なるほど。

尾方(都市環境)ですが都市環境の中でも、まちづくりに近いことをしている研究室もあります。

俵(司会)たくさん質問をいただいていますが、次、最後にしましょうか!最後は、僕が聞きたいこの質問で。

ぶっちゃけ、儲かりますか?

俵(司会)儲かりますよ、って人います笑? 逆に儲からない、みたいな顔してる藤堂さん!

藤堂(建築)そうですね...笑。建築業界の業種によるとは思います。設計でも、ゼネコンなのか個人のアトリエ事務所なのかで働き方は多岐にわたります。名前が売れているスター・アーキテクトと呼ばれているような方だと、ネームバリューにもお金がかかってくるので、すごいことになっているんでしょう笑。でも、言い方悪いですけど食いっぱぐれることはなさそうな分野だなあ、と思っています。

山田(都市計画)デベロッパーに行っている人は儲かってそうなイメージあるんですけど笑。色々な進路に進む人がいるので、すごく儲かって将来安泰そうな人もいれば、必死に頑張っている人もいるのではないでしょうか。

山田(社基)社会基盤は、公共性を意識することも多い学問なので、儲ける!という考えは薄いですが、扱う対象は大きいので、動かせる金額は大きいと思います。

俵(司会)同じ学科でも、進む分野によって違う、というのが正直なところなのかもしれないですね。


俵(司会)色々な質問をいただきました。対談に参加していただいた6名、視聴者の皆様、ありがとうございました!

福谷(全体司会)皆さんありがとうございました!なかなか盛り上がりましたね!

本郷では近くで授業を受けたり、お互いの学科の授業を受けることも多々ある建設系3学科。よく比較もされますが、3・4年になっても実はお互いのことをあまり知らず、いい機会となりました。
これから進振りを迎える駒場生の皆さんをお待ちしています!

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